表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
88/127

87話 アイドル防衛作戦 Ⅶ

今回は長編のクライマックスです。

そしてついにあの男が完全復活!!

司は魔力が使えない中、応戦していた。

それに比べ社長は魔力をフルで使用し、連続で司を攻めていた。


「くっ。ヤバイな・・・」


「どうしました?先程より傷が確実に増えてます

けど?」


「ふっ。ちょっと疲れただけだ」


司は見栄を張るが、実際は体中に傷を負っていた。

傷の中にはそれなりに深い傷も存在していた。


「聞いてはいましたが、とてもしぶといですね」


「まぁ、それが俺の取り柄の一つだからな」


いかなる戦いも耐えることにより勝利を得てきた。

だが。今回ばかりは前回よりも部が悪すぎる。


「これ以上戦いを長引かせても仕方ありません

ね・・・ここで終わりにしましょうか」


「俺は・・・簡単には終わらない」


「宝具展開」


社長はついに宝具を展開した。

その宝具は社長の姿に似合わず大剣であった。


「安心してください。この宝具に小細工は出来ま

せんよ。ただ・・・痛いだけですよ」


社長は大剣を司に向かって振り下ろした。

たしかに大剣に複雑な能力は無い。

だが、単純に力が桁違いだった。


「こんな力を隠していたのか!!」


司もバスターソードで受け止めるが、魔力の差の分で力負けしてしまう。


「ちくしょおぉぉぉ!!」


仕方はバスターソードを弾くと、そのまま司を切りつけた。


「これでジ・エンドです・・・さようなら破壊者

立花 司・・・」


社長はそのまま司を蹴り飛ばした。

蹴り飛ばされた司は駐車してあった車に叩きつけられた。


「さてと・・・次は上ですか・・・」


ーーーーーーーーーー

司がまだ社長と応戦していた頃、会場では随分と押されている状況だった。


「駄目だ!!やはり数が多すぎる!!」


「こちらも不味いが、司の方も不味いと思うぞ」


神器達は、多少であるが司のその頃の状況を理解していた。


「ええ。司から魔力が感じられなくなりました」


「もしかすると魔力回路を壊されてしまったのか

もしれませんね・・・」


神器達の予想は大体当たっていた。

本当なら今すぐ助けに行きたいところだが、そうにはいかない。

あくまでも星空 ナナミを守ることが任務なのだから。


「まぁ、この状況を何とかしないとな」


「ええ。それには同意します」


星空 ナナミを守る事も司を助ける事も、この状況を何とかしなければどちらも不可能である。


「というかそろそろナナミちゃんのネタが尽きる

と思うんだが・・・」


涼の言った通り、星空 ナナミが持っている自身の曲は尽きようとしていた。


(どうしよう。歌える曲がもう無いわ)


