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74 忍者VS破壊者 Ⅵ

ついに動きだす四人。

果たして、伊之助の宝具の能力は・・・?


なんてね。

忍の里では、今二つ戦闘が繰り広げられている。

司と伊之助の戦いはまだ気づかれてはいないが、爆発音などで魔獣達の存在は忍の里中に広まっていた。

忍の里の戦士達は既に戦場に集結しているが、由井、香菜美、ステラ、慶夏も後から戦場に来ていた。


「これは一体・・・」


慶夏は戦闘の状況を見て驚愕していた。

他の三人も慶夏と同様に驚愕していた。


「ん?あれは・・・」


その姿を見たスカアハが四人の所にやって来た。

スカアハは単刀直入に四人に言った。


「やっと来たか。司ならここにはいないぞ」


「では、司先輩は何処にいるんですか!?」


由井の質問にスカアハは答えるか迷った。

実を言うと伊之助の事は司に口止めされていたのである。

だが、スカアハは自信の判断で教えることにした。


「長の部屋で司は戦っている」


「長の部屋で・・・?」


確かに長の部屋はとても広く、戦闘も出来るだろうが、そこで戦闘をしている理由が四人にはわからなかった。


「とりあえず、向かうなら急いだ方がいいぞ。ど

うやら司もかなり苦戦をしているらしい」


スカアハは司の方の戦闘が流石に長続きしすぎていると感じていた。

この事は他の神器二人も感じていることだった。


「はい。では、行ってきます」


「気を付けてな。それと慶夏」


「はい?」


スカアハは司の所に向かわせる前に、慶夏を呼び止めた。


「慶夏、お前は覚悟を持っておいた方がいい」


「・・・覚悟・・・?」


「そうだ、覚悟だ」


慶夏にはその言葉の真意はわからなかったが、心に留めておくことにした。

こうして四人は長の部屋に向かうために、忍の里の中心にそびえ立つ建物に向かった。

まだ見習いとはいえ、四人はウィザードのはしくれである。

充分に体を鍛えているので、司の所に向かうのにそう時間は掛からないだろう。


ーーーーーーーーーーーーーーー

司と伊之助の戦いは続いていた。

いや、続きすぎていたという方が正しい。

普通ならば司の体は限界を超えているはずだが、何故かまだ司には余裕があった。


(これはどういうことだ・・・?)


