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チョコレート、隠し味にはハバネロを

作者: つるべえ

午後八時、枕もとに置いていた携帯が鳴った。


表示されているのは『親友 美樹』の文字。


微妙に嫌な予感を感じつつ私が電話に出る。




曰く。

昨日、生徒役員達五名と顧問の教師一名、一般生徒一名が生徒会室で倒れた。

原因は、劇物が混入されたチョコレート。

我が高校で生徒会役員に毒を盛った奴がいるという衝撃の事実は、三分で学校全体に広まった。


おかしいのは、ほぼストーカー化している過激派ファンでも誰が犯人なのか突き止めれないらしい。


と電話で説明した美樹は、一呼吸置いてこう言った。


『つーちゃんですね』


声がものごっつう低うて、事務口調で怖いよう。


断定口調の美樹に向かって私は内心の怯えを隠し、嘘ついた。


「なんの事かn『私、何もしないでって言ったよね』……あい」


一瞬でバレました。何故だっ!


事の次第は、一人の新入生だった。

去年、入学して来た「桜崎 愛菜」は可愛く過保護欲をそそる見た目を駆使して、超イケメン生徒会の連中を次々と手中に収めていき、その婚約者だった私の友達の美樹にありもしない罪を断罪して学校から追い出した。


当時美樹はずいぶん落ち込んだけど…サンン店リーだ



携帯ごしで久しぶりに美樹のガチ怒りを感じた。

私は思わず寝転んでいたベッドから降りて、正座する。


『つーちゃん、独りよがりにもほどがある。っていうか善意の押し付けです』


「うっ、美樹ぃ〜〜ごべんなざい〜」


涙声になった私に美樹はこう言って来た。


『泣くな! ……まぁ、いいよ。つーちゃんならやりそうかな〜とは思ってたし、そのおかげで拓人、泣いて土下座して謝って来たから気もはれたし。他の生徒会メンバーもつーちゃんテロで正気に戻ったらしいから結果オーライで……その、ありがとう、ね』


「美樹ぃいい〜!」


私は感動して思わず飛び上がった、あの美樹が『ありがとう』って言った! デレた!!



『うっさい! そう言えばあの生徒会によく毒盛れたね、下手したらファンに社会的および物理的に抹殺されそうって思わなかったの?』


「いや、だって私、生徒として認識されてないと思うし、知り合いいないしバレないよな〜と。あと毒じゃないからね!」



『何言ってんの! 生徒会役員の連中が本気になったらいくらあんたでも速攻バレるに決ってんで……そうか、あんた生徒会メンバーの上を行くからバレないかもね。ったく、詳しく尋問するから明日学校に来なさいよ!』


美樹に一方的に電話を切られたがそれが照れ隠しだと知っている私は、ベッドの上でにやけた。





昨日、私は学校の廊下でキングオヴ乙女、桜崎 愛菜に話しかけ、彼女に可愛くラッピングした箱を差し出した。


「あのっ、桜崎さん。これ良かったら生徒会の皆さんでどうぞ……」


「わぁ、いいの? ありがとう!」


彼女は嬉しそうににっこりと笑って箱を受け取り、廊下をぱたぱたと駆けて行った。

その後ろ姿を見て、私は顔に黒い笑みを浮かべていた。






渡した箱の中身は、名付けて<ハバネロ入り激辛チョコレート>


何故そんな物を作ったのかと言うと……


理由は単純


私の親友、藤堂美樹を泣かせたからだ


美樹はとてもいい子だ。

ほぼ学校に来れない時も、頑張らないでいいからと言ってくれた。


私がしんどい時は側にいてくれ話しかけてくれた。


……まぁ暴言もいっぱい言われたけど美樹はとても優しい、自分がどんなに傷ついても相手を丸ごと許せてしまうほどに。



でも、美樹が許しても私は許せない、美樹を傷つけた桜崎アイツと美樹を裏切った元婚約者、神崎拓人は私の『敵』だ。



もちろん八つ当たりだと分かっている、桜崎も神崎も裁く権利は私には無い。



だけど……一発かましとかないとイライラする。

桜崎はいつも貢ぎ物を貰ってるし、私、学校にほとんど来てなくて幽霊生徒だからバレないよね? 

ん? 一緒に食べる生徒会の人が可哀想だって? 婚約者ほっぽらかしてる逆ハー要員らなど知らん!



ふっ、桜崎よ。生徒会役員と共に、悶え死ねぇぇぇぇええ!!



むしゃくしゃしてやった、後悔はしていないが、反省はしている。







次の日、職員室にプリントを取りに行くと、廊下で後ろから教師に呼び止められた。


「おい」


振り返るとどこかで見た事がある気がする爽やか系の男の先生だった。


「おい、あのチョコお前が作ったんだろ」


私は少し困ったように微笑みながら嘘をつく。


「すみません、なんの事でs「とぼけんな、沢谷」……はい」


何故だ美樹なら分かるが何故こいつにバレる。

そして担任でもなく学年も違うと思うのに何故名前を知っている。

困惑する私に教師は話を続ける。


「ちょっとぐらいの悪戯ならいいが、あのチョコはやり過ぎだろう、激辛でのたうち回ったぞ」


「はい……」


不味い、もしかしなくとも被害者でしかも教師。

内心点とか受験とかちょっとした出来心なんですとかああああああ、ヤバい。


ちょっとパニックに陥ってる私の頭を軽く叩いた教師はこう呟いた。


「まぁ、そのおかげで乙女ゲーのストーリーから目が覚めたからいいから。 もうすんなよ」


爽やかに歩き去って行く教師の背中を見て思った。


これはセーフなんでしょうか?




その後、生徒会メンバーに泣きながら感謝されたり、その婚約者達が新しい枯れりを作ってたり、新入生が「ヒロインはこのあたしよ!」と宣言して来たり、「ヒロインは王子様と結ばれるの!」と桜崎が事件を起こしたり、爽やか系教師が絡んで来たりして、ひっじょ〜に面倒くさい学園生活が始まってしまった。


「美樹ぃ、なんでだと思う〜?(泣き)」


「自業自得でしょ」



ちょっとリハビリ作品です。

 

内容を大幅に変更しました。

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