10話 魔術体育祭
ギャグって難しい。
魔術第一高等学校は、6月の中旬に魔術体育祭がある。
魔術体育祭とは、魔術を使って生徒達が競技で競い合うことである。
そして今年も熱い魔術体育祭がやって来た。
開会式も終わり三人は自分のクラスの席にもどっていた。
「確認するわよ。私は100m走と棒倒し。
由井が借り物競争と玉入れ。
ステラさんが綱引きと大縄ですね」
「はい、そうです」
「絶対勝ちましょう」
そんな相談をしている三人に一人近づく男がいた。
三人はこの学校では人気なので、近づく男がいればクラス中の人から睨まれたり邪魔されたりすることがあった。
だが、その男はそんな視線も気にせず、ちょっかいを出されてもうまく避けていた。
「よぉ、三人とも張り切ってんな」
男は普通に話しかけた。
「あ、師匠。来てくれたんですか」
「まぁな」
「ありがとうございます」
その男は三人の魔術の先生でもある司だった。
「何でそんなに張り切ってんだ?」
その質問にステラが目を輝かせて言った。
「司さん、それはですね。優勝したクラスは
学食が一年分タダになるからなんです」
「ふーん」
こんな会話をしていると周りから司に対して疑いの会話がでていた。
「あいつだれだ?」
「三人とどういう関係だ?」
「うらやましい」
何故か一部の生徒がへんなことを言っているが、司は気にしない。
「おまえら人気だな・・・」
司でも三人の人気の程はよくわかった。
「い、いえ。そんなことは・・・」
「そうだな・・・」
「どうしたんですか?先輩」
「魔術体育祭が終わった後って三連休だったよ
な?」
「はい師匠。三連休です」
「よし。もし、おまらのクラスが優勝できたら。
俺を一人一日パシりにしていいぞ」
その発言に三人は当然、反応した。
「「「な、なんだとぉぉぉ!!」」」
「おい、キャラ変わってるぞ」
司のツッコミの通り、三人はキャラ崩壊していた。
「い、言いましたね?師匠」
「う、嘘はダメですよ?先輩」
「ほ、本当ですよね?司さん」
三人は念入りに確認をする。
「おう。男に二言はあんまりないからな」
「「「あんまり?」」」
あんまりという単語に反応した。
そして、三人の目が怖い。
「男に二言はない!!」
司は言い切ってしまった。
「わかりました。約束ですよ先輩」
「おう」
それからの三人はすごかった。
香菜美は100m走で風の魔法を使い、ダントツで1位をとった。
由井は借り物競争で年上の男の人というお題を引いたが、マッハで司を人混みの中で探しあてゴールまで引っ張って行った。
ステラは綱引きで全魔術武装をしてでも勝ちにいった。
ーーーーーーーーーー
そして午前の競技がおわって、昼食タイム。
「おまえら・・・そんなに俺をパシりにしたいの
か・・・」
その発言に三人はうつむいて答えた。
「ま、まぁ、そんなところです師匠」
「せ、先輩をパシりにしたいだけですから」
「そ、そうです。それだけです」
司は後悔していた。
こんなにも三人が全力になるとは思っていなかったのである。
「そ、そうなのか・・・」
「ところで先輩。お昼はどうするんですか?」
「あ、わすれてた・・・」
司の昼食が無い発言に、香菜美はいち早く反応した。
「仕方ないですね師匠。私のお弁当屋分けてあげ
ますよ」
「お、わりぃな」
続いてステラが反応する。
「わ、私のお弁当も食べていいですよ司さん」
「なら、もらおうかな?」
ついに、由井も参戦した。
「せ、先輩。わたしのもどうぞ」
「センキュー」
そんな会話を見ていた周りのクラスメイトはというと・・・
「あの野郎・・・」
「ぶっ殺してぇ・・・」
「うらやましい」
やはり一人おかしい。
クラスメイトの殺気は高まる限りだ。
「まぁ、三人共がんばれよ」
「「「はい!!」」」
その時、司に声をかける人物がいた。
「お前も来てたのか」
「お、龍と皇気じゃねぇか」
「ひさしぶりだな司」
その人物は龍と皇気だった。
当然、彼らも参加しているのである。
「おまえら調子はどうだ?」
「当然トップにきまっていだろ」
自信満々に龍が答える。
「そんなことより司。体はどうなったんだ?」
皇気の質問に司は軽く答えた。
「まぁ、大丈夫だよ」
「そうか・・・無理するなよ」
「ああ、おまえらも頑張れよ」
「おう」
「当然だ」
三人はその後も軽く話をした。
こうして昼食休みも終わり、競技は午後の部に移った。
「まずは、私の棒倒しね」
「頑張ってくださいね」
「ああ、まかせてください」
魔術体育祭の棒倒しは、魔力の攻撃でも棒を倒してもいいことになっている。
ということは・・・
「ウィンドブラスト!!」
ということになる。
この一撃ですべての敵の棒が倒された。
「おいおい、やりすぎじゃね?」
「さ、さすが香菜美さんですね」
「い、いつでも全力ですね」
そういう香菜美はというと・・・
「さすが私ね」
相変わらずの自信であった。
「あ、ああ。そ、そうだな・・・」
続いての競技は由井の玉入れ。
由井はクラスメイトの体を祝福して競技に望んだ。
魔術体育祭の玉入れは、魔術で敵を妨害することができる。
だが、体を祝福した由井のクラスメイトに攻撃がきくはずもなかった。
「一斉に攻めましょう!!」
「「「「おおーーーー!!」」」」
こうして玉入れは一方的な試合で終わった。
「流石由井だな」
「流石ですね」
「流石だと思います」
あまりにも一方的な試合だったので三人共に相手に同情していた。
続いての競技はステラの綱引き。
魔術体育祭の綱引きは・・・普通の綱引きだ。
「いきましょう。せーの」
「ステラの掛け声で綱引きははじまった」
大縄は普通に接戦だった。
「頑張れーー!!ステラさーん!!」
「頑張ってくださーい!!ステラさーん!!」
かつてないほどの応援が会場を包んだ。
理由はこれまで圧倒的な試合ばかりたったからだ。
「みなさん・・・私は負けません!!」
そしてステラのクラスの方に勝利の女神が微笑んだ。
「か、勝ちました」
「良くやったなステラ」
「はい!!」
こうして大縄は終わった。
そして結果発表。
当然、三人のクラスのポイントはトップだった。
つまり・・・
「「「これで、優勝だーー!!」」」
「良くやった三人共。これで俺はパシりだ」
司はパシりになったのに、嬉しそうに褒めた。
「師匠、覚悟してくださいね」
「楽しみにしててください」
「私はもう楽しみです」
こうして終わった魔術体育祭。
だが、司の苦労はこれからだ。
つづく
今回の解説は司の外見。
髪は金髪
目の色は黒
身長は177cm
魔力属性は雷
宝具の名前は怒涛雷撃 (どとうらいげき)
能力は不明。
神器 ???
性格気まぐれ。
女に目がない。
年齢18歳
二年前の事件で魔力を十分に扱えない。
宝具を解放すると危険。
以上です。
神器については今後に説明します。




