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第88話 竜輝

「えっと、りゅうき? って言うのか」

「ああ、そうそう。言ってなかったっけ。竜輝。竜に輝くだ」

「俺は乙崎夜瑠だ。昼夜の夜に瑠璃の瑠」

「ああ、ナイトルーンの由来は本名だったのか」

「そういうお前こそ、まんまだな」


 ドラゴンだったか。俺と同じかそれ以上に安直だ。ちなみに、ルーンは瑠璃、つまり神聖な雰囲気を放つ宝石をイメージしてくっつけた。


「プレイヤーネームは所詮飾りだしな。にしても夜か。てっきり騎士のほうだと思ってた」

「ああ、そっちもあるな。俺も英語にしとけばよかったかな」

「いやいや、プレイヤーネームには考察の余地があるのも面白いんだよ。今回答え合わせできたけど、これはここだけの秘密ってことにしといてやる」


 あー、SNSとかやってたらそういう噂も立つものなのか。駄目だ。ネットだろうと現実だろうと友達がいないからそういうこと一切分からん。


「でさでさ、見せてくれよ、手元。お前のDMRとか当たりすぎてるんだよ! どうやってんだ⁉」

「どうやってるって言われてもなぁ」


 俺は基本全部独学だからきっと指導されるんだろうなぁ。と言うか見て面白いものでもないと思うんだよなぁ。多分、竜輝のほうがゲーム上手いんだろうし。


「いいけど、使っていいパソコンあるのか?」

「まあ俺が言えば使わせてもらえるかもだけど、あとにしたほうがいいだろうな、人に貸すなら」

「悪いな竜輝、次の大会も近いから」

「別に、俺部員じゃないし」


 へえ、大会かぁ。一応ネット大会なら出たことあるけどソロゲーばっか。チームで大会出ると、サッカー部みたいに青春出来るのだろうか。出来るんだろうなあ、皆楽しそうだし。

 俺もせめてこの部活に入ってれば――


「え? お前部活入ってないのか?」

「そうなんだよ。入ればいいって言ってるんだけど」

「だーかーら! それは無理なんだって! 仕方ないだろ!」

「分かってるって。別に部活に所属してないって理由で出場制限される、とかもないから問題はないし」

 

 まあ別に入ってるか入ってないかは重要じゃないよな。一緒にゲームをする。友達と一緒に努力して上を目指し、汗を流して切磋琢磨することその行動そのものが――


 ちょっと待て。竜輝って、1年だよな?


「竜輝って1年生か?」

「ん? そうだぞ」

「……」


 こ、こいつかぁ……。


 部活動にも委員会にも入っていない後1人の1年生。どうしても生徒会の手伝いはしたくないって言って断ったやつ。出来ることなら俺だって断りたかったのにこいつだけ抜け駆けしやがって。

 と、当時の俺なら思っていたはずだ。


 けれど、俺は生徒会に入ったことを後悔してないし、こいつはこいつでゲーム部を楽しんでいる。しかも、事情がなければゲーム部に入っていたはずなのだ。別に恨むことでもないだろう。


 まあ、それはそれとして押し付けられた仕事をこいつだけやらずに俺の負担が増えているのは許せなかったりする。

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