序話
続かないかもしれないです。
時計が指すのは午前3時。
今日は確か学校の行事で、早起きをしなければならなかった。
…しかし、目覚ましをかけた時間よりずいぶん早く起きてしまった。
このまま体を起してもやる事がない。
オンラインゲームにでも蔓延る(はびこる)か。
それとも、もう一度寝てしまおうか…。
……後者はやめておこう。
起きられなかったら、あの喧しい担任教師にまた叱られて凹むのがオチだ。
僕は体を起して、数日前に友人に勧められてやり始めたオンラインゲームを起動させた。
暗い部屋にパソコンの明かりだけが眩しくひかる。
まだ早朝だと言うのに、ネットの住人達はまるで急いでいるかのように早足で僕の前を通り過ぎていく。
数日前に始めたばかりだが、僕のアバターの装備は闘ってみたら彼らと大差は無いだろう。
さほどやり込んだわけではない。
だがその装備に至ったのは、このゲームを勧めてきた友人が勝手に課金をしたから。
…おかげで僕のアバターは低レベルとはいえ、外見だけでは強さを判断しにくい装備となっているわけだ。
寝ぼけているような眼。オッドアイ。右が緑、左が赤だ。
髪の色は黒。短髪。
右側の耳に二つのピアス。
防具は…騎士、といった感じか。青を基本とした甲冑で、あちこちが光っている。
もちろん僕の趣味ではない。
友人の趣味だ。
だが黒髪は譲らなかった。
友人は赤のロングヘアにしようとしていたがそれは勘弁ねがった。
やがて、どこから湧いて出たのかモンスターがぞろぞろと近づいてきた。
剣を一振り。まさに瞬殺。
ポヨン。というファンシーな音と共に、スライム型のモンスターや小さなイノシシの様なもの、女の子向けに作られたであろう可愛らしいモンスターも一瞬にして画面から消え失せた。
やはりここでは弱すぎる。
僕はステージを移動した。
入ってすぐの所に、迷い込んでしまったのか初期装備の冒険者がいた。
僕はチャットで話しかける。
[紅弟兵:どうかしましたか? 3021/6/29/03:17]
僕からのチャットにしばらく驚いていた冒険者だったが、僕が敵ではない事を理解したのか返信してきた。
[ダイナミック王国の王:間違えて入ってきてしまって…。モンスターにも攻撃されてしまったので、体力もほとんど残ってないんです 3021/6/29/03:19]
そこで僕はすかさず回復アイテムを使う。
冒険者の身体がキラキラ光り、赤かった体力ゲージが緑になる。
[ダイナミック王国の王:回復してくださったんですか!?ありがとうございますm(__)m大変助かりました!!! 3021/6/29/03:20]
そういうと始めのエリアに戻って行った。
…道はわかっていたのか。
改めて敵を探す。
いつもなら恐竜型のモンスターが後ろから突っ込んでくるのをカウンター攻撃するのだが…
今日は一段と静かだ。
どうやら強い冒険者が通った後のようだ。
モンスターが倒れた後に落として行くアイテムが、そこらじゅうに散らばっている。
素材にもなる。拾っておいた。
どうせ数分たったら消えてしまうのだから、僕が拾っても罰は来ないだろう。
少し進んだところにようやくこのエリア初のモンスターが現れた。
2回Enterを押し攻撃をする。
ポヨン、という音を残してそのモンスターが消えてしまった。
どうやらこの音はどこのエリアでも共通らしい。
そこで、僕は見た。
魔法やスキル、僕がまだ持っていない技術を駆使して闘う女騎士の姿を。
淡いピンクでロングヘアの、いかにも強そうな雰囲気をかもし出していた。
彼女は魔法を一度使うと、彼女の周りにいたモンスターは全てアイテムにかわっていた。
ポヨン。その音を聞く前に彼女は次のエリアへ移動して行った。
美しかった。
僕のように外見だけではない、真の強さを感じ取った。
僕は彼女の後を追った。
読んで下さりありがとうございました。
小説とか全然書いた経験がないのでぐだぐだですが、もし続編を希望してくれる方なんかがいたら頑張ります。