40話 エリートの任務
この二人・・・最強だな。
これはギリシャで司がバトルロワイヤルで優勝し、王宮に居たときの日本の出来事。
ギリシャでは14時だが、日本は20時だった。
夜に龍と皇気は、ゼロの元研究所と思われる地下施設に、任務で来ていた。
「司の行方もわからないっていうのに、任務とは
あの二人はスパルタだな」
あの二人とは、当然千尋と汐里の事である。
「そんな事を言うな篠原。これも仕事だ仕方がな
い」
冷静にそう言っているが、龍の方がとてもだるそうにしていた。
「それにしても、中はけっこう綺麗なもんだな」
地下施設は綺麗に保存されており、機械や資料も処理はされていなかった。
だがその代わりに、対魔術師用兵器や合成魔獣がいたりした。
「お、ここにもロボットがいるぜ」
「さっさと片付けるか」
だが、普通の対魔術師用兵器や合体魔獣では、この二人に勝てるはずもなく、秒殺されていった。
二人の戦い方はとても単純。
片方が動きを止め、片方が止めを刺す。
これだけだ。
「でもよー。これだけ警備が固いってこと
は・・・何かあるってことじゃねぇの?」
「確かにそれはあり得るな」
そんな事を言っていると、早くも行き止まりの部屋に着いてしまった。
その部屋には本棚とパソコンしかなく、なんとも殺風景な部屋だった。
「いや、怪しすぎだろ」
「誰がどう見ても怪しいな・・・特に本棚」
二人が本棚を調べ始めると、直ぐに仕掛けが見つかった。
本の後ろにスイッチがあったのだ。
「ここって警備は固いけど、防犯はザルだな」
スイッチを押すと案の定本棚が横にずれ、階段が出てきた。
「定番すぎんだろ・・・」
「これを作ったやつは相当のオタクだと思うぜ」
二人がそれぞれ仕掛けに対しての感想を言った後、階段を下りていった。
階段を下りきると、オーストラリアの時の様な広い空間に出た。
「なんかすごいデジャブを感じるんだが・・・」
「ああ、俺もだ。ここでボスの登場だろ?」
二人の予想通り、上から何かが降ってきた。
「「なんだ!?」」
二人は声を揃えて驚いていた。
その落ちてきた物体を見ると、大きな蜘蛛の魔獣だった。
「おいおい・・・RPGじゃねぇんだぞ」
「よくある展開ではあるな」
皇気はツッコミをかまし、龍はボケをかましていた。
だが、二人の戦闘体制に入るスピードは早かった。
すぐさま宝具を展開し、蜘蛛を囲うようにして陣形をとっていた。
「おい、渡辺」
「なんだ、篠原?」
「わかってるよな?」
「ああ。こいつはただの魔獣じゃないな」
そして、戦闘が始まった。
蜘蛛は口から糸を吐き出した。
だが、二人は余裕で回避する。
「あれに捕まるなよ!!」
「わかってるさ!!」
すかさず龍が二本のサーベルで斬りかかる。
蜘蛛はそれに対して足をぶつけてこようとするが、皇気の宝具の能力で無効にされてしまう。
「ウォーターバイト!!」
水を纏った二本のサーベルが、蜘蛛を切り裂く。
蜘蛛の足を二本切り裂くことができた。
「おっしゃー!!このままいくぜ!!」
勢い付いた瞬間、二人は信じられない光景を目にした。
なんと、蜘蛛の足が再生したのだ。
「おいおい・・・うそだろ・・・」
「やっぱり、普通の魔獣じゃねぇか」
再び蜘蛛は二人に足を刺してこようとする。
だが、二人もそう簡単には当たらない。
「もういっちょいくぞ!!」
「わかってるよ!!」
先ほどと同じ作戦を展開する二人。
だが、その作戦は失敗に終わった。
なぜなら、蜘蛛はまるで先ほどの攻防を学習したかのように、作戦を防いできたからだ。
「こいつ、頭もいいのか!?」
「これは・・・難敵だな・・・」
二人は少し考えた後、同時に言った。
「「あれしかないか」」
二人は同じ事を考えたようで、すかさず神器を展開した。
「我が宝具の真名は瞬水、時水」
「我が宝具の真名は亜空漆黒」
そして、解放した。
「宝具・・・解放!!」
皇気の宝具は、解放したらより派手になった。
龍の宝具は、解放したら一本のサーベルになった。
「瞬水と時水を合わせて、真名改め流水」
そして、二人は動き出す。
皇気は宝具の能力を使い、敵の行動を制限した。
「時間は稼ぐぜ、渡辺」
「センキュー篠原」
「神器・・・覚醒!!」
龍は宝具解放に加えて、神器覚醒をした。
片方は刀、もう片方はサーベル。
これで、二本の剣が武器となった。
「再生するなら・・・一撃で倒す・・・というこ
とは俺には出来ないので、無限の斬撃でお相手
しよう」
龍が魔力を貯め始める。
「そろそろいいぞ」
「了解」
そして皇気と位置を交代し、一気に蜘蛛に近づいた。
そして、宝具を床に刺しそのまま神器で切りかかった。
蜘蛛はその攻撃を止めようとしたが、体が動かなかった。
なぜなら、蜘蛛の足元は水浸しになっており、水は宝具の刺さっている床にまで続いているたからだ。
「神剣クサナギを特とご覧あれ」
そして鞘から神器を抜き、蜘蛛を切った」
「一刀流必殺・・・虚空!!」
そして次の瞬間、蜘蛛の体はバラバラになった。
「ふぅー。久し振りだから疲れた」
「何度見てもすげぇな」
そして、何もなかったかのように二人は先に進んだ。
奥に進むと謎の部屋に出た。
そこの部屋にあったのは、沢山のテレビだった。
「「なんじゃーこりゃあ!!」」
強敵を倒した先にあるのがテレビとなれば、驚いて当然である。
「これって、世界各国の番組に繋がってるぜ」
「ん?・・・おいっ!!これみろ!!」
皇気が見ていたテレビには、ギリシャと書いてあった。
「は?なんで、司がギリシャにいるんだ!?」
そう、テレビに映ってていたのは、バトルロワイヤルで優勝した司だった。
それを見た二人は驚きで言葉が出なかった。
「おい、さっさと帰るぞ!!」
「そうだな!!」
二人はそう言ってマッハで帰ったが、今後この部屋がとても重要ということを、二人はまだ知らない。
今回の解説。
龍の剣術と神剣クサナギについて。
一刀流必殺・虚空
その一太刀は二つの斬撃を作り出し、敵を三つに切り裂く。
だが、神剣クサナギの能力は一太刀を極限まで極めるという能力。
だから二回切っただけで、敵はバラバラになったといわけだ。
クサナギの斬激を一つでも食らえば、体は無数に切り裂かれる。
だから戦うときは、一太刀でも浴びてはいけない。
今回は以上です。




