69話 忍者VS破壊者 Ⅰ
忍者ってかっこいいですよね。
少し短いかもしれません。
そこはすいませんでした。
司達は集合場所の東京駅から随分と田舎の方に来ていた。
やはり、忍の里というものは山奥にあるらしい。
今回は島根県の時よりも随分と山奥に村があった。
途中の道は随分と入り組んでおり、とても覚えられそうになかった。
「よく覚えていられるな・・・」
「何度も通ってますから、感覚でわかるんです」
司達は隠されながらもしっかりと整備された道を突き進んだ。
「それにしても随分としっかりした道だな」
「そうでしょう。なにせ係りの人が毎日掃除して
いますから」
司と慶夏はこの前知り合ったばかりとは思えぬほど、明るく会話していた。
そんな様子を見て、何も知らない神器達は三人組に質問をする。
「あの子何ですか?随分と司と仲良く喋っていま
すが」
「私達にもわかりません。知り合ってすぐあんな
感じでした」
アテナの疑問は他の神器も同じようだった。
この事については三人も理解不能なようで、根拠がわかっていないのだ。
「ところでよ、黒幕の目星はついてんのか?」
「いいえ・・・目星どころか手がかりすらありま
せん」
「そうか・・・となると、きっと黒幕は相当の実
力の持ち主だな」
忍者は元々隠密専門のスペシャリスト。
その忍者に全く手がかりを見せないということは、相手も相当のやり手ということになる。
司がどんな相手なのか想像していると、どうやら忍の里に着いたようだった。
「皆さん。着きましたよー」
「おお。ここが忍の里か・・・」
忍の里は中々に大きな村であった。
山の岸壁に四方を囲まれており、隠れるにはもってこいの環境だった。
「というか、里なのに村なんだな・・・」
「そ、そこは気にしないでください」
「忍者は気にしない事が多いな」
実際資料やネットで調べても、忍の里は村と説明
されている。
司も前回村と説明したが、実際はとても謎に思っていた。
「とりあえず、私のお世話になっている家に行き
ましょう」
司はその慶夏の台詞が気になった。
慶夏は家ではなくお世話になっている家と言ったのだ。
「お前・・・家族はいるのか?」
司はこの事については聞くことを迷ったが、しっかりと聞いておく事にした。
慶夏の方は迷う事なくしつもんに答えた。
「今はいません。数年前に両親二人とも亡くなり
ました」
「そうか・・・不謹慎だったな、すまなかった」
「あ、謝らないでください・・・」
どうやら慶夏は、司と同じように両親を数年前に亡くしていあるようだった。
「どうやら花澤さんは師匠と境遇が同じらしいで
すね・・・」
「果たして花澤さんのお世話になっている人はい
い人なのでしょうか」
「きっといい人ですよ」
先程の話を聞いていた三人は、慶夏に謎の心配をし始めた。
その話を聞いていた慶夏は笑っていた。
司はその笑顔を横目に見つつ、三人と同じ心配をしていた。
「ただいま戻りました!!」
村の入り口から少し歩くと、慶夏がお世話になっているという家に着いた。
「おお、今帰ったか慶夏」
中で慶夏を出迎えてくれたのは中年の男性だった。
司達はその男性に挨拶をする。
「「「こんにちは」」」
「ん?君達は誰かね?」
すると、慶夏が男性に司達の事を説明した。
「この方たちは、今回の事件の解決に助力してい
ただける人達です」
男性はすぐ理解したのか、司達を歓迎してくれた。
「そうかそうか。ならば自己紹介からだな。私の
名前は鬼瓦 伊之助という。宜しく頼む」
中年の男性は丁寧に自己紹介をしてくれた。
それに続いて司達は自己紹介をしていった。
伊之助は見たからに優しそうな男性であったため、三人には安心していた。
「よかったですね。鬼瓦さんは優しそうでした」
「よくいるおじさんみたいな方でしたね」
「花澤さんの事を考えていてくれてよかったで
す」
三人はそれぞれ伊之助の事を優しいと思っていたが、司と神器達は違った。
「それでは、長に報告してきますね」
「ああ、いってきな」
司達は忍の里の長に報告することになったので、一度伊之助と別れた。
この時トイレと言ってその場を離れ、司と神器達は伊之助について話し合った。
「おい、お前らはあのおっさんをどう思う?」
まずは神器達に伊之助のイメージを聞いてみた。
「必ず何かしら裏があるな」
「かなりの武人ですね。オーラが隠しきれていま
せんでしたよ」
「ただのおじさんというわけではないですね」
神器達はそれぞれ伊之助に疑いを持っていた。
司も根拠を持って伊之助を疑っていた。
「あのおっさん、俺の名前を聞いた瞬間少し殺気
を漏らしやがった。俺の名前を知っているやつ
にろくなやつはいないね」
「お前、そんなこと言っていて悲しくないの
か?」
「悲しいなぁ・・・」
とりあえず情報交換をしただけでこの話は終わらせて合流した。
「以外とトイレ長かったですね」
「まぁな、詳しくは言わないけどな」
「言わなくて結構です」
トイレの長さを香菜美に指摘されたが、司は軽く誤魔化しておいた。
そんな話をしていると、慶夏がこの後に会う人物の事を語った。
「これから会う人は忍の里で一番偉い人です。
立花さんといえども大人しくしていてください
ね」
「わかったよ。大人しくしておくさ」
司は今は長のことより、伊之助について考えていた。
果たしてこの四人の思考通り、伊之助は一体何なのか・・・
これが今後の事件を左右すると司はこの時思っていた。
つづく。
今回の解説
花澤 慶夏について。
敬意を払う人にはきちんと払う事の出来る性格の人物。
花澤慶夏は魔術第一高校の生徒であり、有名人でもある。
クラスは香菜美達と同じであり、成績は優秀。
何故有名かというと、運動神経がとても良く、逸脱しているからだ。
一応忍者の端くれであるので隠密行動が一番得意である。
今回は以上です。




