11話 三連デート
我ながら主人公が鈍感すぎですな・・・
魔術体育祭が終わり、三連休が始まった。
三連休の司の予定は、
一日目 香菜美と東京でショッピング
二日目 由井とシッピングモールでお茶会
三日目 ステラと遊園地
というような予定になっている。
そして一日目。
「師匠、お待たせしました」
「お前遅すぎだろ」
「師匠だめですよ。そこは今来たとこっていわな
きゃ」
それを聞いて、司はあることを思った。
「デートかよ」
「え!?」
その単語に香菜美は反応してしまった。
「どうした?」
「い、いえなんでも」
誤魔化したような言いぐさだったが、司は気にしなかった。
「そうか?それじゃあ行こうか」
「は、はい」
こうして司と香菜美は東京中を巡った。
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池袋で映画
「師匠は何の映画を見ますか?」
「というか俺はパシりだよな・・・
何で映画なんか見ようとしてんだ?」
「え、そ、それはですね・・・」
「お前がショッピングって言うから、てっきり
荷物持ちでもさせられるかと思ったけど」
「し、師匠は私の遊び相手です」
その台詞を聞いて、司は何故か頭を下げだした。
「そうか・・・聞いた俺が悪かったな・・・
おまえ・・・友達居なかったんだな・・・」
香菜美にとって失礼な発言だった。
「ち、ちがいます!!ちゃんといます!!」
「よし、わかった。お前を今日はここまで楽しま
せてやるよ。友達の代わりにな」
「私の話を聞いてくださーい!!」
こうして一応映画を見ることになった。
見た映画は普通にラブコメだった。
「師匠って、ラブコメとかみるんですね」
「だってさ、ヒロイン役の人ってだいたいかわい
いじゃん」
そう言った途端に香菜美が司のすねを蹴った。
「痛ってぇ!!何すんだよ!!」
「別に・・・何でもありません」
続いて秋葉原を見物
「香菜美・・・一ついいか?」
「どうしたんですか師匠?
そんな真剣な顔して・・・」
「メイド喫茶にいかないか?」
「は?」
香菜美は思わずため口になってしまった。
「メイドさんに会いにいこう」
「師匠・・・一応理由を聞きましょうか」
香菜美は一応理由を聞くことにした。
「メイドさんに会いたいだけだ!!」
そう言った途端に今度は腹パンをしてきた。
「師匠・・・秋葉原はやめて新宿いきましょう」
「は、はい。わかりました」
続いて新宿の様子見
「新宿もずいぶんと元通りに、なりましたね」
「流石東京というところだな」
「師匠が消し炭にしたビルは元通りですよ」
実を言うと司は、新宿の事件の時にビルを何個か破壊し、そして一個ビルを消し炭にしてしまったのである。
このことはばれると非常にマズイ。
「香菜美・・・その事は言うな」
司は顔を香菜美に近づけてそう言った。
「わわわ、わかりました」
香菜美は顔を真っ赤にしながら返事をした。
「なら、よろしい」
そして最後に渋谷でご飯。
「香菜美は何が食べたい?俺が奢るよ」
「い、いえ。師匠といっしょにご飯なんて」
「まぁそう言うなよ。しかたがないな・・・
よし、俺の行きつけにいくか」
「師匠の行きつけ?」
こうして二人が行ったのは、なんの変哲もない定食屋。
「ほら、香菜美。早くメニュー決めろ」
「は、はい。ならハンバーグ定食にします」
「じゃ、俺もそれで」
注文を済ませ、料理が来た。
料理を食べた香菜美は目を丸くして喜んだ。
「お、美味しい」
「だろ?ここの料理は全部うまいぜ」
香菜美はまるで子供のようにハンバーグを頬張っている。
「おまえはやっぱり可愛いな」
「え!?と、突然なんですか?師匠」
香菜美は急な発言に驚いてしまった。
「いや、思ったことを言っただけだよ」
「そ、そうですか・・・」
「おっと香菜美。ほっぺにソースがついてるぞ」
そう言って司はティッシュで香菜美の頬についているソースを取ってあげた。
「ん?どうした香菜美」
「・・・・・」
「おーい」
「・・・・・」
だが、返事はない。
「聞こえてますかー」
そして、香菜美がいきなり怒鳴った。
「し、師匠の変態!!」
「なぜそうなる?」
司には意味不明だったが、香菜美が必死だったので黙ることにした。
「黙ってください!!」
「は、はい」
(なぜ怒る?)
