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75話 忍者VS破壊者 Ⅶ

今回のバトルのクライマックス。

是非、堪能あれ。

約三年前、司は体術の他にも沙夜から色々と習っていた。

そして、これは最後に習った魔術。


「司。今から教えることは、まさに最終手段と呼

べる技術だ」


「何その超危険そうな雰囲気・・・」


「いや、だって本当に危険なんだもの」


「そんなもの教えんな」


この時の司は、まさか今後一年以内に沙夜が死ぬとは考えてもいなかった。

今考えてみるとこの時すでに沙夜は自分の死をなんとなく悟っていたのかもしれない。


「じゃあ教えるぞ。はぁぁぁ!!」


沙夜は集中するように目を閉じると数分の間動かなくなった。


「おーい、沙夜姐。何やってんだ?」


司が声をかけても何も反応が無かったので、とりあえず司はそのまま待つことにした。

更にちょっと時間が経つと、ついに沙夜が目を開けた。


「よし、やっとできた。どうだ司、今の私はさっ

きと何か変わった所はあるか?」


「いや、魔術武装みたいに外見は変わってないけ

ど・・・」


「違う違う。外見じゃなくて中身だよ」


司はじっくりと沙夜を眺める。

どんなに観察をしても司は何も感じなかった。


「わからないか。なら司、私に触れてみな」


「どうしたんだよいきなり・・・」


司はぶつぶつ言いながらも、言われた通りに沙夜に触れてみた。

すると、静電気のように電気が司に流れてきた。


「な、何だこれ!?」


確かに沙夜の魔力属性は司と同じ雷だが、魔術武装もしていないのに、触れるだけで電気が流れる事など無い。

何かしら魔力を放出しなければならないので、必ず外見に何かしらの異変があるはずなのだ。


「どうなってるんだ?」


「これは私が編み出した魔術の一つ。名付けて魔

力憑依だ」


「魔力憑依・・・?」


名前からは沙夜が何をしたのかよくわからなかった。


「魔術武装が体の外側に一定の魔力を留める事に

よってできる魔術なら、魔力憑依は体の内側に

限界まで魔力を蓄積する事によりできる魔術

だ」


「体内に蓄積・・・?」


魔術武装の定理はわかったが、魔力憑依の事はうっすらとしかわからなかった。


「基本魔術のブラストのやり方はわかるよね?」


「ああ。腕に魔力を貯めて一気に放出をするだけ

だろ?」


「その通りだ。ところで、何処に魔力を貯め

る?」


司はその質問を聞いてやっと気がついた。


「ブラストは体の内側と外側の両方にに魔力を貯

める」


「そう。ただしブラストは適当に魔力を貯めるか

ら細かい意識はしなくていいけどね」


ブラストは確かに腕の内側に魔力を貯めるが、すぐに放出してしまうのでそこまで難しくはない、流石の基本魔術と言ったところだ。

ただし魔力憑依は違う。

難易度も高いが、危険度も高い。


「はい。じゃあ、早速特訓するよ」


「へーい」


司は早速先程の沙夜の真似を何となくやろうとしたが、沙夜は思い出したかのように司にいった。


「そうそう、これは最初に言った通りまさに最終

手段だ」


「はいはい、わかったわかった」


「まぁ、聞きなさい。最終手段といっても、別に

戦闘から逃げるという選択肢もあるわけだ」


「何が言いたいんだよ?」


「いいか、戦闘には逃げてはいけない場合があ

る。理由は人それぞれだけど、いつか司にもそ

の時が来ると私は思っている。これがわかる頃

には少しはまともなウィザードになってるよ」


司には沙夜の言いたいことがこの時はわからなかった。

この時の言葉はその時の司にも、心の中にしっかりと刻まれていた。


ーーーーーーーーーーー

そう、今なら沙夜の言っていたことがわかる。

今回の戦いは司のためではない。

慶夏や忍の里を守るために戦っている。

だから、司は魔力憑依を使うことを決めた。


「な、何だ今のは・・・?」


吹き飛ばされた先で伊之助が驚愕していた。

与えられたダメージよりも驚きの方が大きかったのだ。

実際目の前で見ていた四人も驚きを隠しきれていないのだから。


「タイムリミットは一分ぐらいか・・・」


司はそう呟くと一気に伊之助の方に向かった。

伊之助も回避行動を取ろうとするが、司の速さに

全くついていけて無かった。

伊之助は勢い良く顔面に拳を直に受けた。


