114話 二大組織全面戦争 Ⅶ
え?いつもより展開が遅いって?
気にしないで下さい。
奈波が歌う準備も終わり、第二ラウンドが始まろうとしていた。
第二ラウンドの布陣はアテナと皇気の話し合いにより、先程と変えないことにした。
「じゃあ、奈波ちゃんよろしく頼んだ」
「ええ、ちゃんと発動するかは正直不安だけ
ど・・・私に任せておいて」
「そうか・・・俺は信じてるからよ」
司は奈波に声をかけてから布陣に着いた。
後は皇気の号令一つで作戦が開始される。
他のウィザード達はその号令を待っていた。
「さてと・・・上手く歌の効果が効いてくれると
いいんだが・・・」
奈波の歌がしっかり発動するかはわからない。
なので、発動しなかった場合に備えてウィザード部隊をスタンバイさせておくのだ。
「作戦開始!!」
皇気の号令によりスピーカーから奈波の歌声が流れ始める。
歌が流れると同時に大半の暴走している人々は止まった。
「よし、効果はあるみたいだな。各自まだ動いて
いる人間の対処に当たれ!!」
「「「了解!!」」」
暴走している人々の中でも歌の効果が効くまでは個人差があるようである。
なのであまり歌の効果が効いてない人間はウィザード達で対処することにした。
「これで新宿方面はどうにかなりそうだな」
皇気がそう呟くと同時に皇気と司の通信機が鳴った。
通信機とはいっても本部から一方的に情報や命令が送られてくるだけである。
「情報伝達。現在各戦闘地域にリーダー各と思わ
れる人間が現れた。ウィザード達は即対処に当
たれ」
「「リーダー各・・・?」」
司と皇気が同時に同じ事を呟くと同時に二人にそれぞれ魔力弾が飛んできた。
二人はそれを難なく回避した。
「誰だ!!」
攻撃が飛んできた方向を振り向くと、少し離れた所に顔が瓜二つの青年が二人立っていた。
「ふむ、やはりあの二人だけ実力が違うね。どう
思う兄さん?」
「そうだな・・・金髪の男より黒髪の男の方が何
となく魔力量がありそうだ」
片方が兄さんと呼んでいるので、恐らく双子であると二人は推測していた。
「もう一度聞くぞ。お前らは誰だ?」
「僕達かい?僕達はゼロの中でも随一のエリー
ト。レオール兄弟だ」
「レオール・・・?聞いたことないな」
司はともかく皇気が知らないとなると、本当に名門の家では無いということがわかる。
だが、世の中にはやはり名門ではなくとも強いものは山ほど存在する。
名門かどうかなど、所詮判断基準の一つに過ぎないのである。
「兄っぽいのが火。弟っぽいのが氷の魔力属性だ
な」
先程飛んできた魔力弾から二人の魔力属性を司は読み取った。
この技術も超基本である。
「俺達にコンビで勝てる奴等はいない。行くぞフ
ロスティ」
「ああ、その通りだねフォトン兄さん」
どうやら弟らしき方がフロスティ、兄らしき方がフォトンというらしい。
「篠原はここに居ろ。あの二人は俺が相手をして
おく。ここが片付いたら援護に来てくれ」
「ああ、わかった。気を付けろよ」
現在皇気はシェルター防衛の指揮を執っている存在である。
その皇気が今ここを離れる訳にはいかない。
なので司一人が二人を相手することにしたのである。
「お前らの相手はこの俺一人だ」
「ほう、舐められたものだな」
「僕達二人に一人で戦おうなんてね」
司は魔術武装をした後、宝具を展開し戦闘体制を取った。
それを見たフォトンとフロスティも司と同様に戦闘体制を取った。
レオール兄弟の宝具は、お互いにまるで一本の剣を真っ二つにしたかのような宝具だった。
「ライトニングインパクト!!」
とりあえず司はシェルターから離れさせるために手加減をした軽めの一撃を放った。
当然二人はその一撃を回避するために後ろに下がった。
そのまま司は二人を追撃しに行った。
「さてと、まずはお手並み拝見だ」
司はまずフォトンに攻め掛かった。
フォトンは正面から司を受け止める。
だが、圧倒的にパワー負けしていた。
だが、それを見たフロスティがすぐに援護に入る。
「兄さん!!」
「おっと、甘いな」
