第91話 ひとまずの目標
「おおっ! やっぱすげぇな! 連続3抜きヘッショ! って、うっそだろそのフリック当てるのか⁉ うわぁ、危なげなく勝ちやがった」
「まあまあ、これくらいはなぁ」
などと言いつつも、正直鼻高々である。まさかここまで素直に褒めてもらえるとは。今まで褒められたことがなさ過ぎて耐性がない自分が恥ずかしい。ここまで承認欲求に飢えていたとは。
「なあ夜瑠、やっぱりゲーム部入ろうぜ。一緒に大会出よう」
「ん? それは……無しかな。今は生徒会の仕事で忙しいし、俺ほかのゲームはそこまでうまくないぞ」
「やってないだけだろ? すぐにうまくなるって」
「まあやってないのはそうなんだけど」
ミスガンにはまって早2年。他のゲームも触ってみるはいいものあまり長続きした記憶はない。と言うかたぶん、スタートダッシュの熱を全部ミスガンに注いだ結果今の実力があるのだ。
「それに、別に賞金が着くようなでかい大会に出ようとは言わない。ただ、お前と一緒にゲームをしてみたい」
「……いいのか?」
「いいのかって、むしろこっちが聞いてるんだけど。俺はもちろん大歓迎だぜ! むしろやってくれるならいくらでもやる!」
竜輝は身を乗り出して言ってくる。前のめりに、止まらなければ俺を押し倒す勢いで。
こんなに強く求められたのは初めてだ。
いや? 莉弧も似た感じだったか? でも、今回はわけが違う。俺と一緒に何かをしたい。心からそう思ってくれたのが肌で伝わってきた。もしかすると、少し前までの俺なら卑屈すぎてわからなかったかもしれないけど。
……でも、いいかもしれない。
俺が俺として成長する。そう決めたからには、やりやすいことからでもいいから少しずつ前進する必要があったんだ。ゲームの大会に出る。仲間と一緒に頑張って、そういう思い出を作るんだ。もしそれが出来たなら、俺にとって大きな進歩じゃないか。生徒会のみんなだけじゃない。他にも友達を作る!
そうと決まれば話は簡単だ。
「分かった。一緒にやらせてくれ。と言っても、多分教えてもらうことになるからそこらへんはよろしくな」
「任せとけって! 俺は1年ででっかい大会に出る予定はないし、時間は合わせるぞ。ゲームとチームメイトは俺が決めていいか?」
「むしろ助かる。俺にチームメイトを集めてくれって言われても無理だからな」
「了解だ! じゃあ早速ゲームを決めるか! 今パソコンにあるゲーム、片っ端から触ってみようぜ! 俺が適性を見てやる」
「おう!」
こうして、俺は竜輝とゲーム友達になった。