「・・・逃げる暇は与えない」


司は更に別の方向に吹き飛ぼうとしている伊之助を地面に叩きつけた。

ここまでの動き、約一秒。

更に司は追撃を行おうとする。

伊之助はそれを防ごうと抵抗をする。


「サンダーブラスト!!」


ブラストは基本魔術の中でも威力がかなり出る魔術だ。

だが、司には一切当たらなかった。

しかも、ほとんど零距離だったはずなのにだ。


「ライトニングブレイク」


司は回避してすぐに伊之助に技を放った。

伊之助はすれすれで直撃を回避することに成功した。

だが、ライトニングブレイクも実際はブラストの応用なはずなのだが、威力が桁違いだった。


「何ですか・・・あの威力は・・・」


「今までと桁が違いすぎます・・・」


「宝具を使っていないのに・・・」


技が命中した床は突き抜けており、技の衝撃で伊之助は再び吹き飛ばされていた。


「な、何が起きたというんだ・・・」


伊之助は現在の司に何が起こっているのか理解できなかった。

理解しようとしても、考える前に司が攻めてくるのだ。


「くっ!!速すぎる!!」


伊之助も必死に抵抗をするが、攻撃は全く司に命中しなかった。

そして、一方的に攻撃を受けていった。

約三十秒ほど経つ頃には、伊之助はもうボロボロであった。


「・・・何故こうなった・・・」


本当に司は圧倒的に強くなった。

司はすでに宝具を使うことは不可能な状態であり、魔術武装もそろそろ発動出来ないぐらいまで追い込んでいるはずだった。

だが、今は逆の立場になってしまった。


「そろそろタイムリミットが近いな」


だが、実際は司にも制限時間が迫っていた。

制限時間以内に伊之助を倒しきれなければ司の負けである。


「一気に決める!!」


「来い!!立花 司!!」


残り時間二十五秒。


「雷帝突き!!」


司は肘で伊之助を攻撃するが、伊之助はなんとかガードに成功した。

だが、ガードしたせいで腕に不可がかかってしまった。


「くっ!!距離をとらねば」


伊之助は懐からクナイを取り出し、司に投げつけた。

これは伊之助お手製のクナイであり、奥の手の一つであった。


「そんなものまでっ!!」


司は回避することに成功したが、伊之助には距離をとられてしまったし、時間も消費してしまった。

残り時間十五秒。


「俺の予想では残り時間は数秒ってとこだな」


伊之助の思った通り、本当に制限時間が迫っていた。

だが、司には攻めることしかできない。


「これで押しきる!!」


司は再び一気に伊之助に近づいた。


「同じ手は食らわない!!」


伊之助もただやられていたわけではない。

司をよく観察して速さに目をならしていたのだ。


「いや、食らってもらう!!」


司は右手に魔力を貯めた。

これを見た伊之助は先程の技だと推測した。

なので、再び距離をとろうとしたが、司は逃がさなかった。

残り時間は十秒。


「雷光拳・・・迅雷!!」


司は今まで放っていない技を放った。

この技はライトニングブレイクと違い何倍も突きが速かった。


「は、速い!!」


司の突きは伊之助を捉えた。

そのまま伊之助は部屋の奥まで吹き飛ばされた。


「か、勝ったのか・・・?」


「さ、さぁ・・・」


「わ、わかりません・・・」


四人は目の前の一分の攻防を見ていたが、頭が追い付いていなかった。

奥の煙が晴れるとその場で伊之助が倒れていた。

残り時間は零秒。


「戦闘・・・終了。やればできるもん・・・だ

な」


司もその場で倒れてしまった。


「師匠!!」


「先輩!!」


「司さん!!」


「立花さん!!」


四人が倒れた司に急いで駆け寄った。

こうして、慶夏の以来通り事件の黒幕を倒すことに成功した。

だが、一番悲しいのは慶夏本人である。

このことを司は理解していたのかもしれない。

そう、事件を解決しても慶夏の心は癒えないのだから


つづく。



今回の解説。


魔力憑依について。


魔力憑依は体の内部に限界まで魔力を貯めることによって、身体能力を高めることができる。

ただし、魔術武装をしなければ体が壊れてしまうであろう。

だが、魔術武装をしないで魔力憑依を行った時、身体能力は人を越えた値になるだろう。


今回は以上です。


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