85話 アイドル防衛作戦 Ⅴ
いやー、まさかパートⅢを二つあげていたとは。
しかもタイトルがバラバラ。
本当にすいませんでした。
もう、自分の間抜けさが染みましたね・・・
ついに今日はファンが待ちに待った星空 ナナミ武道館ライブの日である。
そして、今日が最も警戒を厳重にする必要がある日でもある。
「この三人が今回新たに護衛に加わる仲間だ」
司が星空 ナナミに紹介したのは神器の三人だ。
「スカアハだ、よろしく」
「アテナと言います。よろしくお願いします」
「アンドロメダです。どうぞよろしくお願いしま
す」
その三人を見た星空 ナナミは呆れていた。
「女性ばかりじゃない。しかも子供もいるし」
当然この子供という単語に反応する者が中にはいる。
「子供ではありません。私は守護神です」
そう、アテナである。
だが、幼女がそんな事を言ったら一般の人は普通呆れ果てる。
「そういうのが発症している子なのね・・・」
「はぁ・・・この姿を恨めしいと思ったのはこれ
で何度目でしょうか・・・」
アテナは自分の姿にコンプレックスを抱いている様子だった。
「まぁ、姿や性格はともかく実力は凄いから安心
してくれ」
「貴方がそう言うならしかたないわね」
どうやら、納得してくれたようだった。
そんな会話をしていると、近づいてくる集団があった。
その姿を見た瞬間に司は全てを悟った。
「お、お前ら・・・どうやって・・・?」
「知らなかったんですか?師匠の家にチケットが
四枚届いていたことを」
「四枚・・・?まさか・・・」
「そう。そのまさかです」
実は星空 ナナミの事務所から今回の特別報酬として、星空 ナナミのライブならいつでも入る事ができるチケットを四枚ばかり貰う予定だったのだ。
そして、四人が手にしているチケットはその四枚である。
「お、俺の未来が・・・」
「ご、ごめんなさいお兄ちゃん」
あまりの司の落ち込みように、つい慶夏は謝罪をしてしまった。
「はぁ・・・それで、その子達は誰?」
「こいつらは俺の教え子みたいなもんだ」
「貴方はまだ高校生でしょ?何で教え子何かいる
のよ?」
「まぁ・・・色々あったんだよ」
涼は昨日の事を知らないので、仲良くなった経緯を知らない。
なので、目の前の光景が不思議でたまらないのだ。
「とりあえずちょうどいいや。お前らも一緒にナ
ナミちゃんを護衛してくれ」
「でも、由井には戦闘手段がありませんよ」
「なら、俺の銃片方を渡す。それで万が一の時は
それで戦ってくれ」
「わかりました」
司は魔銃の方を由井に渡した。
一応銃の扱い方は一通り由井に教えてあるのである。
「俺はやることがあるからここにはいない」
「ええ。せいぜい頑張ってくるといいわ」
「はいはい。そういえばナナミちゃん。昨日の約
束は覚えてるかい?」
「ええ。私は何があっても歌うわ」
司は星空 ナナミとの約束を確認すると最後に全員に指示を送った。
「アンドロメダと由井でナナミちゃんも含めて、
全員を祝福で体を強化しといてくれ」
「おいおい、随分と慎重だな・・・」
「まぁ、今回は護衛だからな。慎重にこした事は
ないからな」
この説明に全員が納得した。
今回は敵を倒すことが目的ではない。
星空 ナナミを守り通す事が今回の最低条件だ。
「じゃあ、俺は行ってくるわ」
「ああ、気をつけてな」
司は控え室を一足先に出ていった。
残ったメンバーは配置について相談することにした。
「アンドロメダはスカアハと一緒に右側を頼む。
四人組とアテナは左側を、俺は舞台袖から状況
を見る」
「「「了解」」」
こうしてライブはスタートした。
ーーーーーーーーーーーー
「さてと、待ってましたよ・・・」
司は地下駐車場である人物を待っていた。
この駐車場はライブ会場のすぐ真下にあり、星空ナナミの歌声もしっかりと聞こえてきた。
「ほう、何で私なんかを待っていたんだい?」
「今回の事件は全て仕事の現場で起きている。現
場に入れるのはファンか職員のみ。そして、更
にナナミちゃんの予定を全て細かく把握してい
るのは職員のみ」
「それで・・・?」
「更に、ナナミちゃんの個人情報を知っていて、
ナナミちゃんの歌の力を知っている人物と言え