(し、師匠に顔をさわられた・・・)
こうしてご飯も終わり、二人は駅で別れることになった。
「し、師匠」
「なんだ?」
「また、パシりお願いします」
「機会があったらな」
そう、手を降って帰った。
一日目終了。
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そして二日目。
「せ、先輩。待ちましたか?」
「ああ、すごい待った」
司は香菜美の時から進歩していなかった。
「す、すいません」
「気にすんなよ」
「先輩はお昼まだですか?」
「まだだな」
由井はそれを聞いて、何故かメモ用紙を見ながら言った。
「なら、そこのファミレスで済ませましょう」
「あのさ・・・俺はパシりだよな?
なんで一緒に飯を食べるのよ?デートじゃある
まいし・・・」
また、デートという単語に反応した。
「で、デートなんてそんな・・・」
「ま、いっか。とりあえず飯食べようか」
「はい」
こうして二人でファミレスに入った。
「俺はスパゲッティにしようかな?」
「私もスパゲッティにします」
「そうか、なら注文しよう」
こうして二人は別々のスパゲッティをたのんだ。
「うまいな、このスパゲッティ」
「こっちもおいしいですよ」
「おまえのも本当にすごくうまそうだな」
その台詞を聞いて、由井は気を聞かせた。
「少し食べますか?」
「お、悪いな」
司は由井のお皿からスパゲッティを取るとそのまま口に入れた。
「こちらもうまいですな」
「それはよかったです」
司はお返しに自分の分もあげようとした。
「よし、俺のもやるよ」
「いいんですか?」
「おう。ほれ、あーん」
「え!?」
由井は困惑した。
何故なら司は恋人がやるようなことを普通にやってきたからだ。
「早く食べろよ」
「せ、先輩でも・・・」
「いいから食べろ」
由井の口に司はスパゲッティが巻き付いたフォークを押し込んだ。
「・・・・・」
「うまいか?」
口の中のものを飲み込んだ後、由井は一言言った。
「せ、先輩のバカ」
「なぜそうなる?」
司は全く理由を理解していなかった。
(まずかったのか?)
(は、恥ずかしい・・・)
二人は昼食を済ませた後、少し歩いてからカフェでティータイムにした。
「先輩、そういえば最近私のことを狙いに来る人
居ませんね」
「そりゃあそうだろ」
「何でですか?」
司は二人の人物を思い浮かべた。
「渡辺と篠原が付いてるだろ。それだけでかなり
の抑止力になるもんなんだよ」
「流石の二人というところですね」
「それと、新宿の事件の事でおまえは多少なり
有名だからな。手が出しにくいんだよ」
「そうなんですか」
「以上、説明終わり」
お昼を食べただけだったが、何故か由井は満足していた。
「先輩、今日はありがとうございました」
「いいよ、気にすんな」
「それと、私に魔術を教えてくれてありがとうご
ざいました」
「どうしたんだ?いきなり」
司はいきなりお礼を言われたので、驚いた。
由井は頬を赤く染めて言った。
「い、いえ。お礼をまだ言ってないと思って」
「その事ならお礼はいいよ」
「何でですか?」
「お前みたいな可愛い後輩ができて、俺もうれし
いからさ」
司に悪意はないが、あまりにも由井には効果抜群だった。
「・・・・・」
再びうつむいて、顔を真っ赤にしていた。
「どうした?」
「い、いえ。な、何でもありません」
「それに・・・目の保養になるしな」
そんな事言ったら、顔面にパンチがとんできた。
「痛ってぇーーー!!」
「せ、先輩の変態!!」
(あれ?デジャブ?)
