82話 アイドル防衛作戦 Ⅱ
久し振りの涼が登場。
いつもの三人も忘れていませんよ。
司は青年を警察署に連れてきていた。
実は警察署には知り合いが数人いるのだ。
青年の取り調べはすでに終わっており、司は知り合いから情報を聞いていた。
「なるほど・・・ライブ会場に来てからの記憶が
無いって言ってたのか」
「ああ。どうやら本当に記憶が無いらしくてな。
だが、どうやらトイレに行くまでの記憶はある
らしいんだ」
「トイレに・・・?」
ライブ会場に入るにはチケットを必ずゲートの職員にチケットを見せなければならない。
そして、会場の外にトイレは無い。
つまり、犯人は会場の中に居たことになる。
「ズバリ犯人はナナミちゃんのファンだな」
「それは無い・・・と言い切れないな・・・」
このふざけた可能性は無いとは言い切れなかった。
「他にも職員が犯人っていう可能性もあるな」
「そもそも別にファンじゃ無いかもな」
二人は犯人について予想をたてるが、そもそも情報量が少な過ぎて予想をするのも厳しい。
「まぁ、いいや。じゃあ、何か他に分かったら教
えてくれ」
「ああ、ご苦労様。そしてナナミちゃんのライブ
に参加できなくて御愁傷様」
「うるせぇ」
こうして司は警察署を後にした。
知り合いには話していなかったが、今回の出来事は星空 ナナミだけを襲ったものでは無いかもしれないと、司は考えていた。
「チケットの送り主か・・・」
丁度司がライブを見に来た時に事件が起きるのは流石にタイミングが良すぎる。
司に招待状を送った人物が犯人だと考えるのが妥当だろう。
「もしかして面倒な事に巻き込まれた
か・・・?」
司はその後ライブ会場に戻ろうとしたが、流石に目立ち過ぎたと思ったので、真っ直ぐ帰宅した。
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「ただいまー」
「あれ?意外と早く帰ってきましたね」
「ああ・・・色々あってな・・・」
司の気分はライブに参加出来なかったので、沈んでいた。
「丁度夕飯の時間だったので、一緒に食べましょ
う」
「ああ。俺もお腹が減ったよ」
丁度その時、姐二人が仕事を終え帰宅してきた。
「ただいまー」
「ただいま帰りました」
更には今日は揃って出掛けていた神器三人も帰宅してきた。
「ただいま帰ったぞ」
「今帰りました」
「ただいまです」
五人に対してしっかりと慶夏は対応をする。
「皆さんお帰りなさい。今丁度夕飯にしようと思
っていた所なんです」
「お、いいねぇー。私達も一緒に食べるわ」
「ええ。家族全員でご飯を頂く事ほど素晴らしい
事はありませんから」
「私も同意だ」
「では、手を洗いにいきましょうか」
「それはいいですね」
こうして家族全員で夕飯を食べることになった。
だが、大抵その時間に司に仕事の話がやってくる。
「そうそう。司に頼みたいことがあるんだ」
「え?何?」
「実は今話題の星空 ナナミの護衛を頼まれてし
まってね」
「ナナミちゃんの護衛?」
司はこの時、護衛を依頼してきた理由は今日の事が原因だったと思っていたが、冷静に考えるとそれはあり得なかった。
事件が起きたのは夕方、そして今は星空 ナナミはまだライブ中である。
つまり、情報伝達が出来ていないということである。
「で、なんで俺なの?」
「実は実力者にしてくれと頼まれてるんだけど、
龍と皇気は他にやることができてしまったから
頼めなかったんだ」
「それで俺に来たと・・・」
「ああ。しかもお前星空 ナナミのファンだろ?
丁度いいかなって思って」
汐里のその発言はある一人の少女を硬直させた。
「え?お兄ちゃんアイドルが好きなの?」
その反応に神器三人は追い討ちをかける。
「知らないんですか慶夏?司は俗に言うオタクと
いう者なんですよ」
「ああ。好きな服はメイド服だしな」
「まぁ、司もお年頃ということです」
慶夏は司の部屋の中には入ったことも見たことも無い。
一瞬にして慶夏の中の司のイメージが崩れた。
「そんな・・・お兄ちゃんにそんな趣味
が・・・」
「お、おい、大丈夫か?」
「は、はい。どんなお兄ちゃんでも兄弟ですの
で・・・頑張ります」
慶夏の謎の決意はとても固く感じられた。
司はここで話を元に戻した。
「話を戻すけど、とりあえずナナミちゃんの護衛
をしろってことでいいんだな?」
「そういうこと。ああ、涼もこの護衛に参加する
から」
「涼もか・・・あいつは頼りになるからな」
護衛は多過ぎても少な過ぎてもいけない任務である。
更に一人一人の実力も大事である。
そのような面で涼は優秀であると考えられる。
「よし。俺もその任務を受けよう」
「ありがとうございます司」
「問題はあの三人をどうするかだよな・・・」
任務を受けたのはいいが、三人との特訓や学校での事はどうしようかと考える司であった。
「説明なら私がしておきますよ」
「おお、それはありたがたい」
結局は明日慶夏が三人に説明することになった。
「とりあえず夕飯を食べましょう」
「「「はーい」」」
この後は普通に過ごして今日は終わった。
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そして、次の日の学校。
「・・・ということだから当分お兄ちゃんは学校
に来ません」
「大人気・・・」
「アイドルの・・・」
「護衛・・・?」
慶夏は三人から放たれた謎の威圧にたじろいでしまった。
そう、三人共に目が笑っていないのだ。
「これは事件が起きますね」
「じ、事件・・・?何のですか?」
「師匠なら絶対アイドルに手を出します
ね・・・」
香菜美は確信を持ってそう答えた。
慶夏は理由を聞いてみることにした。
「な、何でですか?」
それに答えたのは由井だった。
「実は司先輩は会う女性を全て手駒にしているん
です」
「ええ!?」
ここでステラが今までの例をあげた。
「例えばギリシャの貴族、理事長の娘、ギリシャ
の美少女などですかね」
「例を聞く限り、お兄ちゃんが変態としか考えら
れませんね・・・」
「そうです。師匠は変態で女たらしなのです」
「そ、そんな・・・知りたくありませんでした」
昨日に続いて今日も慶夏は司の真実を知ってしまった。
「わ、私はどうすれば・・・」
「そんなの簡単です」
香菜美がそう言うと、三人は口を揃えて言った。
「「「手を出す前に押さえる」」」
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その頃の司は、そろそろ任務に付こうとしていた。
「へっくしょん!!噂でもしてんのか・・・?」
「おいおい。そんなわけないだろ」
「まぁ、そんな事より今回の事どう思う?」
「ああ。どうせ面倒な事になる。更にお前が関わ
ってるからな」
「どういう意味だよ?」
「そういう意味だよ」
この二人は今後、色々と驚かせる事に出会うのだが、それは次回以降のお話。
つづく。
今回の解説は無いので、次回予告。
遂にアイドルの護衛が始まった二人。
明かされる星空 ナナミの本当の姿。
それに司は耐えきれるのか?
更に動きだす三人・・・その行動とは?
次回 アイドル護衛任務Ⅱ
暇なら見てくださいな。




