第85話 報告会
生徒会室に着くと、どうやら俺たちが最後だったらしい。いつもは莉弧と湊なのに、って思ったのだが、そういえば今回莉弧と一緒に来たのは俺だった。つまり莉弧と一緒にいると遅刻する? 考えるのはやめておこう。
でも、遅刻したら罰ゲームと言って莉弧を誰かに押し付ければ罰ゲームを押し付けられるということだけは覚えておく。
「乙崎と冨田も来たか。それじゃあ、先週の一年の仕事の振り返りをしよう」
稲生会長がそういって、会議が始まった。
主にやってるのは俺たちからの報告と、それに対する向こうからの質問。それに答えるという応酬の繰り返しだ。多分、俺たちがしっかり仕事をしたのかどうか、その仕事に対して考えながら取り組んでいたかを見ているのだろう。
その証拠に、質問は順番に投げかけられてる。及川さんと妃奈は問題なく答えているし、意外と言っては失礼だが湊も毅然としてる。問題があるとしたら俺と莉弧だ。真面目にやってたつもり……いや、やってないな。ずっと隅っこで黙り込んでただけな気がする。
ま、まあそれは置いておいて。俺たちは問答に戸惑うことが多かった。知ってるのは間違いないのだけど、うろ覚えすぎてはっきりしないのだ。
「ゲーム部についてだが、彼らは功績だけで部費を上げてきた部活だ。活動内容などについての視察は行えていなかった。今回は乙崎たちが行ってくれたらしいな。どうだった。部費に見合う活動はしていたか?」
「あ、あー、えっと……」
活動内容、ね。熱心な部員がいるのは間違いない。部長もさっき廊下で会った人もゲームにかける情熱は本物っぽかったし、部室の中の空気も緊張感があった。
って言うのを伝えればいいはずなんだけど。
「そのー、みんな頑張ってたと思います。機材もいい感じのを使ってたし、部長はいい人だったし……」
ってそんなことが言いたいわけじゃない! 落ち着け俺! いろいろ装飾する必要はないはずだ! そもそも具体的な資料を求められているわけじゃない! 思ったことをそのままいえれば!
隣からわき腹をつつかれた。
横目で見ると、妃奈がスマホを差し出してきていた。
まさか何か励ましの言葉を――
『せっかく積み上げた私たちの信頼を崩したら怒りますからね?』
――くれるわけがないってことがあるんだ。俺はびっくりだ。ちょっと待て、俺ら友達だよな? 一蓮托生の仲間だよな? なぜ追い詰める?
まあ怒られるのは勘弁だ。しっかりやるとしよう。
「あー、その。ゲーム部がゲームに向ける熱量は本物だったと思います。俺もゲームをやりますけど、画面を少し見ただけでも実力が高いことが分かりました。部長をはじめとして部員たちは緊張感をもって部活動に取り組んでいましたし、去年の購入履歴を見るに部費は適切に使われていたと思います」
「そうか。それはよかった。じゃあ次に――」
何とか乗り切ったらしい。莉弧もまあ、頑張ってくれ。何かあったら、俺が一緒に謝るから。




