123話 最強対最強 Ⅳ
バスターアームの性能とは?
そして、司を待ち受ける者が居た・・・
バスターアームと名付けられた黄金の義手は、司の腕にピッタリとくっついた。
普通は、その人に合った義手を作るのに時間がかかるのだが、バスターアームは寸分の狂いなくくっついた。
「あまり重くないんですね、この義手」
「そうだろう。私お手製の金属を素材に使ってい
るからな。ちなみに強度も桁違いだぞ」
司は、すでに義手をそれなりに普通の腕のように扱っていた。
これも普通はあり得ないことである。
「驚きですね。最近の義手はここまで進化してい
るのですか?」
流石のアテナも、この技術には驚きを隠せなかった。
「いや、私が天才過ぎるのだよ。それに司君のデ
ータは沢山あったからね。作りやすかったよ」
こういうのを世間一般ではナルシストと言うのだろうが、実際の所は本当に天才なので、何も言えないのである。
「その義手には他にも何か機能があったりするん
ですか?」
「よくぞ聞いてくれた!!」
アンドロメダのちょっとした質問により、加奈子の何かしらのスイッチが入ったようだった。
「その義手は司君の宝具のデータを元にして作っ
ているからね、バスターソードのように破壊の
能力を持っているよ」
「それは中々に凄いことだな」
この性能には、あのスカアハも感心している様子だった。
「そういえば、俺の武器はどうなるんですか?」
「君の武器かい?そうだなぁ・・・改造しようと
は思っているね」
「改造ですか?」
「そう、修理のついでにね。君がかなり無茶な扱
いをしてくれたからね。もういっそのこと改造
しようかと思ったのさ」
武器は時に直すより、新しく造ったり、改造した方が楽というパターンが良くある。
今回もそれに該当する。
「改造ってどんな感じにするんですか?」
「そうだねぇ・・・バスターソードは多分全部変
えて、新しい剣にするかな?」
「大剣じゃなくなるんですか?」
「恐らくね。ほら、君の頼みでステラ君にも使わ
せるようにしただろ?このままだとステラ君が
使いにくいだろう?」
「確かに・・・結構デカいですもんね」
加奈子はこう見えて周りの人間の事を良く見ている。
このような面も含めて、加奈子は天才なのだろう。
「ナイフの方は素材を一から見直そう。魔銃は見
た目をもっとカッコ良くしようかな。サブマシ
ンガンはもっと使いやすくカスタマイズすると
しよう」
加奈子は簡単に改造案を提示するが、実行に移すのは実際難しい。
だが、加奈子にとってこれらは全て朝飯前である。
「でも、魔銃の見た目をカッコ良くするってどう
いうことですか?」
「私が造った武器にしては見た目が普通なんだ
よ。サブマシンガンはともかく魔銃だぞ?やっ
ぱり私の美学的に見た目は大事なんだよ」
「俺にはその辺りはよくわかりません」
「君も研究者になればわかるよ」
恐らく司が研究者になっても一生わからない美学である。
そもそも、司が研究者になるところすらあり得ないだろう。
「まぁ、武器のことは頼みました」
「ああ、任せておきたまえ」
「じゃあ、俺達は帰ります」
「そうか、気を付けてな。それと、しっかりと義
手に慣れておいた方がいいぞ」
「わかりました。慣れておきます」
司に取り付けた義手は、馴染んではいたが、流石に器用に動かすには難があったようだった。
司は了解の返事をすると、そのまま研究所を後にした。
「さてと・・・果たして司君は次に会うまで生き
ているのだろうか・・・?」
加奈子は司の周りにいる女性を考えながらそう呟いた。
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「ただいま」
「今帰ったぞ」
「ただいま戻りました」
「ただいま帰りました」
司と神器達がそれぞれ帰宅の挨拶をした。
その声を聞いて来たのか、奥から姐二人が出てきた。
「司・・・正座しなさい」
「はい・・・」
「司、今回の千尋はいつもよりヤバいぞ覚悟して
おけ」
司は帰ってそうそう千尋に正座させられた。
汐里は気の毒そうに司を見ていたが、司の義手を見て悲しそうな顔をした。
神器三人は巻き込まれない内に、奥に入っていった。
「司。何で正座させられているかわかります
か?」
「はい。今回も無茶をしたからです」
「良かった。一応無茶だと自覚しているんです
ね。自覚していなかったらどうしようかと思い
ました」
千尋は凄まじいオーラを放ちながら喋っていた。
これには流石の司も小さくなってしまっていた。
「慶夏から聞きました。左腕を切り落とされたら
しいですね」
「はい。なので、義手を付けてます」
「そうですか。では、義手に免じて一発だけで済
ませるとしましょう。汐里、お願いします」
「わかった。歯を食いしばれ司」
汐里は司の頬を思いっきり叩いた。
鋭い一発を食らった司は、その場で体制を崩した。
「貴方はまた無茶ばかりして!!もし左腕だけ
で済まなかったらどうするつもりですか!?」
「・・・ごめんなさい」
「そうだぞ。今回は聞いた所によると、死んでも
おかしくない相手だったらしいじゃないか」
いつもは大人しいが、今は激しく激怒する千尋。
いつもはうるさいが、今は静かに激怒する汐里。
この二人は怒ると反対の性格にそれぞれなるらしい。
「でも、命があって良かったです。貴方に死なれ
ては沙夜に顔向けできません」
「そして、私達も司に死なれたらとても悲しいと
いうことを忘れないでくれ」
「そした、私達だけではありません。慶夏は勿
論、貴方の仲間、知り合いの全てが悲しむでし
ょう」
司には義理ではあるが、家族がいる。
そして、仲間もいる。
確かに死を覚悟して戦うことは大事であるが、この事もしっかりと忘れないでほしいのだ。
「私達からはここまでです。明日は他の人に叱ら
れるでしょうからね」
「え?誰に・・・?」
「はぁ・・・千尋、こいつわかってないぞ」
「はぁ・・・明日になればわかるでしょう」
司はこの時、千尋が言ったことを全く理解していなかった。
だが、千尋と汐里は予想していた。
明日は学校が修羅場になると。
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そして、ウィザード本部では、上層部の人間が会議をしていた。
「そろそろあれから本当に二年だな・・・」
「そうですね。ですが、その前にまたもや人工生命体が出現した
そうですね」
「これでは二年の時と同じ事になりそうですね」
上層部はなんとしても二年前の事は繰り返したくないと思っている。
理由は簡単である。
そんな事をしたら、ウィザード本部のメンツが潰れてしまうからである。
「ならばこちらも二年前と同じようにぶつけるとしましょう」
「成る程・・・人工生命体には破壊者という訳だな」
「そういうことです。日本のウィザード達のために犠牲になって
もらいましょう。立花 司に・・・」
ウィザード本部では、司の予想通りの会議の内容だった。
そう、ウィザード本部は司の事をどうとも思っていない。
たとえ千尋や汐里の義弟だとしても、捨て駒として使うだろう。
だが、それでも恐らく司は戦うだろう。
皆のために・・・
つづく。
今回の解説。
バスターアームについて。
バスターアームは加奈子が司のために造った、特殊な義手である。
バスターソードと同じように、破壊の能力を持つ。
強度はとても固く、恐らく人工生命体の手刀でも切れないだろう。
そして、電気を良く通す。
扱うことが出来れば、かなり便利な物になるだろう。
今回は以上です。