ば黒幕の正体は絞られてくる」
「で、なんで私なんだ?」
どこまでも知らない振りをするので、司はたたみかけることにした。
「実は二年前も今回と同じようなことがありまし
てね。ある組織の一人が研究員として研究所に
潜り込んでいたんですよ。そして使えそうな技
術があったら奪い取ろうとしていたんです。
まぁ、結果は失敗でしたけど」
「だからそれがどうしたと言うんだね・・・?」
「調べさせて貰いましたよ。貴方数年前までネク
ロマンサーやってたでしょ?」
「そうだが」
「そして、今は意外な若さで事務所を経営してい
る。そうですよね?社長」
そう、司が待っていた相手は星空 ナナミの事務所の社長だったのだ。
社長は司の目を見て全てを白状した。
「はぁ・・・どうせその様子だと、私の正体はば
れているんだろ?なら、もういいかな・・・」
社長はそう言うと、車のトランクの中から剣を取り出した。
その剣からは不思議な力を感じ取ることができた。
「さてと、真実を知る疑いがある者は殺さなけれ
ばならないな・・・」
「最初からその気で来てくれよ・・・」
司も装備してきた背中のバスターソードを抜き、構える。
「だが、その前にパーティーを先に始めようか」
「パーティーだと・・・?」
社長はポケットから携帯電話を取り出し通話ボタンを押した。
すると、謎の魔力の結界によって会場が包まれた。
「な、なんだこれは・・・」
「君も会場に行けばわかるよ。まぁ、行けたらだ
けどね・・・」
「ふっ。まぁ、あいつらがいる限り大丈夫だと思
うけどな。じゃあ、行くぜ!!」
「望むところだ」
こうして地下で強者の戦いが人知れず始まった。
その戦闘の最中でも星空 ナナミの歌は聞こえていた。
ーーーーーーーーー
会場に結界が張られた時、ライブ状況は三曲目の途中であった。
「何だこの結界は?」
涼と神器組はすぐにこの異変に気がついた。
だが、四人組と星空 ナナミを含め、何も異変はなかった。
「おいおい・・・観客達の目が血走ってない
か?」
だが、観客達の製塩が止むと同時にぜんたいで前進し始めた。
そう、まるで星空 ナナミを狙うかのように。
しかも影響を受けたのは観客だけではなかった。
「どうやらスタッフの方々も同じようですね」
「ええ、そうみたいですね。これは一度合流しま
しょう」
どうやら思ったことは同じらしく、涼の元に一度全員集合した。
「俺達は祝福で強化していたから大丈夫だった
が、たったこれだけではキツいな・・・」
今回のライブは観客だけでも数万人は来ている。
そんな人間達を殺さずに対処するのは非常に難しい。
「どうしましょう。この銃には実弾しか入ってま
せん・・・」
「いや、その銃は魔力の弾も撃てるから、安心
だ。恐らく祝福の魔力なら結界の効果を打ち消
せるだろう」
「はい。魔力の弾ですね」
由井はこれで対処することができる。
ステラと香菜美と慶夏は峰打ちで対処。
アンドロメダは鎖と祝福の魔力で対処。
涼とスカアハとアテナは体術で対処することが可能。
「あとは彼女だけだな」
涼の言う彼女とは、この状況でも歌い続けている星空 ナナミの事である。
「俺はこの状況を打破できる術を知っている」
「それは何だ?」
「星空 ナナミの歌だ。彼女の歌には不思議な力
がある。それを使うことが出来ればどうにかな
るはずだ」
打破する方法がわかればやることはわかったも当然である。
「俺達のやることはたった一つ・・・」
「「「希望を信じて戦い続ける!!」」」
「わかってるじゃないか・・・よし、行く
ぞ!!」
地上でも不殺の作戦が始まった。
数万人をたった七人で対処するという無謀に近い作戦が。
だが、彼らが負けることはないだろう。
希望を信じている限り。
つづく。
今回の解説。
ネクロマンサーの違いについて。
ネクロマンサーといっても二つの勢力がそんざいする。
一つは涼が所属している死者の魂を敬い、協力してもらう善の組織。
もう一つは死者の魂を無理に利用し、犯罪に使ったりする悪の組織。
今回の敵は悪の組織のネクロマンサーである。
この二つの組織は長年対立しあっており、悪の組織の方は犯罪組織に協力しているという噂もある。
今回は以上です。




