第72話 ゲーム部
翌日、俺たちは視察の続きを行っていた。
「ゲーム部のみなさんこんにちは! せーとかいです!」
「視察に参りました。少しの間失礼させていただきますね」
「……っす」
と言うわけで、この前に話題に上がっていたゲーム部にやってきた。部室は普通の教室並みの大きさがある。なんでも、規模が増えて部室の場所を変えたらしい。部費も増えたし、部員も増えた。本当にこの1、2年ですごい成果を上げたらしい。
部屋の中はちょっと暗め。電気はついているけれど窓に遮光カーテンがあるっぽい。デスクトップパソコンが数台。一台数十万だぞ、やばいな。
まあうち一応私立だし、及川さんみたいなお金持ちっぽい人もいるから、お金はあるのかもしれないけど。
「ああ、言ってましたね。案内しますよ」
「ありがとーございまーす!」
部長さんらしき3年生に会釈してから、教室の中を回る。
全部員35人。実際にパソコンを触れるのは10人程度で、他の人たちは動画を見ながら技術を学んだり、部員同士でアドバイスしあっているらしい。本当にちゃんとした部活みたいだ。馬鹿にしていたわけじゃないけどここまで本格的だったとは。
主にFPSとかって言われるゲームに力を入れていて、大会もいろいろ出てるんだとか。今も主要メンバーは大会に向けた練習をしているらしく、そっちには近づかないでほしいらしい。
「すごーい。みんな手の動きはやーい!」
「すさまじい集中力ですね。見ていて圧倒されてしまいます」
「ははっ、それほどでもないですよ。ただみんな好きなことに真剣なだけです」
「真摯に向き合い、技術を磨き。そういう意思があるうえで高めあえる仲間がいる。とてもいい環境ですね」
「それは……ですね。すごく恵まれていると思います」
及川さんの言葉に部長は嬉しそうに笑う。ちょっと物静かそうな人が素直に笑顔を浮かべてしまう。さすがは及川さんの圧倒的な美貌である。あの美貌で誰かが喜ぶのなら俺も自分事のように嬉しい。
いや、誰目線だって話だけど。
「あのー」
「ああ竜輝か。好きにしてていいぞ」
「はいっす」
部員の人だろうか。部屋に入って、すぐパソコンに向かった。順番待ちをするのかと思ったらもともと座っていた人がすぐに変わった。主要メンバーってやつだろうか。同級生くらいに見えるけど……どうだろ。フードを被っててよく見えない。
「あ、そだ。よるっちってこーゆーゲームするの?」
「え? 君もゲームに興味あるのかい?」
「ひっ」
お、おっと思わず変な声が出た。今の今まで注目がこちらに向くことはなかったので驚いてしまった。
そのうえどんなゲームの話なのかを聞き逃してしまったので、莉弧が見ている画面をちらり。UI的に今人気のFPSっぽい
「まあ、やったことはあるけど。まだ初心者だな」
「やっぱするんだ! たのしー? ウチもやってみよーかなー」
「パソコンあるのか?」
「んーんー。ないよ。だからよるっちにやらせてもらおかなーって」
「まあ別にいいけど」
「やたー! じゃー今度のお休みでいー? のれっちも行こ!」
「私はゲームはやらないんですけど、お誘いいただけるのならぜひ」
「うちなんかでよければ全然。……ん?」
今、なんて言った。
俺の聞き間違え、じゃないよな?
及川さんが俺の家、と言うより俺の部屋に来るって、こと?




