第52話 女子会?
「妃奈が、なんで……」
俺だって聞いてない。というかむしろ、断ったという話を聞いていたくらいだ。妃奈も妃奈で俺が抱いた疑問を当然だと思ったのか、表情を崩さず言ってくる。
「昨日の夜突然気が変わって行くと、莉弧ちゃんに。こんな私でも何かできることはあるかもしれませんから」
普段なら浮かべているはずの小さな笑みも、今の口元にはない。ただ静かに、無表情のまま続ける。
「あと、そうです。以前はすみませんでした。私、少し陰湿でしたね。態度を改めます。今日は同じ友達のために集まったんです。仲良くしてもらえると嬉しいです」
「……」
俺は覚悟を決めたはずだ。何をするかもある程度考えていた。けど、まさか妃奈から謝罪を言われるとは思わなかった。どんでん返しにもほどがある。予想をことごとく裏切ってくるのはやめてほしい。俺の頭じゃついていけない。
「まあ、妃奈がいいなら、いいんだけど」
「ありがとうございます。では、行きましょうか」
そういって妃奈は俺のわきを通り、店の中へと入っていった。後ろを付いていきたくはない。正直まだ気まずい。なんか妃奈、笑ってくれないし。明らかに礼儀的な意味で言っていた。
間接的な関係を作ろうとしていた。正直、あんまり嬉しくはない。これから一緒にやっていく仲間なんだ。どうせなら本音で語りたい。どっかでタイミングを見つけて、一対一で話を――
「やっほー、2人とも!」
「おはようございます」
とか考えていると席についていたらしい。先に待っていた莉弧と及川さんに迎えられた。というかもうなんか買ってるし食べてる。パンケーキだろうか。まだお昼には早いと思うけど。
あれだろうか。甘いものは別腹ってやつ。だとしたら胃袋はどんな構造をしているんだろう。少し気になる……ことはないな、別に。
「えへへっ、なんだか女子会みたいだよね。こーゆーのしてみたかったんだー」
「……一応俺もいるんだが」
「四捨五にゅー? すれば大丈夫でしょ!」
「こんな性格の女は嫌だろ……」
根暗で陰キャ、根っからの人見知りで独り好き。外見にも気を使わないし成績はダメダメ。運動神経も悪いとか普通に泣けてきたわ。え、帰ろうかな。
あと四捨五入しても俺は女にはなれない。
「でも確かに、女子多めでこういうカフェに来るのは、何気に初めてですね」
「私、かふぇって初めてなんです。このパンケーキもおしゃれで」
「だよねー! めちゃかわー! 撮ろ撮ろ!」
とはしゃいでいる女子たちを遠巻きに眺める俺。定員さんに頼んでカウンター席用意してもらおうかな。それかバルコニー。空いてない? ならレジでもいいですよ。友達がバイトしてたとこ見てるんでたぶんできます。




