70話 忍者VS破壊者 Ⅱ
もう年が明けますね。
この物語は今回で丁度70話ですね。
え、71部目だって?はっはー、そんな馬鹿な。
と、言うわけでよいお年を!!
忍の里の中央に位置している大きな建物、それが忍の里の長が住んでいる所である。
司達も慶夏に連れられて来ていた。
「ここが長のいる部屋です。くれぐれも無礼が無
いようにお願いします」
流石の司も、相手が偉い人だとわかっていて無礼な事をするほど馬鹿ではない。
といいなと思っている他のメンバーであった。
「慶夏です。報告をしに来ました」
「慶夏か。入っていいぞ」
「失礼します」
慶夏が丁寧に扉を開けて中に入ると、部屋の奥にご老人が座っていた。
司はその老人を見て理解した、相当の手練れであると。
「後ろにいる者達は何だ?」
「はい、今回の事件解決の手助けをしてくださる
方達です」
「そうか。それぞれ名を教えてくれくれるか?」
長の言った通り司達はそれぞれ自己紹介をした。
神器達の自己紹介の時は長も流石に驚いていた。
当然である、西洋の神や女王の名前が出てきたのだから。
「ほぉ、神器が人型になるとはな・・・」
「ええ・・・まぁ・・・」
流石に長なので説明をすると、長は驚きながらも納得していた。
慶夏の方は知らなかったので、若干拗ねていた。
「立花さん。私はそんなこと知らなかったんです
けど・・・?」
「悪かったよ。実際、俺もあまりよくわかってな
いんだ」
司的にも未だに原理はわかっていない。
加奈子に一度聞いてみたが、加奈子にも詳しくはわからなかった。
「それではこの者達に任せたぞ。立花殿、慶夏の
事は頼みましたぞ」
この台詞を長が言った時、慶夏は再び拗ねて膨れていた。
「任せておいてください。ところで、何処かへお
出かけですか?」
「ああ。ウィザード協会に行ってくる」
ウィザード協会という単語を聞いて司は納得した。
ウィザード協会は大きな事件や問題があった時、全国の偉い人が集まり会議をするのだ。
「もしかしてゼロについてですか・・・?」
「ああ、最近のゼロについての会議と聞いてい
る」
司が関わっただけでも、随分な量の事件をゼロは起こしている。
これは流石に世界的な問題にそろそろなると司はふんでいた。
「そうですか・・・今回の件もゼロが関わってい
るかもしれません」
「そうかもしれんのう。そこのところも頼むぞ立
花殿」
「了解しました」
司と長は初めて会ったとは思えぬほど話の流れがスムーズだった。
以外だったのかわからないが、その様子を見て慶夏は驚愕していた。
情報交換の後、すぐに長は忍の里を後にした。
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「長とあんなに喋れる人は始めてみました」
「そうか?いい人だったじゃん」
長との話が終われば慶夏と話す。
この流れを見ていて、三人組と神器達は黙っているわけがない。
「また、始まりましたよ。あの二人だけの世界
が」
「そんな事を言っていていいのか?司を取られて
しまうぞ」
香菜美の台詞にスカアハが指摘を加える。
その指摘に香菜美は拗ねて膨れていた。
「これからどうしますか立花さん?」
「そうだな・・・現場に連れてってくれないか」
「わかりました。では、付いてきてください」
司達は慶夏に連れられて忍の里を囲む岸壁の方にやってきた。
「すごい穴だな・・・ここから魔獣が出てきたの
か?」
岩壁には、とても大きな穴が空いていた。
そう、まるで何かを爆発させたかのような穴が。
「はい。ここから魔獣がいきなり現れたのです。
どうにかその魔獣は撃退しましたが、負傷者が
いくらか出てしまいました」
忍者は隠密行動と同じくらい戦闘が得意なのである。
その忍者が負傷するということは、相当の強さを持つか、相当の数の魔獣が出たに違いない。
司はこの事を理解していた。
「成る程な。もう一度来た時に対応出来るかわか
らないということだな」
「はい。再びこれが起きる時はそれを未然に防が
なければいけません。そのための立花さん達で
す」
次の事件を未然に防ぐには、犯人と犯行場所を特定しなくてはならない。
これはウィザードの基本中の基本である。
犯人について全員が考えていると、由井から意見があった。
「あのー。犯人の魔力属性は火属性じゃないでし
ょうか?」
「なんでそう思うんだ?」
由井の意見に対して、司は理由を聞いてみる。
「この穴はきっと爆発であいた穴です。爆発を何
も道具残さずに起こせるとしたら、火属性しか
ありません」
この由井の考えはもっともだ。
ただし今回の場合は違った。
「おいおい。一応俺も爆発ぐらいは起こせるぞ。
それとな、相手は火属性とは限らないぞ」
「確かに先輩の宝具なら穴ぐらい開けられそうで
すね・・・でも、犯人が火属性と限らないって
どういうことですか?」
すると、司は慶夏に耳越しで何かを呟いた。
慶夏はその後、懐から何故か巻物を取り出した。
「お前らに忍術ってやつを教えてやるよ」
「「「はい?」」」
流石のこれには、三人に加えて神器達も首を傾げていた。
そんな事はお構い無しに司は説明を始めた。
「忍術ってのはな、巻物に魔術の紋章や詠唱など
の情報を元々書き込んでおき、巻物の所持者が
その魔術を理解していれば発動できる仕組み
だ」
この説明でステラはどうやら司の伝えたい意図が理解できたらしい。
「な、なるほど・・・巻物を所持していれば、犯
人がどんな魔力属性だろうと関係が無いという
わけですね」
「そういうこと」
ステラが改めて説明してくれたお陰で、全員に意図が伝わった。
「しかも、巻物を読めばどんな魔術かわかるし
な」
この説明ぶりに、慶夏は再び驚愕していた。
「た、立花さんは忍術を知っていたんですね」
「まぁな。昔にちょっとあってな」
流石の神器達も忍術については全く知らなかったらしく、興味を持ち始めていた。
「慶夏さん。その忍術というものを見せてくださ
いな」
慶夏にいきなりアンドロメダが忍術を見せてほしいと頼んだが、何故かやってくれなかった。
「いや・・・今はちょっと・・・」
「そうだぞ、慶夏が忍術使えればこんなことには
すぐに気づくだろ」
司的にはフォローしたつもりだったが、逆効果だった。
「た、立花さんの馬鹿ー!!」
慶夏は司にそう言いながら司をポカポカ叩き始めた。
そう、慶夏はまだ忍術を使うことが出来なかったのだ。
「わ、悪かったよ慶夏」
まるで漫画なのでありそうな展開を目の前で見せつけられる三人組と神器達。
「何ですかこれ・・・?」
「何かを見せつけられてる気がするな」
神器達は最早呆れていた。
三人も同じような気持ちになっていた。
「帰りますか」
「そうですね」
互いに意志が一致したということで、周りから見るとイチャイチャしているようにしか見えない二人を残して帰った。
その事に二人が気づくのは三十分後であったのは、流石に驚きだった。
つづく。
今回の解説。
忍術について。
忍術は巻物に様々な魔術の情報を記しておくことにより、どのような者でも簡単に魔術を扱うことができる技術の事である。
様々な魔術を扱うことが可能で、詠唱魔術から陣魔術まで扱うことがかのう。
更には魔力属性が火属性じゃない人も炎の魔術を使うことができたりする。
他にも特殊魔力属性の魔術を使うこともできる。
今回は以上です。




