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46話 ギリシャで傭兵 Ⅲ

アイギスの盾は強い(確信)

司、アテナ、ミカエラは順調に森の中を進んでおり、既に施設にたどり着いていた。

だが、中に入れずにいた。

理由は、入り口の扉にパスワードがあったのだ。


「どうしようかな・・・パスワード」


三人が施設に入ろうとしたら、パスワードを要求されたのである。

まぁ、パスワードなどアテナの前には皆無に等しかった。


「司。扉を壊せばいいんじゃないですか?」


「何言ってんだ。こんな厚くて特殊合金の扉が壊

せるわけないだろ」


司の言う通り扉は対魔力の特殊合金でできており、さらにとても厚かった。

普通の魔術師には壊せるわけがないのだ。

だが、アテナには関係無かったらしい。


「司。そのバスターソードを貸してください」


「ああ。いいよ」


アテナは司のバスターソードを借りると、魔力を込めて扉を切り裂いた。


「は・・・な、なんで切れるんだ?」


「すごい・・・切り口は小さいけど、しっかり切

れています」


司はアテナに扉を切ることができた訳を聞いた。


「知らないんですか?特殊合金って衝撃には強い

ですけど、斬撃には弱いんですよ?」


司にとってそれは初耳なことだった。

というか、成績が優秀な龍と皇気も知らないことである。


「なんでそんな事知ってんだ?」


ともかく司は、アテナがどうして知っていたのか気になった。

アテナは少し考えた後、質問に答えた。


「ちょっと物作りが得意な知り合いが神にいまし

てね。その方が言っていたんですよ」


「物作りが得意な神・・・?」


アテナはその事を話すたびに顔が歪んでいた。

相当思い出したくない神だったらしい。


「まぁ、その話はもういいじゃないですか」


どうしてもアテナは話をそらしたいようだった。


「まぁいいや。先に進もうぜ二人共」


「はい。立花さん」


こうして三人は施設に入っていった。

そして、何事もない訳がない。

当然、警備兵が三人の前に立ちはだかった。

敵は銃を馬鹿みたいに乱射して弾幕を張っており、近づくことが難しかった。


「おいおい。これ、特殊な弾じゃねぇか」


敵が使っている弾は、司が使っている特殊な弾と同じで、魔力に対して強い物質でできていた。


「仕方ないですね。私に任せてください」


再びアテナが自ら制裁しに行った。

弾丸を神器の盾ですべて防ぎ、敵を一人魔力でふっ飛ばして見せた。


「な、なんだあの力は!!」


その光景を見ていた残りの敵の大半は、アテナに怯え始めていた。

その敵に向かってアテナは盾を向けて技名らしきものを言った。


「アブソリュートヴィジョン」


その途端に、アテナに怯えていた敵がすべて石化した。


「これがアイギスの盾の隠された能力か」


「す、すごい・・・」


さらにその光景を見ていた残り全部の敵はアテナに怯えだしていた。

そして、再び術を相手にかける。


「アブソリュートヴィジョン」


残りの敵も石化させることに成功した。


「これ、大丈夫なのか?」


「安心してください。時間が経てば石化は解けま

す」


解けなかったら、ちょっと法律的に不味かった。

そう、司は思っていた。


「で、これもどういう仕組みなんだ?」


再び司がアテナに質問をした。

アテナは今度は考えることなく答えた。


「この術を成功させるには条件があります。

それは、相手の心に隙間があるかどうかです」


司は成功条件を聞いて、納得していた。

対してミカエラは理解できてなかった。


「なるほど・・・さっきは敵がアテナにビビって

たから成功したのか・・・」


司の理屈で間違いは無いようであった。


「そう言うことです」


アテナも納得していた。

ここで、やっとミカエラは理解していた。

全員が理解したところで、先に進むことにした。

だが、おかしな点があった。

敵が一人も出てこないのである。


「静かだな・・・」


「どうやらこの先に強敵がいるらしいですね」


司とアテナはこの先にいる強敵の膨大な魔力を感じ取っていた。


「え、そうなんですか?」


ミカエラのことは触れないでおこう。

そう二人は思いつつ先に進むことにした。



つづく。






今回の解説。


アイギスの盾の石化能力について。

アイギスの盾には、ギリシャの怪物ゴルゴーンの顔が埋め込まれており、ゴルゴーンの目を見たものを石化させるという能力がある。

相手の心に隙間ができた瞬間、敵は石化する。

つまり、チート能力というわけだ。

だが、強敵には効かない模様。


今回は以上です。

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