18
周りは壁ばかりある行き止まり。夜盗の影も形もない。僕が引き返そうとした時だった。壁の向こう側から話し声が聞こえた。
僕が近づくと同時に、壁が回転した。現れたのはポムとベリーだった。ポムの手には白い卵があった。
「ポム!ベリー!」
「「ロファ」」
「どうしてあんたがこんなところにいるんだい?」
ベリーが尋ねた。
「僕も竜の卵を探してたんだ。そしたらファウが・・・」
「あんたもファウの言葉を信じたんだね。私達がこの辺を詳しく調べたら、そこの壁が押すと開くことが分かってね、その先に竜の卵が隠されていたんだよ。いやー、見つかって良かったよ」
「残念ながら、夜盗は見つからなかったがな」
「まあまあ、ポム。卵が無事だったんだ。それだけでも喜ばしいことだよ」
「竜の卵は僕が見つけたかったな」
僕がしょんぼりと呟くと、2人は笑った。
「ま、ここに辿り着いただけでも、他の奴らよりは優秀さ」
「そうだな。たとえ運が良かっただけだとしてもな」
「ねえ、ポム。僕にも竜の卵を持たせてよ」
「なんでだよ」
「僕が竜のこと好きだって知っているのに、そんなことを聞くんだね」
「いいじゃん。持たせてあげなよ、ポム」
ベリーが援護してくれた。
「しょうがないな。少しだけだぞ。慎重にな」
ポムがゆっくりと竜の卵を差し出す。僕はそれを両手で受け止めた。
「わあ」
竜の卵はずっしりとして重たかった。これがあの大きな竜になるのかと思うと、感慨深いものがあった。
僕がジッと竜の卵を見ていたら、ピキピキと線が走った。
「へ?」
卵が割れたのは一瞬だった。気づいたら僕の両手には子竜がいた。そして、子竜が最初に目にしたのはビックリしている僕の顔だった。




