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不穏

「イディヒダ、どうぞ」


フェネルに発言を許可されると、イディヒダの表情は優しい老人のような笑顔から真剣な顔付きに変わった。そして何度か息を飲み込み、皆の視線を集めたところで口を開く。


「一番に発言権を得ておいてなんだが、テテュスの地に目立った変化はない。しかし…うむ、これは老人の戯言として聞いてくれて構わないのだが、私は異変こそないが何か重大な事が起きるような気がしてしまうのだ。」


イディヒダがそう述べると、賢者達は顔を顰めた。イディヒダは老人の戯言だと言ったが、彼は賢者の中で一番の年長者で経験豊富、実力も確か。それに彼の勘は鋭く、よく当たるのだ。そのイディヒダがこう言い出したのなら、気にせずにはいられない。

空気が重たくなったのを察知して、フェネルは口を開いた。


「他に報告はありますか?」


全員が他の賢者の動きを伺っている。暫く見つめ合った(のち)、ネーヴァンが深く息を吐きながら手を挙げた。


「…誰も行かないのなら、俺が話そう。いいか?」


「ネーヴァン、どうぞ」


「災害の件と関係があるかはまだわからんが、こっちじゃここ最近で盗みなどの被害件数が増加している。他の地でもこういった事が起きてんなら、イディヒダの勘通りということだろうな。」


ネーヴァンの報告を聞き、フェネルはますます顔を顰めた。ニナとユフザーゼは顔を見合せている。


「…わかりました。他にそのような報告がある方は?」


フェネルがそう口にすると、今まで微動だにせず話を聞いていたシドが手を挙げた。


「シド、どうぞ」


「盗みではないが、動物による被害件数が増加している。今までもそういった被害が全くなかった訳では無いが、件数が大幅に増減することは無かった。最近はどうやら普通の村民だけでなく、猟師まで被害を受けたり行方不明になっているようだ…ネーヴァンの方と関係があるかは分からないが、此方でも異例の事態が起きていることは確かだ。」



「…わかりました、他には?」


フェネルはそう言い全員の様子を伺った。ニナとユフザーゼは何もないと言うように首を振っている。


「では…原因に心当たりのある方は居ませんか?」


「心当たりどころか、そのふたつの共通点すら分からないよ。(みな)もそうだろう?土地が隣接している訳でもないし、内容もほぼ別物だ。」


ニナが不機嫌そうに言い放った。その指摘は的を射ていて、誰も返す言葉がない。

フェネルは考える素振りを見せ、発言を改めた。


「そうですね、訊き方を変えましょう…こういう突発的かつ異例な事例について知っている方は?些細な事でも構いませんので」


「いや、ねえな。あるとしたら神話の中ぐらいだろう。まァとりあえず似たような事例がないか今回は見直した方がいいんじゃねえか。」


ネーヴァンがそう言ったが、誰も同意の言葉すら発さなかった。そうして長い沈黙の後、ニナが言いづらそうにゆらゆらと口を開いた。


「なあ…本当に無関係って可能性はないのか?」


その発言に、全員が息を飲む。正直、この二件に関わりがあるとしたら異例な増加だということぐらいで、繋がりがあるか定かではない。しかし、こうも異常な事が重なると同じ原因があると考えなければ納得がいかないのだ。


するとイディヒダがユネと顔を見合せ暫く考えた(のち)、口を開いた。

「確かに関係はないかもしれんな…じゃが、」

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