司は戦いながらも違和感を感じていた。

別に体の調子がいいという訳ではないし、祝福で強化してもらったわけでもない。

普通ならば良い状況なのだが、司はおかしいと感じていた。


「どうした?魔力の値が下がってるぞ」


「こっちには時間制限ってもんがあるんで」


「そうかい」


伊之助の問いに司は適当に返したが、実際意識してみると確かに魔力の値が下がっていた。

それでも、司の戦い方は変わらない。

ただ全力をぶつけるのみ。


「ライトニングインパクト!!」


司はお得意の技を放つ。

実際、司の宝具にはこの技ぐらいしかない。

だが、やけに魔力消費が少ないとこの時感じていた。


「おいおい。学習してくれよ」


前回の一撃よりもいりょくは格段と下がっていた。

伊之助はそんな一撃を軽く逸らしてみせた。

だが、司は微塵も驚いてはいなかった。


「今のではっきりしたぜ」


伊之助の宝具の能力は今まで不明であり、司にも全く見当が付かなかったが、今の一撃を放っておおよその見当はついた。


「アンタの宝具の能力は、多分魔力の放出を押さ

える事ができる・・・だろ?」


「ほう。よくわかったね・・・確かにその通り

だ」


「隠す気ゼロじゃねーか」


「ばらしたところで別に防げる訳ではないだ

ろ?」


伊之助は余裕そうにそう言ったが、確かに言った通りだった。

能力がわかっても、発動条件がわからなければ防ぐ事は不可能だ。


「となると、宝具は役にたたないか・・・」


このまま宝具を展開していてもジリ貧なだけである。

だが、持久戦が出来ない事は何にも変わりはない。


「宝具を持った敵。自身は宝具を扱えない状況。

持久戦は不可能。となると、あれしかないな」


司はそう呟くと、その場から動かなくなった。

目を閉じひたすら何かに集中し始めた。

伊之助は目の前で無防備になった司に困惑していた。


「何がしたいんだこいつは・・・まぁ、何にせよ

今が攻め時だな・・・」


伊之助は無防備な司を攻めてきた。

司は目を閉じていたが、何故か伊之助の宝具だけはかわしていた。

つまり、伊之助の宝具以外の攻撃は直撃しているということだ。


「ちっ、こいつ・・・俺の宝具だけを重点的に警

戒しているな・・・」


目を閉じているはずなのに的確に宝具による攻撃だけを避ける。

こんなことは常人には普通できない芸当である。


「しかも、魔術武装しているからたいして他の攻

撃は効いてねぇな」


魔力放出をおさえているとはいえ、魔術武装が出来なくなるまでにはまだまだ長い時間がある。

その前に絶対司は何かを仕掛けてくる。

それまでにどれだけダメージを与えられるかが伊之助の勝利の鍵であった。


「なら、魔術で攻めるのみだな」


伊之助は巻物を取り出すと、床に大きく開いた。


「風の魔術・・・ブラストトルネード!!」


伊之助が魔術名を叫びながら巻物に手をつくと、司の足元から凄まじい竜巻が発生し、司を飲み込んだ。


「この魔術に取り込まれた者は、この魔術が解除

されるまで風で切り刻まれ続ける」


まさしくこの魔術は今の伊之助の状況に最適な魔術といえるだろう。

問題はこの魔術が解けた時、どれだけ司がダメージを負っているかである。


ーーーーーーーーーーーー

伊之助が魔術をかけて数分後、ついに魔術が解けた。

竜巻の中からは傷だらけの司が出てきたが、致命傷というわけでらなかった。


「あれを食らって無事とはな・・・流石は破壊者

というわけか。だが!!」


伊之助が再び司を攻撃しようとした時、その攻撃を止める声がした。


「止めてください!!」


伊之助が声の方を振り向くと、慶夏と三人組がいた。

そう、伊之助が魔術をかけている間に四人は到着したのだ。


「何だ・・・慶夏か・・・」


「伊之助さん・・・今すぐ止めてください」


慶夏は目の前の光景を見て、スカアハに言われた覚悟の意味を理解した。

傷だらけの司、その司に攻撃をしようとした伊之助。

これだけで現状を理解するのは十分だ。


「伊之助さんもう止めてください」


「何を言っているんだ?私は何もしていないじゃ

ないか」


確かに慶夏の前では何もまだしてはいない。

だが、慶夏も信じたくはないが目の前の先程の光景から黒幕が伊之助と判断するしかなかった。


「信じたくはないですが、黒幕は伊之助さんだっ

たんですね・・・」


慶夏は目に涙を浮かべながら言った。

流石の伊之助は誤魔化すのもあきられめ、先程床に転がした巻物のところまで下がった。

伊之助のその動きに香菜美とステラが反応してたが、すぐさま伊之助は再び巻物に手を置いた。


「お前達は黙って見てな。バインド!!」


伊之助は魔術で四人の動きを一斉に止めた。


「な、何だこれは!?」


「う、動けません!!」


いきなり体が動かなくなったので、全員驚愕を隠せなかった。

そんな事よりも四人を放っておき、伊之助は再び司に攻撃を仕掛ける。


「無力な己自信を味わうといいっ!!」


「「「止めろーーー!!」」」


誰もが司に伊之助の宝具が刺さると思ったが、違った。

宝具が刺さろうとした瞬間、司は急に動き伊之助を吹き飛ばした。


「ふぅーーー。チャージ完了・・・」


「な、何が起こったんだ・・・」


吹き飛ばされ驚愕する伊之助に対し、司はとても落ち着いていた。


「さぁ・・・決着をつけようか・・・」


司以外は何が目の前で起きているのかわからなかったが、伊之助は感じていた。

今の先程までと全く違い、一番不味い状態だと。

今ここに、勝者が決まる。



つづく。



今回の解説。


伊之助巻物を用いて使った魔術について。


ブラストトルネード。


本当は陣魔術であるが、巻物を用いる事によって陣を作らなくても発動できるようになっていた。

この魔術は相手の足元より凄まじい竜巻を起こし、風の刃の中に閉じ込める事ができる魔術。


バインド。


どの魔力属性の持ち主でも扱うことの出来る魔術。

だが、上級魔術なのでそう簡単には扱うことはできない。

視認した相手の動きを一時的に止める事ができる。

ただし、この魔術をかけられても振り切ることも可能。


今回は以上です。






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