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天使の恋と悪魔の故意  作者: わん8
1天使よ××することなかれ
5/8

*間章

「あ、また作られてるー」

 妹の不快気な声に兄は視線を向ける。

 しかめた顔ですら愛らしいのだから、この妹はなんなのだろうか。俺が守らなければならない人。世界で一番の人。堕ちるなら共に。そう願った唯一の人。

 彼女がトリガーだったからか、作られたモノに対して感じ取るのは、いつも彼女の方だ。

 懲りないな……何度も、何度も壊してきたのに、また作られる。俺だって、不快だ。兄は冷えた目で空を睨む。夕焼け空をひたすら睨み据えると、妹に向き直る。

「妹くん、どうする?」

「兄さん、不快だから、壊しましょうよ」

 わざとらしく呼べば、わざとらしく返ってくる。

 うっそりと妹は笑う。

「恋をすればいいのよ、私たちみたいに」

 兄は手を伸ばし、妹の頬に触れ顔を寄せる。

「ああ、そうだな」

 そっと口付けてから微笑む。

 うっとりした顔で妹は兄を見上げていた。

 この妹にずっと恋焦がれていた。守るべき同胞、守るべき家族、それだけじゃなかった。これは恋情だ。

 見守るだけでは嫌。己が幸せにしたい。己が隣にいたい。その唇に、触れてみたかった。これが恋でなくてなんなのだろうか?

「恋をすればアイツらは壊れるしかない」

 いい気味だ。これに懲りてもう作らなければいい。


「あ! とと様とかか様、またいちゃついてますね!?」

 義息子の声に、兄と妹は揃って声の方向に顔を向ける。

「今日はぼくとかか様に錬金術を見せてくれる約束ですよ! とと様!」

 ぷくりと頬を膨らませる養い子にふたりは苦笑を浮かべ、黒いコートを翻して向かう。

「ああ、これから準備する」

 黒い羽が揺らされる。

 物を作るのは好きだ。好きが高じて錬金術にまで手を伸ばしてしまった己を、妹と養い子は嬉しそうにしてくれる。可愛いな。愛しいな。

 手が伸ばされ、手と手が繋がる。妹を横目で見てから笑う。笑いながら悪魔の義兄妹は言った。

 

「「くそったれな神にささやかな反逆を」」

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