(先輩のバカ)
こうしてお茶会はおわった。
そして、別れの駅。
「由井。またお茶会しような」
「こ、こちらこそまたよろしくお願いします」
由井は照れながら答えた。
「おう」
二日目終了。
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そして三日目。
「司さん遅いですよ」
「あれ?十分前に来たんだけどな・・・」
今度は司の方が遅かった。
「私は一時間前から居ました」
あまりに早く来ていたので、司の方が驚いてしまった。
「そ、そうか・・・」
「とりあえず行きましょう」
「そうだな」
(パシりについてはもうなにも言うまい)
こうして二人は遊園地に入った。
遊園地に入ってすぐに司の目にとまるものがあった。
「世界最強のジェットコースターだと・・・」
「はい。これに乗りましょう」
「まぁ、いいか」
こうしてジェットコースターに乗った。
そして、終了して戻ってきた。
「いやー楽しかったなステラ」
「あ、甘く見てました。世界最強恐るべしです」
ステラは涙目になっていた。
それだけ最強だったのだ。
何が最強だったのかは、乗った本人たちにしかわからない。
絶叫の次は優しい乗り物に乗ることにした。
「やっぱりメリーゴーランドですよ」
「俺はお前がいいならいいけどよ。
なんか恋人ばっかり乗ってねぇか?」
「え!?」
メリーゴーランドをみると見れば見るほど恋人達
ばかりだった。
「まぁ、いいか・・・乗るぞ」
「え、ちょ、ちょっと待ってください」
ステラは少し後ずさったが、司が強引に連れ込んだ。
「気にしない気にしない」
「私は気にするんです!!」
こうして無理やりメリーゴーランドに乗った。
終了した時ステラの顔は真っ赤だった。
「そんなに恥ずかしかったのかよ」
「はい・・・」
(俺がそんなに嫌だったのか)
(司さん。大胆すぎます)
この二人の考えていることは全く違った。
次は王道のお化け屋敷に入ることにした。
ステラは入る前から足を震わせていた。
「ステラって、お化けとか大丈夫なのか?」
「む、無理です」
「そうか、ならいくぞ」
「え!?ど、どうしてですか?」
ステラは無理だと言ったのに司は連れ込もうとした。
「克服するんだよ」
「そ、そんな無茶苦茶な!!」
ここで司はキザな台詞を言った。
「まぁ、怖いなら俺の側から離れないようにな」
「は、はい」
こうしてお化け屋敷に入ったわけだが、出てくる頃には、司はボロボロだった。
理由は簡単。ステラに振り回され、あちこちに体をぶつけたり、引きずられたりしたからだ。
「司さん・・・ごめんなさい」
「き、気にするな・・・」
「でも!!」
「そんなことより、そろそろ昼にしよう」
司がお昼宣言をすると、ステラは渋々鞄からなにかを取り出した。
「そ、それなら。私、お弁当作ってきたんです。
よ、よかったら食べてください」
取り出したのはお弁当だった。
「お、センキュー」
「お味はいかがですか?」
「う、うまい。うまいぞステラ」
司はご満悦だった。
本当に美味しかったのか。
「よ、よかった」
「お前は、料理ができる美人だったんだな」
司の天然発言に、またもや犠牲者が出た。
「え!?」
「ん?どうかしたか?」
「い、いえ。な、何でもありません」
ステラは顔を真っ赤にしていた。
「そうか」
ご飯も食べ終わり、普通に少し会話することになった。
「司さんはどうして私を助けたんですか?
ステラは司に、助けてもらった理由を聞いてみた。
「お前が可愛いかったからかな」
「じょ、冗談はいいですよ」
「冗談じゃないぜ?」
司の目はいつにもまして本気だった。
「え!?」
「可愛い子は助けないとな!!」
だが、その発言は不味かった。
「司さんの変態!!」
「なぜそうなる・・・」
(最近はこればっかだな・・・何故だ?)
(うう・・・司さんの女たらし・・・)
こうして会話も終わり、最後に観覧車に乗ることにした。
「た、高いですね」
「そうだな」
「司さん。これからもよろしくお願いいします」
突然お願いをされたが、司は気にせず返事をした。
「ああ、お前を一人前のウィザードにしてやる」
すると、ステラがお願いをしてきた。
「だから・・・この前みたいに無茶しないでくだ
さい。
司さんが死んじゃうかと思ったんですか
らね」
「あー、すまん・・・」
司はバツが悪そうに言葉を濁した。
「謝っても許しません!!」
「じゃあ、どうすれば?」
司は許しを得ようと奮闘してみた。
「罰として私達三人をも、もっと見てください」
「はぁー。了解した」
よく分からなかったが、司は了承した。
「約束ですよ」
ステラは安心して約束しようとしたが、司からは斜め上の答えが返ってきた。
「メニューをハードにしろということだな」
「え!?」
「まかせておけ、明日からハードだ」
ステラが訂正しようとするが、もう遅い。
「そ、そういうことじゃなくて・・・」
丁度、観覧車がおわったのだ。
「お、もう終わりだぞ」
「はぁー。司さんって本当にでくの坊ですよね」
「なぜそうなる」
司にはまた意味不明なことだった。
(でくの坊?意味がわからん)
(鈍感大王ですね)
そして駅で別れることにした。
別れの言葉より、司は出会いの言葉を言った。
「ステラ、また明日からよろしくな」
「こちらこそよろしくお願いいします」
こうして司の三連休は終了した。
だが、これから大きな戦いが待ち受けていることを司はまだ知らない。
今回の解説。
この世界観について。
普通に近未来です。
東京もありアメリカなどもあります。
現在と世界は変わりません。
でも機械が発展しています。
まぁ、現在に色々付け加えたような世界です。
ご想像にお任せします。
今回は以上です。




