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「おじさん、その竜のペンダントなんだけど」
「ん、これか?」
おじさんは竜のペンダントを掴むと、僕の前に差し出した。
「うん、それなんだけど、僕今手持ちが少ないんだ。まけてくれないかな」
「うーん、まあいいか。どれくらいまけてほしいんだ?」
「これが僕の全財産」
僕は財布の中身を全部出して、おじさんに見せた。
「微妙な金額だが、手を打ってやる」
僕はやった!と言いそうになるのをこらえ、ありがとうございますとお礼を言った。
おじさんの手が僕が持っているお金に手をつける寸前、横から別の少年が倍の金額を出すから、その竜のペンダントを俺に渡せと言ってきた。
「ごめんな、坊主」
おじさんは僕じゃなくて、その少年に竜のペンダントを渡した。