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第54話 最悪の待ち合わせ

 それから数日たち、ゴールデンウィークの最終日。俺は、腕をつねられていた。


「どうして私が……」


 そう不満げに呟くのは妃奈。肩を縮め、悔しそうにつぶやく妃奈を見ながら、こうなった経緯を思い出す。


 あれから俺たちは莉弧と湊、それとは別に男女ペアを用意することになった。と言っても候補者は3人。俺を前提として、妃奈か及川さんが一緒に出掛けるということになった。

 のだが、すかさず妃奈が一刀両断。


「私は無理です。忙しいので」


 とのことで及川さんに聞いてみる。


「私でよければ。届かぬところも多いかと思いますが」


 らしかったので決定。俺は俺で及川さんと、演技とはいえデートすることになって内心舞い上がっていたのだが……前日に――


『大変申し訳ありません。突然の発熱で――』


 という長文が送られてきてしまった。このことによって妃奈を説得。どうにかこうにか呼び出した。


 そして今に至る。


「そういわないでくれ。仕方ないだろ、及川さん体調不良なんだし」

「はぁ、分かってますよ。……一応言っておきますが、変なことはしないでくださいね」

「分かってる」


 ……すっげぇ、嫌われてる。あれぇ? この前ニュートラルじゃなかったっけ?


 今は莉弧と湊を待っているところだ。そういえば、最初に遊んだ時も遅れたのはあの2人だったか。カフェの時には莉弧、遅刻してなかった気がするんだけど……。もしかして、湊にあわせて遅刻してたりするのだろうか。

 だとしたら、面倒見がいいと言っていいのだか悪いのだか。


「あくまで2人の援護です。うまいこと結ばれれば、それで役目は終わりです」

「分かってるって。何をそんなに心配してるんだ」

「心配もしますよ。あなたは私と同じで恋愛なんかと一切の関係がない人じゃないですか。大した働きができるとは思えません」

「ひでーな……」


 そういえば、こういう皮肉はもともと言われてたっけ。もしかしてあれって、本音がにじみ出ていただけなのだろうか。

 

「というか、私と同じでって。付き合ったりとかしたことないのか?」

「はあ? あるわけないでしょう。言ったはずですよ、私もあなたと同じだったんです。それでどうして付き合うなんて……」

「でも、変わりたくて、実際変わったんじゃないのか?」


 そうとも言っていたはずだ。今の妃奈は間違いなく生徒会としてしっかり仕事していて、俺みたいな陰キャとは違う。出会いもあるだろうし、外見にもしっかり気を使っている。別に、俺にじゃなければ当たりは優しいんだろうし。


 なんて思って軽い気持ちで行ったのだが、肘でわき腹をどつかれた。


「うっ」

「うるさい人ですね。人が、そう簡単に買われるわけないでしょう」


 大きなため息をつく。

 俺は痛むわき腹を撫でる。


 妃奈はそれ以降、俯いて喋らなくなってしまう。

 休日に2人で出かけて、ここまで気まずい男女があるか。今日はなんだか、苦労しそうな一日だ。

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