55話 神話魔獣退治(中編)
ケルベロスってかっこいいですよね。
冥府・・・それは死んだ魂が行き着く世界。
冥府に行った魂がどうなるのかは誰も知らない。
そう、生きている人間には・・・
ーーーーーーーーーー
「ここが冥府か・・・?」
目を覚ますと、司は冥府らしき場所にいた。
回りを見渡しても殺風景な世界だった。
「というか本当に生きてるんだよな・・・」
冥府は普通、死んだ魂が行くところだと司は知っているので、自分が本当に生きているのか心配になっていた。
「さてと・・・ケルベロスを探すか」
司はとりあえず、ケルベロスを探すことにした。
とはいっても、司は当然冥府の地理など知らないので、数分後には案の定迷子になったわけである。
「そういえば、ケルベロスがどんなところにい
るか聞いてなかったな・・・」
司は理事長に質問しておけばよかったと、内心後悔していた。
だが、ケルベロスとは地獄の番犬。
冥界から逃げ出す魂を逃さない存在。
つまり、ケルベロスの方からやってくる。
「おいおい・・・まさかケルベロスの奴からこっ
ちに来てねぇか?」
ケルベロスの溢れる殺気に気づいた司は、全魔術武装して、宝具を展開する。
殺気の量でケルベロスの強さが司にはわかった。
今まで感じたことの無い殺気の量だった。
人工生命体の時との戦闘より、冷や汗が流れた。
「こいつはやばいな・・・」
司は最初から本気でいくと決意した。
今回は武器も神器も援護も無い。
つまり、司の実力だけで戦うことになる。
正直、本気を出しても勝てるかどうかわからなかった。
「さてと、これが終わったら理事長を殴る」
理事長に対する恨みが上昇した。
ケルベロスが近づいてくるたびに、大地の揺れは大きくなっていく。
そして、殺気も強くなる。
「あれが・・・ケルベロス・・・」
ついに、ケルベロスが視界に映った。
頭を三つ持つ、大きな魔獣。
誰がどうみても、身震いするだろう。
「怒濤雷撃、解放!!」
司は宝具を解放し、ケルベロスに雷の一撃を放った。
ケルベロスに直撃したが、たいしてダメージは入っていなさそうだった。
「グルァァァ!!」
ケルベロスが怒りで砲口を上げる。
その震えが空気を伝って司にやってきた。
「おいおい、やめてくれよ・・・びびっちまうだ
ろっ!!」
再び司は一撃を放った。
今度は威力を上げたが、やはりたいしてダメージは入っていない。
「グルァァァ!!」
ケルベロスはついに司の目の前にたどり着いた。
たどり着いて早々に、三つの口からそれぞれブレスを吐いた。
「三属性を一気に使えるとか、卑怯だろ!!」
そう、司の言うとおり、ケルベロスは火、闇、風の魔力を同時に吐いてきたのだ。
司はそれを回避し、反撃に出る。
「ライトニングインパクト!!」
司の必殺技がケルベロスに直撃した。
ケルベロスは少しよろけたが、平気そうだった。
「あれ?結構力込めたのにな・・・」
そう、司は随分と魔力を込めた。
普通の生物なら、直撃したら致命傷なはずだ。
だが、ケルベロスには致命傷にならなかった。
「グルァ!!」
ケルベロスは鋭い爪で司を引き裂こうとする。
「はぁぁぁぁ!!」
司はそれを真正面から受ける。
力とスピードでは司が多少勝ってはいたが、耐久力が段違いだった。
司はケルベロスの一撃を跳ね返すと、すかさず追撃をした。
「これで、どうだっ!!」
再び魔力を込めた一撃を放つ。
ケルベロスのお腹に直撃した。
だが、やはり致命傷にはなっていない。
「持久戦はまずいな・・・」
司の勝利できる方法はやはり一つしかない。
一撃で、相手を倒すことだけだ。
今までもこの方法で勝てたが、今回は敵の耐久力が段違いである。
「グルァァァ!!」
ケルベロスは再び三つのブレスを吐いてきた。
司はそれを回避し、今度は何度も攻撃した。
「おらぁ!!」
今度は少しはダメージがあるようだったが、やはり大したことはなさそうだった。
「これでもだめか・・・」
ここまで、普通に戦ってるいるように見えるが、本番はここからだった。
「グルァァァァァァーーーーー!!」
ケルベロスは長く強烈な雄叫びを上げた。
「な、なんだ!?」
すると、ケルベロスの体が赤く染まり、牙や爪が鋭くなった。
「おいおい・・・第二形態とかありかよ・・・」
次の瞬間、司はおもいっきり吹っ飛ばされた。
ケルベロスのスピードは先程と段違いだった。
当然何もけんぞうぶつが無いので、彼方まで吹っ飛んでしまった。
「くそったれ・・・骨が何本か折れたな・・・」
司からケルベロスは見えない。
そのくらい吹っ飛ばされてしまった。
「なるほど・・・勝負はここからってわけか」
そしてまた、地響きが聞こえてくる。
どうやら、ケルベロスがまた近づいているようだった。
司は一撃でケルベロスを倒す方法を考えた。
そして、なにか思い付いたのか司は不適な笑みをこぼした。
その笑みには、覚悟が宿っていた。
つづく。
今回の解説。
ケルベロスについて。
ケルベロスは頭が三つある魔獣で、冥界から魂が逃げたすのを防ぐ役割をしている。
通称、地獄の番犬。
ケルベロスは三つの頭から、火、闇、風の三属性のブレスを吐くことが可能。
ダメージを受けるたびに、怒りが貯まっていき。
一定値にいくと、第二形態になる。
第二形態は、防御は低いが、スピードと攻撃力は段違いになる。
今回は以上です。




