第93話 ゲーマーブラザーズ
「あ、そうだ。夜瑠って今ゲームの大会目指してるんでしょ?」
「ん? そうだな」
隣に座ってゲームをしていたら、朝紗がそんなことを聞いてきた。
それはいいんだけどさ、淡々とはめ技使ってくるのやめないか? 俺別に格ゲーは得意じゃ――
「はぁ⁉ 即死⁉ あそこから死ぬのかよ⁉」
「うっさい、耳元で騒がないで」
「いや、だって……」
フルHPあったんだぞ、なんで死ぬんだ。
おかしいだろ、って視線を向けると、朝紗は耳をふさいで俺から距離を取っていた。……やっぱりまだ怒ってるのだろうか。それとももともとこんなに好感度低いんだったか。
「前から思ってたけど夜瑠ってさ、ほんと人のこと考えられないよね。ボッチが身に沁みすぎてるんじゃない?」
常々思っていたらしいです。
でもな、それを言うなら即死コンボを容赦なく使ってくるお前も人の心無いだろ。
「でさ話し戻すけど、私見に行ったりできるの?」
「いやいやネット大会。うちで参加するよ」
「そうなの? みんなで集まって同じ場所でー、とかじゃないんだ」
「え? あー、それもあり得るのか。俺は家でやる気満々だったけど」
確かに竜輝はパソコンを持っているだろうし、俺ももちろん持ってるが、あと一人が持ってなくて学校のものを借りる可能性とかもあるわけだ。そうなったら3人で集まったほうが都合がいいこともありそう。
「まあどっちでもいいけど試合の風景見させてよ」
「別に構わないが……プロの試合でもないし見てて面白くはないと思うぞ」
「だってほとんどやったことないゲームなんでしょ? 夜瑠の無様なとこ、見れるかかもしれないじゃん」
俺のどんな姿を想像したのか、朝紗は口元を隠して笑いだした。
「と言うか今だって無様だろ。即死で死んだぞ」
「だって夜瑠1回はまった即死もう当たんないじゃん」
「そこまで徹底してないぞ。警戒はするから、多少当たりにくいかもしれないけど。お前すぐに別ルートだしてくるし」
「あのねえ、こっちは数時間とか下手すれば平日掛けて練習した即死がほぼ一発芸状態なんだよ? やってられないって」
「新しいルート見つけるたびに意気揚々とお見舞いしてくるくせに……」
今日ゲームをやる約束だってさっきの即死が本命だったはずだ。ああいうのを披露したいがために、俺は月数回のペースで呼び出される。それで俺が対応し始めたらはいおしまいってコントローラーを投げるのが朝紗だ。
「まあ、そういうわけだからよろしくね。学校でやるなら入れるか聞いといてよ」
「はいはい、聞いとく聞いとく。……っておい、また即死かよ!」
「今回は中盤即死だからね。警戒してないだろうなーって思ってたよ」
「このやろう……!」
と言うか喋りながら即死を警戒しろってのが無理なんだ!




