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周りは壁ばかりある行き止まり。夜盗の影も形もない。僕が引き返そうとした時だった。壁の向こう側から話し声が聞こえた。


僕が近づくと同時に、壁が回転した。現れたのはポムとベリーだった。ポムの手には白い卵があった。


「ポム!ベリー!」


「「ロファ」」


「どうしてあんたがこんなところにいるんだい?」


ベリーが尋ねた。


「僕も竜の卵を探してたんだ。そしたらファウが・・・」


「あんたもファウの言葉を信じたんだね。私達がこの辺を詳しく調べたら、そこの壁が押すと開くことが分かってね、その先に竜の卵が隠されていたんだよ。いやー、見つかって良かったよ」


「残念ながら、夜盗は見つからなかったがな」


「まあまあ、ポム。卵が無事だったんだ。それだけでも喜ばしいことだよ」


「竜の卵は僕が見つけたかったな」


僕がしょんぼりと呟くと、2人は笑った。


「ま、ここに辿り着いただけでも、他の奴らよりは優秀さ」


「そうだな。たとえ運が良かっただけだとしてもな」


「ねえ、ポム。僕にも竜の卵を持たせてよ」


「なんでだよ」


「僕が竜のこと好きだって知っているのに、そんなことを聞くんだね」


「いいじゃん。持たせてあげなよ、ポム」


ベリーが援護してくれた。


「しょうがないな。少しだけだぞ。慎重にな」


ポムがゆっくりと竜の卵を差し出す。僕はそれを両手で受け止めた。


「わあ」


竜の卵はずっしりとして重たかった。これがあの大きな竜になるのかと思うと、感慨深いものがあった。


僕がジッと竜の卵を見ていたら、ピキピキと線が走った。


「へ?」


卵が割れたのは一瞬だった。気づいたら僕の両手には子竜がいた。そして、子竜が最初に目にしたのはビックリしている僕の顔だった。


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