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僕の名前はロファ。
コナツツ国に住んでいる、ただの市民だ。
今日は年に1度の大バザールの日だ。国を挙げての催し物だから、いっぱいの人達が集まる。普段歩いている大通りでも人がごった返している。露店もいっぱい並んでいる。今日から1週間は、お祭り騒ぎは終わらない。
僕も大バザールに出かけていた。人で溢れている道では、ちっとも前に進まない。その間、太陽の光が容赦なく肌を照りつけて暑かった。
思わず露店が作り出している影に逃げ込んだ。大行列はすぐに僕がいた隙間を埋めた。
ハア、と一息ついていると、いらっしゃいませと声をかけられた。
見ると、露店の店主が地面に座っていた。目の前には敷物の上に置かれた雑貨があった。それらをなんとなく見てると、カッコイイ竜のペンダントが目についた。
僕はこの国の竜騎士団に憧れていた。将来は竜騎士団の団員になりたかった。そんな僕は一目でそのペンダントを気に入った。
しかし、手に入れたかったが手元のお金が足りなかった。
こんな時は値段交渉だ。
どうしてもほしい僕は値切る事に決めた。初めての値段交渉に手に汗握った。