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母竜にしつこくピーちゃんを見せていると、母竜が攻撃してきた。強烈な爪がピーちゃんに当たる寸前、僕はピーちゃんを引っ込めた。
「おいおい、竜を怒らせるなよ。宥めるのは大変なんだぜ」
ここまで案内してくれた人が、ドウドウと鼻息荒くなった母竜を落ち着かせようと必死になった。
僕はそれを見ながら、母竜はピーちゃんに関心がないことが分かった。ピーちゃんも母竜に興味がないようだった。
卵が割れて、初めて見る者を親と認識するピーちゃんはともかく、どうして母竜は自分の子竜だと分からないのだろう。
僕はこの疑問をポムに訊いてみることにした。案内してくれた人に訊こうとも思ったが、母竜を宥めるのに必死だった。
僕もう行くねと言うと、忌々しげに睨まれた。




