102話 対最強生命体 Ⅱ
ついにこのメンバーが苦戦する時が来た。
え?司はいつも苦戦してるって?
主人公だから・・・
人工生命の存在体自体はそこまで恐怖ではない。
本当に恐怖なのは人工生命体を造りだし、戦う力を与えた人間である。
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扉の奥には確実に何かしらが待ち受けている事は確定している。
更に今回は人工生命体という可能性もあるので、突入する前に各自が魔術武装をし、宝具や神器を装備していた。
そして、龍の号令と共に司がドアを破壊した。
「突入!!」
「応!!ライトニングインパクト!!」
そして一斉に部屋内に突入した。
突入した十一人の目の前には最悪の光景があった。
「やっぱり居たか・・・人工生命体・・・」
「どうやら俺の因縁はかなり強いらしいな」
「それは今更だぞ司」
十一人の目の前にはカプセルが設置してあり、その中には人工生命体と思われし人物が入っていた。
そして、前回の任務と同様にアナウンスが部屋内に鳴り響いた。
「皆さん今回もご苦労様です。そして、皆さんの
前に居るのはご存知の通り人工生命体です」
「この声はエドガー サーチネスか・・・」
「またお前の放送かよ」
以前放送を聞いた司と、以前学校で戦った龍以外は声の正体を理解していなかった。
「彼はコードNo.10。名前はイェーガー。その名
の通り狩人です」
「ランスロットの次はイェーガーと来たか。繋が
りが全くねぇじゃねぇか」
「私達もイェーガーを解放するとどうなるか分か
りませんからね、皆さんで実験させてもらいま
す。いいデータを期待してますよ」
エドガーがそう言うと、カプセルが開きイェーガーと呼ばれていた人工生命体が出てきた。
「お前達が俺の倒すべき敵か・・・」
「なんだよ、ランスロットと違って冷静沈着って
感じじゃないか・・・」
イェーガーは見た感じ冷静沈着と呼ぶに相応しい雰囲気を放っていた。
逆にランスロットは楽天家というイメージが強かった。
「冷静沈着が見た目だけじゃなければいいんだが
な・・・」
敵で最も厄介なのは常に冷静な判断が出来る敵である。
さらに強力な力を持っているとなると更に厄介である。
「では始めようか・・・狩りを・・・」
イェーガーがそう呟いた途端、一気に殺気が漏れた。
その殺気をいち早く感じ取った龍は全員に指示を出した。
「全員戦闘体制!!」
龍に言われ、全員がそれぞれの武器を構える。
だが、イェーガーは凄まじいスピードで司に近づき一撃加えようとした。
「ちっ!!速すぎる!!」
司は咄嗟に宝具をその場で離し、両腕でガードした。
そのまま司は壁まで吹き飛ばされてしまった。
「司!!」
「馬鹿野郎!!司の心配より次はこっちだ
ろ!!」
イェーガーは続いて龍の方に迫ってきた。
だが、龍は一度見た攻撃を黙って食らうほど単純ではない。
「そのスピードはさっき見た!!」
龍は攻撃を片腕で防ぎつつ、宝具を地面に突き刺した。
龍も司と同様に壁まで吹き飛ばされてしまったが、宝具の能力を発動させていた。
「人工生命体の動きを止めたか・・・流石渡辺だ
な」
イェーガーの足元を見ると、水浸しになっていた。
これで龍の宝具の能力の発動条件が揃った。
当然能力によりイェーガーは動くことが不可能になったはずだった。
「成る程、触れた者の時を止める能力か・・・」
「なんだと!?」
「おいおい嘘だろ。やめてくれよ・・・」
なんとイェーガーの動きは止まることがなく、平然と動き出したのだ。
皇気と涼は信じられない光景に思わず呆然としてしまった。
「次はお前達の番だ」
イェーガーは続いて皇気の方へ迫ってきた。
だが、皇気の宝具の能力を使えば攻撃は当たらないはずだ。
「成る程、こちらは空間を歪める能力か」
「なんだと!?」
イェーガーは歪んでいるはずの空間を貫通して皇気に殴りかかった。
「涼!!頼む!!」
「了解!!」