そして、最後の歌が終わってしまった。

だが、たとえ曲が無くても歌うのが今の星空 ナナミである。


「ナナミちゃん!!この前歌ってたやつ!!」


涼が大きな声でそう叫んだ。

その叫びを聞いて星空 ナナミは思い出した。

まだ自分には一曲あると。


「最後の曲・・・いくわよ!!」


星空 ナナミは一度深呼吸してから再び歌い出した。


「貴方の手はまるで星のようーーー」


この曲を星空 ナナミはライブで一度も歌った事が無い。

その為に忘れてしまっていたが、自称星空 ナナミの一番の良曲である。


「やっとこの曲がきたか・・・」


涼が笑みをこぼしながらそう言うと、四人組に理由を聞かれた。


「この曲がどうかしたんですか?」


「見てればわかるよ」


四人組は涼に言われた通り操られているファン達の方を見た。

するとどうだろう、ファン達はその場に止まって次々と気を失っていったのだ。


「ど、どういうことですか!?」


「あんなに数がいたのにもう誰もいませんよ」


星空 ナナミが歌い初めてからすぐに効果が現れていた。


「確実性がないから言わなかったが、やはりこの

曲だけに効果が現れるな・・・」


何故かは涼にはわからない。

だが、この曲だけが特別な力を発揮することはわかった。

この時、あることに神器達は気がついた。


「ほぅ・・・どうやら地下でこれから暴れ始める

奴がいるな・・・」


「ええ。先程とは全然違いますね」


「凄まじい程の魔力です」


そう、星空 ナナミの歌声は会場だけでなく、地下にも届いていた。


ーーーーーーーーーーー

丁度その時、地下では社長が会場に向かおうとしている所だった。


「ん?この曲は・・・」


地下に星空 ナナミの歌声が響き始めた時、後ろから爆発音が聞こえた。


「なんだ・・・?」


社長が後ろを振り向くと、車が燃え上がる中、その場に立つ人の姿があった。


「まさか・・・まだ戦えるのか・・・立花 司」


そう、普通ならば即死なはずの傷を受けた司が、魔力を放ちながら立っていたのだ。


「危うく死ぬところだったぜ」


「何故、生きている・・・」


「意地と気合いと根性。これがあれば何とかなる

さ」


ふざけた事を言っているが、目の前で司が立っている事は事実だ。


「さぁ・・・まだ付き合ってもらうぜ。この歌が

終わるまではな・・・」


そう言って司は宝具を展開した。

そう、魔力回路を破壊されたはずなのに、宝具を展開したのだ。


「やはり能力を持っていたか・・・星空 ナナ

ミ」


「ああ。ナナミちゃんの歌には力がある。人を救

うことが出来る力がね」


確かに人を救うことが出来る能力だが、組織からすれば利用できなければただの邪魔な存在でしかない。


「やはり星空 ナナミは今すぐ殺しておくべきだ

な」


「おっと、ナナミちゃんは殺させないよ。個人的

にもね・・・」


「何を言っているんだ?最初は驚いたが、よく見

ると随分と足が震えてるじゃないか」


社長の言った通り司の足は震えていた。

魔力回路が元通りになっただけで身体中の傷は消えてはいない。


「わかってるならさっさと決着をつけてくれ」


「そうですね。そうしましょうか、私の為にも」


「ああ・・・怒濤雷撃解放!!」


「バーストバスター解放!!」


お互いに宝具を解放した。


「どうですか私の宝具の名前は?単純で分かりや

すいでしょう?」


「ああ。脳筋ってことがよく分かる名前だよ」


「そうですか?貴方の宝具の名前もただの力任せ

感しか感じられませんが」


そして、互いに笑みをこぼしながら言った。


「「よく言うぜ(言いますね)」」


正真正銘、力のぶつかり合いが今始まった。

社長が持っていた剣に既に能力は無い。

星空 ナナミの歌声の力に消されてしまったらしい。

つまり、社長の武器は宝具の大剣のみ。

司の武装は由井に預けた魔銃と弾かれて飛ばされたバスターソード以外は手元にある。


「「はぁぁぁ!!」」


二人は正面から打ち合った。

魔力では復活した司の方が上だが、傷のせいもあり社長が単純な筋力勝負で勝っていた。


「どうしました?前と大して変わってませんが」


「うるせぇ!!」


司は一度距離を取った。

そして、その場に膝をついた。


「今度は普通に身体が持たないとはな・・・」


魔力が有り余っていても使える身体が無ければ使いようが無い。

相変わらず司は一撃しか放てないようだ。

だが、こんな地下で宝具の力を駆使すれば地上がどうなるかわからない。


「やっぱり雷光拳しか無いか・・・」


雷光拳の中には魔力憑依をしなければ使えない物もあるが、今回は魔力憑依している暇はない。

そんな事を考えていると、社長が迫ってきた。


「考え事とは余裕だね」


「まぁ、さっきよりはなっ!!」


司は社長を弾き飛ばすと、宝具を頭上に投げた。

社長は一瞬そちらの方に視線を向けてしまった。


「どんな人間も、注意している物を一瞬見てしま

う。能力を知っていれば特にな・・・」


社長が視線を戻す頃にはもう遅かった。

司が社長の懐に飛び込んでいたのだ。

司は膝蹴りを社長の腹部に当てると、そのまま頭部に魔力を込めた拳を降ろした。


「雷光拳、落雷!!」


そして、流れるように背中に一撃張り手を打ち込む。


「雷光拳、閃雷!!」


この連撃を食らった社長はその場に倒れていた。

意識はあるのだが、頭部に強烈な一撃を食らい脳震盪を起こしているのだ。

さらに背中に強烈な一撃を食らっているので、立ち上がる事が出来ないのだ。


「アンタは強い。これぐらいじゃ死なないさ。

俺は・・・わからないけどな・・・」


司もその場で倒れ、気を失ってしまった。


「くそ!!動け!!何故、動かない!!」


社長は体を動かそうと必死に試しているが、まったく動かなかった。

確かにダメージはそこまで大きくない。

だが、体が動かないのだ。

あまりに終わりが呆気なかったので、社長は思わず笑ってしまった。


「身体の出来の差で負けたということか・・・

フフフハハハーーー!!」


社長は負けたのだ、司の意地と気合いと根性というものに。

そう、確かに実力は上だったかもしれない。

だが、信念は司の方が上だった。

司は勝負に負けたが、戦いには勝った。

ただ、それだけだ。


つづく。



今回の解説。


今回使用した雷光拳について。


雷光拳、落雷。


相手の頭部に雷の魔力を込めた強烈な一撃を上から落とす技。

これをまともに食らったものならば、一般の魔術師ならば意識が飛んでもおかしくはない。


雷光拳、閃雷。


手の平に雷の魔力を込め、触れた瞬間に放つ技。

張り手の威力も加わるため、背骨を鍛えていないと、折れてしまう可能性は高い。


この二つは相手の動きを制限する事を重視した技である。

なので、魔力憑依は必要ない技である。


今回は以上です。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