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第29話 コイバナ

「ウチと湊は同じちゅーがっこーだったんだけど、そのころからー、その、……しゅき、でぇ」


 頬を赤くし、それを隠すように手で覆った莉弧は肩を縮めて俯いてしまった。

 ……あの、俺にどうしろと。いやその、こういうときなんて言えばいいの? 笑うんじゃないってことは分かるんだけど。

 と、とにかく何かい言ったほうがいいよな?


「じゃあ、ずっと片思いなのか?」

「うん。ウチも告白したいとは、思ってたんだけど、なかなか、そーゆー機会作れなくて。……でも、やっぱり付き合いたいっ、て、思ってて」

「それで、どうやって成功させるかを悩んでいる、と」

「ん」


 乙女だなぁ、と思う。

 中学生のころからずっと片思いしていて、今もそれが覚めない。出来るなら告白したいけど、失敗したくなくてそれが出来ない。

 正直、俺の恋愛観なんてゲームとかアニメとかラノベから得たものしかないけど、それにしてもシャイな気がする。

 今の陽キャたちってロインで付き合ったりするんじゃないのか? 日常会話で付き合ったり、そういうんじゃないのだろうか。まさか体育館裏に呼び出したり、ラブレターなんて時代ではないだろうと思うけど。

 告白されたことはおろかしたことも、しようとすることもない俺にはよく分からない。


「……言ったとは思うけど、感触は悪くないだろ? 仲いいのはそうだろうし」

「そーだよね! ウチら、結構仲いーと思う! だからさー、行けるとは思うんだけどね⁉」

「そ、そうだな……」


 実際、今の感じでいけないのなら端から不可能な気はする。好感度は間違いなく高いだろうし、莉弧の言い方からして湊に彼女がいるわけではないだろう。振られてしまう可能性があるとすれば、湊に好きな人がいる場合か。

 それもどうしようもないからなぁ。


「湊に好きな人がいるか、とかを聞き出せれば楽なんだけどな」

「そー! それだよ、よるっち!」

「えっ⁉ あ、うん、そうだね⁉」


 莉弧は机を乗り出して、俺の手を両手で握ってきた。

 あの、いきなりすぎるスキンシップはやめてもらえませんか⁉ あと、小さいと思っていた俺の手を、大きそうに包むのやめてくれない⁉ 嫌でも男と女ってのを意識しちゃうんだよ!


「それでさ、よるっち聞いてくんない⁉ 男同士なら聞きやすいっしょ⁉」

「お、俺が? いや、まあできないとは言わないけど……」

「しょっ⁉ 私もよるっちにきょーりょくするからさ、お願い!」

「俺に協力って? って、あー……もしかして妃奈とか及川さんを好きってことか?」


 前、なんかそんな話をされた気がする。莉弧は頭をぶんぶんと縦に振っているし、間違いないだろう。


「……ちなみに、俺が付き合おうと思って付き合えるものか? 2人とも、その、可愛いし」

「なーにー? 自信ないの? だいじょーぶだよ、よるっち優しいし!」

「……」


 待て、なぜそのルックスで自信がなくて俺のルックスで自信を持てと言えるんだ。莉弧のルックスを10点とするのなら俺は3点とかだぞ。自信を持つべきはそっちだろう。

 あと、優しいしは苦しくないか? ほらさ、もうちょっとほら……駄目だ、自分でも長所が思いつかない。


 ……なんか、可能性なんて無いような気がしてきた。

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