第3話 一般通過オタク、生徒会と会う。
湊からの連絡通り、翌週になって俺は生徒会室の前へとやってきた。ちなみにその間連絡は業務連絡だけである。まあ、知ってた。
「えっと、失礼しま――」
「そこ、いいですか?」
ノックしかけた手を止める。誰だ、勇気を振り絞った俺の一声をかき消したのは。
「その、生徒会室に用事があって」
「俺もです」
「……え?」
なんだそのあり得ないようなものを見る目は。
俺に大してかなり失礼な発言をしたのは、おとなしそうな女生徒だった。
真面目な感じでノートを抱えた、ショートヘアの子。平均身長未満の俺よりちっこくて、制服は模範通り。
「…………あ、お手伝いの人ですね」
「そうです」
長考の結果ようやくひねり出せた予想が的中してよっぽど安堵したのか、その子は胸に手を当てて一呼吸着いた。
おい、俺は手伝いすらしそうじゃない顔か? なあ? 流石に傷つくんだけど。
「それなら中にどうぞ。そろそろ会議が始まりますから」
「あ、ども」
その子が扉を開けてくれて、生徒会室に入る。あ、失礼しますって言い忘れた。
しかし必要なかったようだ。結果論だが、俺たち以外に人はまだいなかった。
「みんなゆっくりなんですよね。とりあえず適当に座ってください、すぐ来ると思いますから」
振り返ることなくそう言って、その子は教室の一番奥の席に座った。その辺、と俺に指さした席とは真反対だ。
やばい、泣きそう。
生徒会室は想像していたより普通の部屋だった。
豪華な装飾だったり、質のいいソファはない。長机とパイプ椅子が並んでて、あとは資料棚があるくらい。ほかは普通の教室と変わらない。若干お菓子とか私物らしきものが見えるが、あえて言うほどのものはない。
それなりの広さの教室の中、2人いるのに会話はなく、対角の席に座ってただただ時間が過ぎるのを待っていると、扉が開いた。
「あ、妃奈はいるな。あとは……おお、乙崎か」
おい湊、今の間はなんだ。俺を呼んだ本人が忘れたら誰が俺のこと紹介するんだよ。
というわけで湊が入ってきた。ちなみに名前を覚えいたはロインの名前と一緒だったから。苗字は忘れた。
と、ほかにも誰かいたらしい。なんか湊とお似合いな、テンション高そうな子が笑顔で入ってきて、妃奈って呼ばれた子に手を振って……こっちは見向きもしなかった。まあうん、知ってた。
それと続くように生徒会長らしい男子生徒と、副会長らしい女生徒、そのほか3人が入室してきた。上級生はこれだけらしい。
一応今日までに調べておいたのだが、現在生徒会に所属しているのは8人。3年生が2人、2年生が3人、1年生が3人と確かに少人数体制らしい。
……で? 俺以外のお手伝いは?
「ん? なんか人少なくないか?」
生徒会長らしい人が言う。
「えっと、そこの乙崎が1人と、あと1人来るはずなんですけど。1人、どうしても無理って言って断られたんで」
おい待て、どうしても無理、が通るなら俺も来なかったぞ。
「じゃあもうちょっと待つか」
「失礼します」
生徒会長の言葉の直後、ノックの音と、扉越しに女性の声がした。
噂をすればなんとやら、どうやら最後の1人が来たらしい。




