44話 ギリシャで傭兵 Ⅰ
新たなるヒロインを求めて。
ヒロインよ、来たれ。
今回の捜索の場所はギリシャの外れの森であり、
元々魔獣が居るところではあったが、最近は改造された魔獣が多々いるという情報があった。
「皆、警戒を怠るなよ!!」
「了解!!」
捜索隊のメンバーは隊長からの指示にしっかりと返事をしたが、司とアテナは返事をしなかった。
「そこ、返事をしっかりしなさい」
その二人に声をかけてきたのは、一人の女子だった。
「君は誰だ?」
相手が女子なので、司は丁寧に返した。
「私は最近捜索隊に配属されたミカエラ・キャス
ティーです」
「見たところ俺より少し年下だな・・・」
この発言が正しければ、司は17歳なのでミカエラは16歳ぐらいとなる。
「私は16歳です。貴方は?」
結果は司の発言通りだった。
「俺は17歳だけど」
「貴方の言う通り年下でしたね・・・って、そん
な事はどうでもいいんですよ」
ミカエラは司のペースに乗っていたことに気がついた。
「で、なんだ?」
司はミカエラに理由を聞いてみた。
それに対してミカエラは強気に答えた。
「貴方は一応この捜索隊のメンバーなのでしっか
りルールは守っていただきたい」
それに対して司は少し考えた後こう答えた。
「だって警戒する必要無いだろ?」
「は?」
ミカエラには理解不能だった。
司の言っていることは一般の人にはわからないことが多い。
「だって、もう囲まれてるんだからな」
司がそういった瞬間、部隊の一人から悲鳴が上がった。
「うわぁぁぁーーー!!隊長!!魔獣です!!」
司の言う通り既に魔獣に囲まれているようだった。
「なんだこの魔獣達は、見たことがないぞ。
やはり情報通り、改造されているな」
隊長は改造されていると情報で知っていたが、司は経験で知っていた。
「皆、注意しろ!!相手の戦闘能力は未知数
だ!!ツーマンセルでいくぞ!!」
隊長の作戦で二人一組で動くことになった。
だが、他の隊員は防戦一方だった。
「宝具展開します!!」
隊長とミカエラを含め、全隊員が宝具を展開していた。
だが、司は宝具を展開しない。
「貴方達も早く宝具を展開してください!!」
ミカエラに指摘されたが司は宝具を展開せず、バスターソードで戦おうとしていた。
「そんな機械仕掛けの剣で戦う気ですか!?」
ミカエラの反応は当然である。
宝具は神器の次に強力な武器であり、能力によっては神器を越えるものも存在するぐらいだ。
だが、司のバスターソードは司の宝具のデータを元に作った武器。
つまり宝具に近い武器である。
「君に一つ言っておく。俺は宝具をあまり使いた
くない」
「そもそも私には宝具などありません」
二人の回答にミカエラは困惑した。
「な、なにを言ってるんですか!?」
「まぁ、このぐらいなら・・・」
司は魔獣に斬りかかった。
「はぁっ!!」
魔獣はそれを防ごうとしたが、腕ごと真っ二つにした。
「す、すごい・・・」
ミカエラは司の力に驚いていた。
「次、いくぜ!!」
次々に隊員達を襲う魔獣を真っ二つにしていく司。
かというアテナは、光の魔力で作った槍で魔獣を貫いていた。
「お嬢ちゃんちっちゃいのに強いんだな・・・」
隊員の一人からアテナを称賛する声が上がったが
アテナはあまり嬉しそうではなかった。
「ありがとうございます。ちっちゃいは余計でし
たが」
二人にかかればこの程度の包囲網は数分あれば終わった。
「君達は強かったんだな・・・」
戦闘が終わると二人は称賛の声を沢山かけられていた。
だが、司は隊員に忠告した。
「他の皆は帰った方がいい。基地に近づけばもっ
と強力な魔獣がいるぞ」
隊長はその忠告を聞いて少し考えた。
そして、その意見に賛成することにした。
「君の言う通りだな。私達は撤退しよう」
「いい判断だ。そうそう、もっと戦力を増やして
からまた来てくれ。俺一人でもつらいから
な。」
「ああ。その頼みは任せてくれ」
司と隊長は握手を交わしていた。
「ちょっと待ってください。私は行きますよ」
その時、ミカエラがそう言った。
「君は聞いてなかったのか?もっと強い魔獣が出
るって言ったろ」
だが、ミカエラの決意は変わらなかった。
「はい、聞いてました。でも、行きます!!
行かせてください!!」
あまりの熱意に司は渋々了承した。
「仕方ないな、俺が守ってやるよ。隊長さんもそ
れでいいかな?」
「ああ、君なら安心だ。うちの隊員を頼む」
「了解」
こうして司、アテナ、ミカエラは基地に向かい、
他のメンバーは救援を呼びに撤退した。
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話は日本に戻る。
飛行機を出せないと言われた8人は諦めていなかった。
「仕方ない・・・自家用機でいくか」
「ああ。そういえばそんなのありましたね」
どうやら、自家用機があるらしい。
もう、他の三人はそんな事では驚かなかった。
一々そんな事で驚いていたら切りがないと思ったからだ。
「待ってろ司。今行くぞ!!」
「うふふ。待っていてくださいね司」
三人はもう理解していた、ろくなことが起きないと。
こうして、8人はギリシャを目指した。
今回の解説。
改造魔獣について。
改造魔獣は、別に魔獣同士が合体しているわけでもなく。
普通に機械がついたり、能力が強化されただけの魔獣。
でも、だいたい見た目が違う。
戦闘能力は随分と高く、並の魔術師では勝てない。
今回は以上です。