涼が咄嗟に八岐大蛇のナイフの一本である、火属性のナイフをイェーガーに投げた。
ナイフはイェーガーが殴ろうとしていた右腕に命中し、爆発した。
「これで右腕はグッバイだろ」
「サンキュー涼。助かったぜ」
すかさず皇気は一度距離を取った。
そして、爆煙の中にいるイェーガーにアテナとスカアハが攻撃を仕掛けた。
「一気に叩く!!」
「わかっていますよスカアハ」
スカアハはゲイボルグで、アテナは光の槍で貫こうとすると、その槍は途中で止まった。
止まったというよりは止められたという方が正しいだろう。
「先程のは中々興味深い小道具だった」
右腕が吹き飛んでいるはずのイェーガーが二人の槍を掴んでいたのだ。
通常ならば、神器である二人の身体能力に勝てる筈がないのだ。
だが、イェーガーは二人の凄まじい一突きを止めたのだ。
「お前達はどうやら人間では無いようだな」
「お前にも言われたくないな。人工生命体」
「そこは私も同感ですね」
イェーガーは槍を弾くと、スカアハに殴りかかった。
スカアハはその一撃を回避すると、二本目のゲイボルグで反撃に出た。
「お前の突きの速さはもう確認済みだ」
イェーガーはスカアハの突きを回避するとスカアハに蹴りを一発加えようとした。
だが、守護神アテナがそれを見逃す筈もない。
「私が攻撃を通すとでも思いましたか?」
「それも予想済みだ」
アテナはアイギスの盾でイェーガーの蹴りを受け止めた。
だが、イェーガーはそれを予想していたかのように続いてアテナに殴りかかって来たが、神器は二人だけではない。
「何!?」
「デッドリーチェーン」
アンドロメダが離れたところからイェーガーの動きを止めた。
そしてすかさずスカアハが三本目のゲイボルグをイェーガーに突き刺し、そのまま吹き飛ばした。
「流石スカアハですね。容赦ない一撃です」
「何を言っているアテナ。最早あいつは人間では
無い。容赦をしていたらこちらが死ぬぞ」
「それもそうですね」
二人がイェーガーの吹き飛ばされた方向を見ると、イェーガーが無傷で立っていた。
「死なないとは思っていたが無傷とはな・・・」
「もはや人工生命体という枠には収まりません
ね」
イェーガーの目線はスカアハとアテナではなく、先程から呆然と立っていた女子四人組に向いていた。
「確実に殺せる奴から殺すか・・・」
イェーガーは四人組の方に突っ込んでいった。
「行かせはせん!!」
「簡単には通しません」
スカアハとアテナがそれを止めようとするが、イェーガーは二人の攻撃を回避して突進していった。
「なんだと!?」
「アンドロメダ!!頼みました!!」
「了解しました!!」
アンドロメダが再び鎖でイェーガーを止めようとするが、イェーガーは鎖の一本一本を丁寧に回避した。
「回避された!?」
イェーガーは四人組が固まっている所へ一目散に迫っていく。
皇気と涼が遠距離から止めに入ろうとするが、まず間に合わない。
吹っ飛ばされた龍も立ち上がっていたが、間に合わない位置にいた。
「四人とも逃げろ!!」
「まずお前からだ」
イェーガーは香菜美に最初に攻撃しようとしたがその攻撃はかんいっぱつの所で止まった。
「おいおい、俺を忘れないでくれよ」
司がバスターソードで受け止めていたのだ。
「悪いがこいつらはまだ経験不足なんでね・・・
お前らの相手は俺達だ・・・」
「ほう・・・これが仲間思いってやつか」
「ライトニングスラッシュ!!」
司はそのままイェーガーを吹き飛ばした。
イェーガーは壁に激突することなく地面に着地した。
「勝負はここからだぜ。人工生命体・・・」
つづく。
今回の解説。
能力を打ち消す方法について。
宝具や神器などの能力を打ち破る方法は多少はある。
一つは司の宝具のように破壊のような能力ならば打ち破れる。
二つ目は能力を打ち破る神器の力を使った場合である。
三つ目は可能性だが、ネクロマンサーなどが作り出したアイテムの中には能力を打ち消すような力があるかもしれない。
今回は以上です。




