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オーボエファイター木村

越越慈英慶(えちえちじえいけい)高校3年1組、出席番号2番の木村 恵千子(えちこ)は元々は3年4組7番だった。


あれは3日前のうんこみたいな天気の日のこと。恵千子(えちこ)たちの住む家の倉庫から、祖父の遺書と謎の木箱が見つかったのである。すでに相続の手続きを済ませていた家族たちはドキリとしながらも、一応遺書に目を通した。


遺書にはただ1文だけ、「恵千子(えちこ)よ、これを使って1番になってくれ。それがワシの願いじゃ」と書かれていた。そして、木箱の中にはオーボエが入っていた。それはまるで新品のような輝きを放っており、祖父がどれだけ手入れをして大事にしていたかを示していた。


おじいちゃんっ子だった恵千子(えちこ)は迷わずオーボエを手に取り、空に掲げた。


「我、天下人とならん!」


天国の祖父に誓いを立て、学校に向かった。


とはいえ、恵千子(えちこ)はオーボエのことなどよく分かっていなかった。それどころか、今手に持っているソレをオーボエだと認識すらしていなかった。ゆえに恵千子(えちこ)は自分が何を成すべきか理解していなかった。


「おじいちゃんが遺してくれたこれ、なんなんだろう⋯⋯」


オーボエを見つめながら歩く恵千子(えちこ)


「やっぱ細めの釘バットかなぁ」


年度始めから不良になっていた恵千子(えちこ)にとって、棒状のものに銀色のものがたくさん刺さっているものは全て釘バットでしかなかったのだ。


学校に着くと、廊下で前の席の加賀谷(かがや) まり子に会った。


「えっちゃんだあ! 不良になってからほとんど来てなかったから久しぶりに会えて嬉しい!」


「まりちゃん、あなた6番よね」


「そうだけど?」


「我が覇道を阻む者には“死”あるのみ!」


「えっ? ちょっと、きゃあ!」


祖父の形見でまり子の頭をかち割る恵千子(えちこ)。加賀谷 まり子は3年4組6番。彼女がいなくなれば1番に一歩近づくのだ。


「おい! なにやってるんだ木村ァ!」


同じクラスの笑笑狩場(えくすかりば) ()だ。出席番号は4番だ。


「貴様にも死をくれてやる」


「ぐああ〜!」


「これで私は5番だ⋯⋯」


「なにやってるの、恵千子(えちこ)ちゃん!」


「んあ?」


振り向いた先にはクラスで後ろの席の黒住(くろずみ) 卍比良(まんびら)がいた。


「フン、後ろの人間に興味はない⋯⋯」


「なにを言ってるの⋯⋯?」


「今はあなたも繰り上げで6番なのよ。感謝なさい」


「いやマジでなに言ってんの?」


「フ、時が来れば理解(わか)るわ⋯⋯それじゃあ」


「待ちなさーい!」


足腰の悪い黒住は普通に歩いて立ち去る恵千子(えちこ)を追うことが出来なかった。


「さぁーて次は誰を殺そうかな〜」


「おっ、木村じゃ〜ん」


「お前は⋯⋯!」


出席番号2番・漆骸骨(うるしがいこつ) 韮喰病(にらぐいびょう)だ。


「2番か⋯⋯手強いな⋯⋯」


「なにが?」


「でもそんなの関係ない⋯⋯」


「小島よしお?」


「覚悟ォ!」


「え? マジでなに!? なに!?」


ぱっかーん。


ドサッ。


ドチャビチャドロドロォ⋯⋯


「キャーーーー!」


「私もキャーーーー!」


出席番号1番と元5番・(いぬ) 糞実(フンみ)(おおかみ) 歯子(はっこ)だ。


「フン⋯⋯」


(ワニワニパニックの要領で)


ぱっかーん


ぱっかーん


「この万能感⋯⋯人の命がこんなにも軽いとは⋯⋯おじいちゃん、ありがとう!」


血のついたオーボエを手に、ちょっと泣く恵千子(えちこ)


「これで私が1番だ⋯⋯! おじいちゃん、やったよ! 初日にして、やったよ!」


「おいおい、なーに浮かれちゃってんの?」


「お前は!」


3年3組31番・羽丹(わに) ワニパニックだ。


「誰だ!」


「今ナレーションで名前出たでしょ」


「ワニワニパニックが何の用かしら?」


「お前、4組で1番になったからって調子に乗ってるそうじゃないか」


「今の今でそんな噂が!?」


「というわけで、オレ様が相手だ」


「てことは、あと90人くらい倒さないと1番になれないってこと?」


「そうだよ」


「さすがにそれは心が痛むわね⋯⋯」


「6人でも痛めよ」


「隙あり〜!」


「ハッ! 武器なんて卑怯だぞ、ぐああ!」


死。


翌日。

黒板の前で恵千子(えちこ)の紹介をする3組の担任・犬。糞実の父だが、あんな名前をつけるぐらいには愛情がないので、特に恵千子(えちこ)のことは恨んでいないとウィキペディアに書いてある。


「今日からこのクラスに入った木村 恵千子(えちこ)さんです。『き』なので出席番号は6番になります。落保(おちぽ)さんの後ろね」


「そういうシステムなんだ。転校生来た時どうなってたかな⋯⋯覚えてないや」


恵千子(えちこ)は悩んでいた。

昨日殺したワニワニパニック。彼の死は無駄だったのではないか、と。


「そんなことないよ」


「あなたは⋯⋯」


「前の席の落保(おちぽ) 美紅(みく)よ。短い間だけどよろしくねっ」


「なんで私が悩んでることが分かったの⋯⋯?」


「ナレーションで」


「ああ、そうだった。でも、そんなことないよって言うのは⋯⋯」


「あなたがこのクラスに入るためには、最後尾である彼を倒すしかなかったの」


「そうなんだ!」


「そうなのよ」


「ありがとう! 気持ちが晴れた!」


「ふふ、どういたしまして」


「あなたを殺します!」


「ぎゃあ〜!」


恵千子(えちこ)、出席番号5番。




という日々が続き、冒頭に戻る。


恵千子(えちこ)は今、世間(学校)でオーボエファイター木村と呼ばれ、3年1組の2番まで来ているのだ。1番は「ああああ」という適当にドラクエを始めた奴みたいな名前の男で、ムキムキで超強くて、ヌルヌルでオーボエが超滑る、恵千子(えちこ)の天敵だ。


恵千子(えちこ)、うぬのオーボエはその程度か」


「うぐっ、こうなったら⋯⋯うふふ、私がなぜ恵千子(えちこ)という名前なのか、教えてア・ゲ・ル♡」


「えっ、そんなのアリ!? いいの!? アアア! そんなとこ、ああっヌルヌ【隔日刊しいここは少年誌なので、以降はカットされました】

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