踊り場
幼なじみの中学生版です。
城山市立城山中学校
2年A組山本一夫、俺の詰襟の学生服の左胸ポケットの上に城山中学校の校章と山本というオレンジ色の刺繍が彫ってある。山本一夫ってごくありふれた名前だ。城山市内の電話帳で調べたら100人ぐらい載っている。日本全国だと約100万人いることになる。後で事件が起こってこんがらがっても知らないから…
始業式が終わって数日経った4月のある日、午前中の授業が終わり昼食の時間、クラスの悪ガキの金子と福沢、俺とで机を囲み弁当を食べていると
ツカツカ…
とクラスの女子生徒が金子の横を通り抜けると金子はすかさず棒の様なものでぺろんとセーラー服のスカートを捲り上げたのだ。スカートの中は丸見えで黒いブルマを穿いてたのがもろに見えた。
「きゃあああ!! 何するのよエッチ!!」
女子生徒は教室中に聞こえるような大声を張り上げスカートの裾を押さえスタスタと逃げていった。
「ちえっ!! 何だブルマかよ…」
金子はつまらなそうにぼやいていた。
ツカツカ…
上履きの音が俺のほうに近づいてきた。
「山本君、午後の大掃除、真面目にやってよね!!」
何と俺の班と同じ小川千恵がやって来た。小川とは幼稚園の頃から一緒だった。小学校も同じ小学校だった。行き帰りも一緒だったが小学校高学年になるとさすがに男女を意識しか疎遠になってしまいそれきりになった。中学校に入り1年の時は違うクラスになったが二年生になって一緒のクラスだがまともに話した事がないのだ。千恵は優秀でピアノを習っているらしい。
小川は班長で真面目で几帳面な性格、俺のズボラな性格と正反対だ。
「ハイハイ、わかりました…」
「何よその言い方は…とにかく真面目してちょうだいよね」
セーラー服の千恵はプィと向こうの方へ行った。
午後の大掃除の時間は俺達の班は教室の横の階段と踊り場だ。女子は真面目に掃除をしているが俺達、男子はホウキをバット代わりに野球で遊んでいたのだ。班長である千恵がツカツカと俺たちの方に向かってきた。
「あんた達、真面目に掃除しなさいよね!!」
千恵の鬼の形相で他の男子は掃除をしたが俺は違った。
「千恵はだいだい真面目すぎるんだよ!!」
「何よ!! その言い方は…」
「掃除すればいいんだろう!!」
千恵は一夫の反抗的な言動に腹を立てた
「ふんだ!! 先生に言ってくるわよ!!」
おかっぱ頭の千恵はプイッと後を向いた。
「おい、ちょっと待てよ!!」
一夫は千恵のセーラー服の後襟を掴むと
バシッ!!
「何するのよ!!」
千恵は一夫の手をひっぱたいた。一夫と千恵はついに揉み合いなり
「何するのよ!! きゃあやめて…」
揉み合いながら階段の近くまできて、ついに千恵の足が…
「きゃあああ…」
千恵は階段を踏み外し、一夫と一緒に抱きつきながら下の踊り場まで転げ落ちてしまった。