30話 二年前の再来 Ⅲ
少しは、長くなったかな?
人工生命体・・・それは、新たなる未来の可能性であり、あらゆる魔術師を滅ぼすこともできる存在でもある。
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今、司達はオーストラリアの海岸にいる。
「工場なんてないですね・・・」
ここに工場があると聞いていた香菜美、由井、ステラは、開始早々不思議に思っていた。
「いや秘密工場なんだから、そんな目立つところ
には無いだろう」
経験者の司は、よくこういう秘密工場に潜入したことがあるらしい。
的確に三人の考えに答えていた。
「それは・・・そうですけど・・・」
この答えに三人は少し恥をかいた気分になっていた。
「目的地に着きましたよ」
千尋がそう言って止まった場所は、見渡す限り何もないところだった。
「な、何もないですけど・・・」
三人はまた不思議そうに考えていた。
「なるほど・・・結界ですね・・・」
「結界?・・・」
「どうやら敵にも、水の魔力属性を持つ人がいる
らしいですね。それにこの結界、最近また新し
く張られたようです」
「やはり最近出入りがあるらしいですね」
千尋は情報と現状が繋がったことに、嫌な予感を覚えつつも突入しようとしていた。
「では、結界を解除してくれますか?」
「了解」
返事を返した龍は、海に手を浸して腕に魔力を集中しだした。
すると海の水が一部だけ干上がり、階段が出てきた。
「す、すごいですね・・・」
あまりに圧巻だったので、三人は驚きと興奮を隠せなかった。
「よしいくぞ、おまえら!!」
汐里の激励と共に、階段を下りていく四人。
「廊下は思ったより広いんですね・・・」
中は廊下とも思えぬほど広く、先が見えぬほど長かった。
「俺の予想では、この廊下は別の島まで繋がって
いるのだろう」
「そのようだな」
皇気の意見に、他のメンバー賛同するそぶりを見せた。
「このまま何もなければいいんですけどね」
皇気のこの願いを聞いてくれるはずもなかった。
「いや、そういうわけにもいかないようだ」
奥から出てきたのは人型のロボットだった。
「何!?対魔術師用兵器だと!?」
ロボット達は躊躇なく銃を撃ってきた。
「気をつけろ!!こいつらの弾は特殊だから当た
ると只じゃ済まないぞ!!」
だがしかし、ここは一方通行の廊下。
隠れるところなどない。
「篠原、渡辺!!」
「「わかってるよ!!」」
そう言って前にたったのは、皇気と龍だった。
「「宝具展開!!」」
皇気が展開した宝具は、籠手だった。
それに対して龍が展開した宝具は、2本のサーベルだった。
皇気が籠手を前に出した途端、ロボットの撃った弾はこちらに当たっているのに痛みを感じなかった。
「あれ・・・どうして?」
それに対して弾を撃ったはずのロボットが壊れていた。
「あれが篠原の宝具の能力・・・空間操作だ」
「空間・・・操作?」
「まぁ単純に、空間をねじ曲げるだけだな」
「それってすごい能力なんじゃ・・・」
そんな事を話していると、ロボット軍団の第二波が来た。
「次は俺の出番だね」
そう言って龍は足元を薄い水で覆い、地面にサーベルを突き刺した。
すると、ロボット達の動きが完全に止まった。
「これが渡辺の能力・・・時間操作だ」
「またこっちも凄そうな能力ですね・・・」
「時間操作って言っても、あいつの剣に触れる
か、水に触れなければ効果は発動しないけど
な」
「先輩。しれっと、すごいこと言わないで下さ
い」
そうこうしている間に、ロボット軍団は片付いていた。
「先に進みましょうか」
奥に少し進むと、道が三つに別れていた。
「どうしましょう・・・」
千尋は少し困ったような表情をしたが、すぐにまたいつもの表情に戻り、こう言った。
「チームを三つにわけましょう」
この意見に、みんなは賛同することにした。
組分けは、汐里と千尋ペア。
皇気と龍ペア。
司と香菜美と由井とステラとスカサハのチームになった。
「では、私と汐里が左を行きます」
「じゃあ、俺と篠原が右に行きます」
「なら、残った俺達が真ん中だな」
こうして、確実が別のルートを進むことになった。
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千尋&汐里ペア・・・
「まぁ、お前と私なら敵なしだな」
「それはそうですね」
二人は歴戦の余裕を見せていた。
「汐里はこの先に何があると思いますか?」
「ん?私の予想ではロボット格納庫だな」
「なら、そうなんでしょう。汐里の感はよく当た
りますからね」
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皇気&龍ペア・・・
「なぁ渡辺よ・・・俺はこの先からヤバイ感じし
かしないんだが・・・」
「もう今さら遅いだろう」
「俺達ルート間違えたかな・・・」
「まぁ、行けばわかるさ」
この二人も歴戦の余裕というものを見せていた。
「問題は残り組の五人だな」
「お前もそう思うか?」
「ああ。何か嫌な予感がする。二年前のような」
「なら、さっさと片付けて合流しますか」
「それが一番だな」
こうして、小走りで先に進んでいくのだった。
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残り組・・・
「まず、お前らに謝っておく」
「いきなりどうしたんですか?師匠」
「多分俺の感だが、この先に人工生命体がいる」
「それって一番危険な存在ですよね?」
「だから謝っておこうと思ったんだ」
三人は呆れたように様子だった。
「なら仕方ありませんね。司さんのことですか
ら」
このステラの一言に、他の二人もうなずいていた。
「そうか・・・なら、助かる」
「そう言えばなんで、スカアハさんは喋らないん
ですか?」
「ん?私はこの地下の索敵に集中していたんだ」
「で、何かわかったか?」
「ああ。この先にあるのは、お前の言うとおりら
しい」
スカアハが真剣な表情でそういった。
「よし、なら行くぞ!!」
「「「了解!!」」」
こうして各自が覚悟を決め、それぞれの戦いの場に向かっていくのであった。
つづく。
今回の解説。
対魔術師用兵器について。
対魔術師用兵器とは、魔術師を専門に扱う、戦闘ロボットのことだ。
装備は、タイプによって違う。
対魔術師用兵器の銃の弾は、特殊弾なので、軽い魔法壁なら余裕で壊せる。
(ただし、司の拳銃弾よりは制度が劣る)
人型の他にも、巨大なのがいたりする
今回は以上です。




