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僕がしょんぼりしていると、ロファと僕を呼ぶ母親の声が聞こえた。
すぐに声がした方向に顔を向けると、笑顔で手を振ってこちらに来る母親がいた。
僕は駆け出して、母親に抱きついた。母親は無言で抱き返してくれた。
「来てくれたんだね、母さん」
「来るよ。大事な1人息子だもの」
「うん」
「子竜の親代わりになったんだって?」
「うん」
「大事に育てなよ」
「うん。でも、上手くいかなかったらと思うと・・・」
「ロファは子竜が嫌いかい?」
「好きだよ!」
「なら、大丈夫だね。愛情があればスクスク育つさ。ロファみたいにね」
「そうだね、母さん。うん。がんばるよ」
「がんばんな」
「それとね、僕・・・」
「なんだい?」
「竜騎士団団員見習いになったんだよ!」
「そうかい!おめでとう!あんた昔から、竜騎士団団員になりたいなりたいと言ってたからね!夢に1歩近づいたじゃないかい!」
「うん!」
僕は母親にとびっきりの笑顔を向けたのだった。