司はフォトンから一旦離れ、離れ際にフロスティに向かって技を放った。
「ライトニングボルテックス!!」
「フロスティ!!」
だが、フォトンに上手く防がれてしまった。
「実力はともかく、連携は優秀だな」
レオール兄弟はお互いに援護を上手くしあっている。
連携というのはそう簡単には出来ないものであり、お互いにカバーできるというのはかなり優秀である証拠である。
「こいつは少しは時間が掛かりそうだな・・・」
司とレオール兄弟の戦いはまだまだ続く。
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シェルター防衛に残った皇気は、早く対処を完了させ司の援護に行こうと意気込んでいた。
「さてと、予定変更だ。こっちをさっさと片付け
ることにするか」
当初の皇気の予定は持久戦で確実に一人一人対処していく予定だったが、リーダー各の敵が現れたのなら話は別である。
「宝具展開・・・」
皇気は宝具を展開して暴走している人々の中に突っ込んでいった。
暴走している人々は皇気に攻撃を加えようとするが、宝具の能力により攻撃は当たらない。
「ここぐらいまで来れば大丈夫だろう」
皇気は丁度敵の集団の中心部当たりで止まった。
そして、詠唱を始めた。
敵は皇気の詠唱の邪魔をしようとするが、
「我は闇を操りし者なり。敵が光なら覆いつく
し、闇なら取り込み我が糧にしよう。そう、我
の闇は敵を惑わす闇である。詠唱魔術、ファン
トムオブダークナイト!!」
皇気が詠唱魔術を発動すると、司の足元から闇の魔力が溢れ出た。
その魔力に触れた敵は全てその場で足を止めた。
「よし、制圧完了。アテナ、後は任せた!!」
「わかりました!!司を宜しくお願いします」
皇気はシェルターの防衛をアテナに任せ、司の元へ向かった。
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新宿方面でリーダー各の敵が現れたように、他の戦場でもリーダー各の敵が現れていた。
ここ池袋方面では因縁の戦いが始まろうとしていた。
「お前は・・・ジャック・・・」
「やぁ、久し振りだね」
涼の目の前には最大の敵であるジャックがいた。
「お前は・・・エドガー サーチネス・・・」
「お久し振りですね。渡辺 龍さん」
この二人は一度だけ戦闘したことがあったが、その時はお互いに手の内を見せずに終わった。
そう、この二人にもお互いに因縁はあるのである。
池袋方面は本格的に決戦が始まろうとしていた。
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上野方面では押し押せる魔獣を相変わらずスカアハが殺し倒していた。
だが、ついに魔獣のボスと思われる魔獣がスカアハとアンドロメダの前に姿を表した。
「今度は骨がありそうな魔獣だな」
「一般兵士から見たら貴方が倒した魔獣達も中々
の強敵ですよ」
ボスと思われる魔獣は巨大なドラゴンだった。
ドラゴンは様々な魔獣の遺伝子を組み込んでいるとスカアハの直感がそう感じていた。
「これは気を引き締めていかなければな」
上野方面では神器と魔獣が戦闘を始めようとしていた。
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各方面で決戦が行われようとしていたが、ウィザード本部に忍び寄る影が一つあった。
「さてと、メインターゲットを狙うとしますか
ね」
そう、司と因縁がある人物の一人である火野 春斗がウィザード本部に近付いていたのだ。
だが、ウィザード本部には最強の守護者がいることを春斗は知らない。
つづく。
今回の解説。
詠唱魔術、ファントムダークナイトについて。
ファントムダークナイトは自分を中心とした一定のゾーンの敵に幻覚を見せる魔術。
魔力量が多い人物が使うとゾーンの範囲も魔力量に応じて増える。
皇気が使った場合は半径百メートルの敵に幻覚を見せることが可能。
ただし、加減が効かないので注意。
今回は以上です。




