17話 神器美女
美女ってイイッスよね。
ケルト神話にて、影の国の女王を務め、さまざまな戦士に武芸を教え、クー・フーリンにゲイボルグを授けたとされる美女。
それがスカアハ・・・らしい。
ーーーーーーーーーーー
「スカアハって誰ですか?」
「俺に聞くな」
「先輩の神器じゃないんですか?」
「俺の神器とて分からないことはある」
「司さんの事を呼び捨てで呼んでますけど・・・
知り合いじゃないんですか?」
「初対面だ」
「おい、話している内容はきこえてるぞ」
「聞こえてましたか?」
「ああ。バッチリとな」
「じゃあ、話が早い。お前は誰?」
「お前の神器のゲイボルグに宿っている魂だ」
「普通に考えたら、クー・フーリンじゃない
のか?」
クー・フーリンとは、ゲイボルグの持ち主にして、ケルト神話の大英雄。
「ゲイボルグは私がクー・フーリンに渡したん
だ」
「なるほど・・・だから、お前が出てきたわけ
ね」
つまりスカアハが元々の持ち主だったので、スカサハの魂が宿ったという訳らしい。
「師匠。神器に宿っている魂って、人になれる
んですか?」
「知らん。俺も初めてだからな」
「お前たちは、神器がその主に合わせて進化する
事を知っているか?」
「一応調べたので、何となく・・・」
「なら簡単だ。司は神器を呼ぶのも大変だろ?
だから、私がこうして人として司にくっ付ける
ようになったわけだ。
私が居れば、いつでも神器を使えるからな」
「「「なるほど・・・」」」
何だかんだで納得した三人。
「それより、スカアハ」
「ん?何だ司」
「お前のその格好は何だ?」
スカサハの服装は、司の神器覚醒の時の鎧によく似ていた。
「ああ、この装備か。これはゲイボルグの鎧の女
バージョンだ」
「へー。で、お前はこれからどうするんだ?」
「言ったろ。これからはお前と一緒に行動する」
「その服装で?」
「そうだな・・・流石に町中では目立つか。
なら、これならどうだ?」
スカサハが指パッチンをすると、服装が変わった。
だが、問題なのはその服装だった。
「メ、メイド服・・・だと・・・素晴らし
い!!」
なんと、スカアハはメイド服になったのだ。
「これは、お前の好みだろ?」
「ドストライクです」
「先輩のドスケベ」
「師匠のセクハラ野郎」
「つ、司さんの脳内ピンク」
正直な意見を口に出してしまった目に、三人に罵倒されてしまった。
「じょ、冗談だよ。スカアハ、その格好もまず
い」
「む、そうなのか?なら、これならどうだ?」
次のスカアハの服装は・・・
「バ、バニースーツ・・・だと・・・」
「これも、お前の好みだろ?」
「何でお前は、俺の好みがわかるんだ?」
「お前の神器だからな」
「くそったれ!!」
(く、三人の視線が冷たい)
香菜美はゴミを見るような目で、由井は変態を見るような目で、ステラは涙目で司を見ていた。
「そ、それもやばいな」
「なら、どんなのがいいんだ?」
「なぜ、普通が分からない?」
「私は女王だぞ。そんな格好したことない」
少し恥ずかしそうに、スカアハは言った。
「そうだな・・・なら、これだ」
司はポケットから一枚の写真を取り出して、スカアハに見せた。
「師匠。何の写真ですか?」
「ん?俺の大事な人の写真」
「「「え・・・えーーーー!?」」」
「そんなに驚くなよ」
「い、いや別に・・・何とも思いませんけど」
「せ、先輩の自由ですからね」
「き、気にしません」
「まぁ、もうこの世には居ないけどな」
「「「・・・・・」」」
「そんなに暗くなんなよ」
そんな話をしているとスカアハが確認を求めてきた。
スカアハの格好は、上はワンピース、下はスカートの普通の格好だった。
「それなら大丈夫かな」
