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83話 アイドル防衛作戦 Ⅲ

なぜ、星空 ナナミと表記しているのかって?

アイドルだからですよ!!


控え室で待っていると、ついに護衛対象の星空 ナナミが入室してきた。


「貴方達が私の護衛をしてくれる二人?」


その質問に司は振り向いて答えようとしたが、司が発言する前に星空 ナナミが大声で驚きの声を上げた。


「ああ~~!!貴方は昨日の!!」


「あ、はい。どうも・・・」


この状況に何も知らない涼はついていけなかった。


「え?何この状況・・・?」


そんな涼を放置して二人は会話をしていた。


「あの時のお礼がまだだったわね。あの時はあり

がと」


「いやいや、お礼なんていいですよ」


「いや、それは私のプライドが許さないわ。それ

と敬語はやめて」


「は、はい。意外と頑固なんですね・・・」


普通に会話しているが、彼女はアイドル。

そんなに自由な時間は無い。

仕事の時間を知らせにプロデューサーの人がやって来た。


「ナナミ。そろそろ時間だぞ」


「はい、今行きます。じゃあ護衛よろしくね」


「「了解」」


本日の活動はサイン会だった。

サイン会ではファンの人間と直接触れ合うので、警戒が必要なのである。


「はぁー。いいな、俺もサインほしいわ」


「おい、任務中だぞ。程々にしとけ」


「へいへい。わかってるよ」


会話をしながらも警戒は怠らない二人。

その二人の前に怪しい人間が三人現れた。


「「「ナナミちゃん・・・付き合って下さ

い!!」」」


これは昨日司が見た光景だった。

だが、確信がなければ動くことは出来ないのだ。


「えっと・・・ごめんなさい!!」


星空 ナナミは昨日と同じように率直に断った。

問題はこの後の行動だ。

だが、もうこの後の展開は読めている。


「「「なら・・・死ねぇ!!」」」


三人は共に凶器を取り出し、星空 ナナミに襲いかかった。


「「はい、それはアウト!!」」


すかさず司と涼が二人を気絶させ、もう一人を取り押さえた。

二人の動きはピッタリで、良いコンビネーションだった。


「こいつらも洗脳されてんな・・・」


「ああ。司が捕らえた奴と症状が似ているな」


そのまま三人は他の警備員に連行されていった。


「また、助けられたわね。ありがとう」


「いや、これが俺達の仕事だからさ。お礼を一々

言ってたらきりがないよ」


「それでもお礼はしっかりと言わせてもらうわ」


「本当に頑固だな・・・」


今回のサイン会はこれで済んだが、日が経つに連れ事件の規模が大きくなっていった。


ーーーーーーーーーーー

そして早くも数日が経った。

すでに月日は十月に入ろうとしていた。


「はぁ・・・本当にどうにかならないのかし

ら?」


「黒幕がわからない以上、手を打つ手段がない」


「それはわかってるけど・・・」


流石に星空 ナナミといえどイラつきを感じているようだった。

司はこの数日で星空 ナナミがどのような人物なのか大体把握していた。


「本当にナナミちゃんって裏だと強気だな」


「あら?軽蔑した?」


「いや、逆に安心したよ。いつもステージの上で

は笑顔を振りまいているからね。そんな事ばっ

かりだったら疲れるのは当たり前だからな」


「ふーん・・・そう・・・」


星空 ナナミは何か思い当たる節があるのかわからないが、妙に嬉しそうに見えた。


「そうそう、ナナミちゃん。近いうちで一番大き

な仕事って何?」


「確か・・・武道館ライブね」


「それって明後日の?」


「そうよ」


今までの傾向的に、黒幕は星空 ナナミのスケジュールを全て把握していると思われる。

もし、仕掛けてくるならば大きな仕事の時であると予想される。


「おい、涼。明後日はお前一人でナナミちゃんを

護衛してくれ」


「は?何言ってんだお前?」


「ちょっと気になることがあってな」


「まぁ、お前がそう言うなら仕方ないな」


この二人の会話を聞いていた星空 ナナミはふと一言もらした。


「貴方達二人は羨ましいわね・・・」


「ん?ナナミちゃん何か言った?」


「いや、何も・・・」


司はわざと軽く流したが、その一言はしっかりと聞いていた。


