表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
59/97

第59話 お化け屋敷

「ど、どどどどうしてお化け屋敷なんですか!」


 いよいよ俺の腕にしがみつくことを躊躇しなくなった妃奈は、中に入ってから今更のように悲鳴を上げた。


「いやなら入る前に言えよ」

「まさか思わないじゃないですか! 怖いの無理って言った後で、お化け屋敷に連れてこられるなんて! てっきりそれっぽい飲食店かと!」


 飲食店なら、と外観の怖さを我慢していて、お化け屋敷ってはっきり書いてあった看板を見逃したらしい。こう見えて結構抜けてるよな、こいつ。


「ああもう、早く出ますよ。ほら、駆け足で――」


 妃奈が急に言葉を詰まらせて息を飲んだ。どうしたんだろうと横を見ると、妃奈が固まって動かない。

 理由が分からなかったのでさらに首を回すと、妃奈の肩に、ゾンビらしき人影が手を置いている。


「あー、振り返る――」

「きゃああああぁぁぁぁっ⁉」


 振り返るのはやめたほうがいい、と言い切る前に振り向いてしまった。ゾンビと目が合った妃奈は俺の腕を痛いほどに締め付け、ばっ、と駆けだした。


「ちょ、急に走るな!」

「いやああああぁぁぁぁぁ!」

 

 どうやら聞こえていないらしい。全速力で走る妃奈に全力で合わせる。正直運動不足のこの身だときついです。

 と言うかあの、いい加減腕離してくれないですか? 意識しないようにとしてたけど、今回一層強くつかまれてね、そのね、あの……当たってるんですよ。さっきは女の子っぽいだとか、ぽくないだとかって話をしてごめんなさい。ちゃんと女の子です。


 脳内でかしこまらないといけないくらい意識してしまっていて、どうにか逸らさなければいけないと頭を振る。別に、俺たちが恋人っぽいことをする必要はないのだ。ただちょっと、どうせなら吹っ切れてくれないかなぁ、とここに連れてきただけで。

 吊り橋効果って、怖がってない側にかかるものだったか?

 

 ……まあ実際、顔は悪くない。と言うか整ってる。好みかと言われればそんなことはないが、可愛げがあっていいとは思う。アニメが好きだったなら趣味も、合わないことはないだろうし。

 多少嫌われているかもしれないけど、今だってほら、こんな距離感だし。ワンチャンあったり――


「い、いなくなりましたか⁉」

「ん? あ、ああ、い、いないっぽいぞ」


 っぶねぇ、危うく好きになりかけた。そもそも俺は二次元になんて興味はないし、あったとして及川さんい綺麗な人に対して抱くくらいだ。それだって好きとか嫌いって言うよりは、推しって感じの感覚だし?

 うん、好きになるとかありえない。


 安全を確認し、妃奈が一息つく。

 急に走ったせいで高揚した頬とか、少しだけ荒い息遣いとか。そんなものが妙に気になってしまうのも、ただの偶然でしかないはずだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