「ス、スカアハさん」
「なんだ?」
「そういえば、何処に住むんですか?」
「ん?当然司の家だろ?」
「「「えーーーー!?」」」
「まぁ、その事は置いといて・・・スカアハ、彼
処で気絶している奴の脳を調べてみてくれ」
「了解した」
「いきなりどうしたんですか、司さん?」
「シャニーの奴さ、俺が真実を話した途端に暴走
したろ?普通は俺の言うことなんて信じないだ
ろ?」
「た、確かに・・・物分かりが良かったですね」
「と、なると考えられるのは、記憶操作だな」
「どういうことですか?」
「本当はシャニーも、スニル家の事を知っていた
んだ。多分その事を忘れさせて、俺への復讐心
を強めたんだろ。俺が真実を言ったから、それ
が引き金でその記憶を呼び起こしたんだろう
な」
「な、なるほど・・・」
「で、どうだった?スカアハ」
「司の、言う通りだ。記憶操作されていた後があ
る」
「そんなことわかるんですか」
「ああ。私は人の形をした魔力のかたまりだから
な。魔力を感じ取れるのは当然だ」
「そうなんですか・・・」
「これではっきりしたな。今回の事件には裏に何
かあるって事だ」
「で、それを俺達に調べろってことだろ」
そこで丁度話に入ってきたのは、龍と皇気だった。
「生きてたのか」
「当然だろ」
「そんなことより司。そこの美女は誰だ?」
「こいつは、スカアハだ。まぁ、ゲイボルグに宿
っていた魂だ」
「「な、何だとーーー!?」
「まぁ、そんな事はどうでもいいから。
さっさと行ってこい」
「おい、俺達だって一戦終えたあとなんだぞ」
「そんな事は知るか。気絶したシャニーを連れて
とっとと行け」
「「この鬼野郎!!」」
「何とでも言え」
「後で、詳しく話を聞くからな」
そう言いつつ、しっかりシャニーを連れて情報収集に行く二人だった。
「これで、シャニーのことも一応片付いたな」
「でも先輩。後ろを見てください」
「ん?」
司が後ろを振り向くと・・・学校が半壊していた。
「・・・やば・・・」
「どうするんですか?師匠」
「逃げる。行くぞスカアハ!!」
「了解した」
こうして、二人は颯爽と逃げていった。
「本当にどうするんですかね。この校舎」
この後どうなったかというと・・・
学校は修復のため休校になった。
そのため、魔術第二高等学校に行く意志がある人はそこで授業を受けることができるようになったが、三人は行かなかった。
「なんで、おまえらが俺の家にいるんだ?」
「理事長命令で、ここに泊まる事になりました」
「はぁ!?」
司の家は一人暮らしにしては、かなり大きかったため、部屋が沢山余っていた。
「というか、先輩。何でこんな大きな家に住んで
るんですか?」
「そこは気にするな。それより、あのクソ理事
長は後でぶっ飛ばす」
「まぁ、という訳で宜しくお願いします。師匠」
「いつまで泊まるんだ?」
「学校が直るまでです」
「嘘だろ」
「現実です」
この一言で、司は渋々了解した。
「じゃあ、特訓パーティーという訳だな?」
「「「え?」」」
「特訓始めようか?」
「「「そ、そんなーーー」」」
これから、当分司の家で過ごすことになった三人。そして、一緒に暮らす事になったスカアハ。
司の気苦労は絶えない。
つづく。
今回の解説。
神器に宿る魂について。
神器には、その神器の使い手だった英雄や神、または元々の持ち主の魂が入る。
そして、その魂が神器の新たな使い手を選ぶ。
その魂が認めれば、神器覚醒ができるようになる。
そして、その魂は強い思いに引かれる。
・・・
そして、命一つに神器は一つと言われている。
神器使いは、だいたい一回死にかけている。
死にかけた時の思いに、一番神器は反応する。
今回は以上です。