「さてと明日はオフだから、気晴らしに遊びにい

くとするわ」


「なら俺達もついていかなきゃな」


「それじゃ気晴らしにならないじゃない」


「こちらにも任務があるんでね」


明日は珍しくオフなので遊びに行こうと考えていた星空 ナナミだったが、司と涼も同行することになってしまった。

その前に今日は仕事でなく星空 ナナミの私用をする予定だったが、二人に付いてきてもらうことにした。


「じゃあ今日は私の私用てあるところに」


「「あるところ?」」


今日のは一週間前のテロで被害にあった町を訪れた。

そう、星空 ナナミの私用とは被害者達の所を訪れ、励ますことだった。

その町はテロの被害により見るからにひどい有り様になっていた。


「これは酷いな・・・」


「どうやら爆弾を大量に使ったらしいなテロは」


このテロの事は司と涼も知っているが、詳しいことは知らなかった。

だからこそ現地を見て、その酷さを思い知った。


「建物の被害もそうだが、被害者も酷いらしい」


「ああ、死者こそ出なかったが意識不明や重傷者

が大量に出たらしいな」


三人は町民達が集まっているという避難所に向かった

そこでは避してきた町民が星空 ナナミを待っていた。

怪我をした人も子供も意識不明の人も、全員が同じ部屋に集まっていた。


「あ、ナナミちゃんだ!!」


「本当だ!!、ナナミちゃんだ!!」


子供達は星空 ナナミを見ると、途端に集まりだした。

裏では強気な星空 ナナミだったが、集まってきた子供達には優しく接していた。


「子供が好きなんだな・・・」


「ああ、優しい顔をしている・・・」


子供達にせがまれて星空 ナナミは一曲歌うことにした。

その歌に司と涼は違和感を感じた。


「おい、魔力を感じないか・・・?」


「ああ・・・確かに魔力を感じるな」


そして、次の瞬間に不思議な事が起こった。

意識不明の患者が指を動かしたのだ。

意識回復とまではいかないが、確かに指を動かしたのだ。

その回りでは歓喜の声が上がっていた。


「話に聞いたことはあるが、これが癒しの歌か」


「なるほど・・・そういうことか・・・」


「ん?どうした司?」


「実はな、この曲はライブで一度も歌った事が無

い曲なんだ。CD化もされていない」


司は一人で納得している様子だったが、涼には何もわからなかった。


「つまり、この曲はナナミちゃんの自作って事

だ。俺も聞いたのは初めてだよ」


「なるほど、正真正銘自分の歌というわけだな」


「もしかしたらナナミちゃんは宝具を持っている

のかもしれない・・・」


「そんな事があり得んのか?」


魔術師でない者で訓練をせずに宝具を展開した者の前例は無い。


「前例は無い。だが、目の前でそうとしか考えら

れない事が起こったんだ。仕方ないだろう」


「た、確かにそうだな・・・」


この推理が正しければ、今回の黒幕の狙いが今まで想像していた事と変わるかもしれない。

そう、司は考えていた。


「相手はゼロかもな・・・」


「ゼロか・・・確かに奴等がこの事を知っていた

ら確実に狙ってくるだろうな」


「ああ。だが、この事を知っているのはナナミち

ゃんと近しい存在の人間な筈だ」


「これで黒幕は絞れるかもしれないな」


司と涼は星空 ナナミの歌を聞きながら今後の話をしていた。

ゼロがもし関わっているとしたら、どんなことが起きるかわからない。


「これは案外覚悟を決めておかないとな・・・」


司は自分の右腕を見てそう呟いた。

この覚悟がどんなものなのかは司のみが知っている。



つづく。




今回の解説。


涼の装備について。


涼はネクロマンサー兼ウィザードである。

その為、他の人間と装備が少し違う。


まず、八岐大蛇事件の時に使ったリボルバー型拳銃。

これで殺された魔獣は一定時間涼の支配下に置かれるという魔獣専用の武器。

そして、今回は対人戦とのことで、剣を装備している。

この剣は切れ味も鋭いが、魔力を打ち消すという効果ももっている。

近接戦にはもってこいである。

他にも小道具はあるが、今回はここまでとします。


今回は以上です。



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