7話〔記憶の断片〕
友希斗「ううっ……」
頭を打っているのか朦朧とした意識になった。
友希斗父「走れっ!!」
「グガガガァ」
友希斗「ううっ……」
子供友希斗「おとぉさぁぁん!!!!」
友希斗母「あなたぁぁ!!?」
友希斗「ううぅ……」
友希斗母「友希斗強く生きていくのよ」ニコリ
友希斗「ううっ……ううぅ……」
女剣士「もう大丈夫だからな」
記憶の断片がコマ送りの様にながれていった。
友希斗「はっ!? はぁはぁはぁ……」
冴「キュー」
友希斗「冴、良かった無事で」
冴「キューキュッ」
友希斗「それにしてもあれいったい……それにあの人は誰だったんだ? ぼやけてて分からなかったな」
冴「キュ?」
友希斗「ううんそれよりこれからどうしよう……下が水で良かった」
上を見あげたが真っ暗で見えなかった。
一方その頃・・・・
=小部屋=
冴玖「どうしたの? こんな所に呼んで?」
千夜「友希斗の体質について冴玖に話しときたいっす」
冴玖「僕に?」
千夜「そうっすもしもの時の為に冴玖には教えときたいっす」
冴玖「僕に話しちゃって良いの?」
千夜「冴玖は信用出来るっすから」
冴玖「分かった」
千夜「この前冴玖のレベル上がったのは友希斗が側に居たからっす」
冴玖「そうなの!?」
千夜「友希斗には昔から付与スキルがあるんっす」
冴玖「付与スキル?」
千夜「そうっす、魔力を上げたり攻撃力を上げたり経験値を上げたり」
冴玖「待って……それって……三神器スキルなんじゃ……」
千夜「…………そうっす……」
冴玖「嘘……だってあれは噂でしかない伝説のスキルだって……」
千夜「僕達の村の人しか知らないっすからね」
冴玖「けどそれの何が問題なの?」
千夜「友希斗はそのスキルを三個とも持ってるんっす」
冴玖「三個も……」
千夜「そのせいでもう一つのスキルが友希斗を苦しめてたんっす」
冴玖「もう一つ?」
千夜「そうなんっす……」
=洞窟=
友希斗「くしゅん」
焚き火で暖まっていた。
冴「キュキュ」
友希斗「大丈夫?」
冴「キュッ」
友希斗「ちゃんと暖まるんだよ」
冴「キュキュ」
冴は胴をブルブルした。
友希斗「良かったぁー師匠から火起こしのやり方を教えといてもらってて」
冴「キュ?」
友希斗「師匠はねおっかないけどすごい物知りなんだよ」
冴「……」
友希斗「師匠元気にしてるかな……」
冴「キュキュ」
友希斗「別に寂しくなってないよ」
冴「キュキュ?」
友希斗「師匠の方が寂しがり屋だからな」
冴「キュー?」
友希斗「そういえば何で師匠の所で厄介になってたんだろう?」
冴「キュ?」
友希斗「うーん……確か…………」
友希斗は師匠に出会った時のことを思い出した。
数十年前・・・・
=森の中=過去
聖羽「すまない誰かいるか?」
子供友希斗「聖羽さん……」
聖羽「大丈夫だ心配しなくていいぞ」
子供友希斗「うん」
「何?」
聖羽「貴方がこの子の厄介なスキルを抑え込む道具を作った人だな」
「ふーんまだ生きてたんだ」
聖羽「それはどういう意味だ」
「あのペンダントは?」
子供友希斗「ごめんなさい……壊れちゃったんです……」
「そう」
聖羽「また作っては貰えないか?」
「それは無理ね」
聖羽「金ならいくらでも払う」
「お金の問題じゃないわよ」
聖羽「どうしたら作ってもらえるんだ?」
「そもそも何で貴方がそこまでする必要があるの?」
聖羽「それは……私はこの子の側に居てあげれないんだ……だからせめて」
「ふーん貴方もお人好しって事ね」
聖羽「頼む」
子供友希斗「わぁー蝶々」
聖羽「友希斗離れては駄目だぞ」
「ここは結界が張ってあるから平気よ」
聖羽「人の事言えないな」
「何がよ」
聖羽「いや何でもないぞ」
「話の続きよじゃあ貴方は命を掛けれる?」
聖羽「命……」
「そうあの子はそうしてこの子を守ったわよ」
聖羽「あの子とはまさか」
「そうよ、ちさとよ」
聖羽「!?」
子供友希斗「千聖さん? 千聖さんは何処に居るの?」
「そう覚えてないのねあの時の事」
子供友希斗「あの時の事?」
聖羽「……」
聖羽は目で訴えるように見つめた。
「……まあそれは良いわ、それよりそもそも私は人間に関与しちゃいけないのよ」
聖羽「知っている」
「まあそりゃそうよね知ってて当たり前か」
聖羽「ああ」
「だったら私に頼み事をするって事はそれ相応の代価が必要だって」
聖羽「ああ、分かっているぞ」
「そうじゃなきゃここまでこないわね」
聖羽「だから……」
「無理ね」
子供友希斗「はいお姉さんにあげる」
友希斗は花で作った冠を渡した。
「私に?」
子供友希斗「うん」ニコッ
「っ……」
聖羽「私もこの笑顔にやられてしまったんだ」
「確かに怖がられないのは初めて」
聖羽「では」
「良いわ私が面倒を見てあげる」
聖羽「良いのかっ!?」
「ええただしそれ相応の代価忘れないで」
聖羽「ああ分かっている」
「そうならいいわ」
聖羽「友希斗良いか今日からこのお姉さんが面倒を見てくれるからな」
子供友希斗「聖羽さんは?」
聖羽「すまないな……私は国に戻らないといけないんだ」
子供友希斗「嫌だ!! 一緒に居るって約束してくれのに嘘つき!!」
聖羽「……友希斗分かってくれ……きっとまたいつか会えるからな」
子供友希斗「聖羽さんなんて嫌いだ!!」
聖羽「友希斗……」
子供友希斗「聖羽さんなんかもうどこへでも行っちゃえ……」
聖羽「私の為にそんな事しなくても良いんだぞ」
聖羽は友希斗の頭を撫でながら言った。
子供友希斗「だって……」
聖羽「分かっているぞ」
子供友希斗「だって……」
聖羽は友希斗引き寄せ抱きしめた。
聖羽「落ち着いたら会いに来るからな」
子供友希斗「うん……絶対だよ」
聖羽「ああ分かっているぞ」
子供友希斗「絶対絶対だからね」
聖羽「ああ」
「……」
=洞窟=現在
友希斗「けど結局聖羽さんは一回も会いに来てくれなかったな……」
冴「ギュルルル」
友希斗「どうしたの?」
冴が見つめる先に丸い影があった。
友希斗「ん? 丸い魔物?」
【ポヨンポヨン】
友希斗「えっ!? 何だあれ何で七色に光ってるんだ?」
冴「キュキュ」
友希斗「冴駄目だよ!!」
冴「キュー」
冴は七色に光ってる丸い魔物に噛み付いた。
友希斗「えっ!」
冴のひと噛みで丸い魔物は倒された。
冴「キュ?」
冴も不思議そうに首を傾げた。
友希斗「あれ? 冴ってそんなに強かったっけ? 急に攻撃力でも上がったのかな?」
冴の体が光り始めた。
友希斗「ど、どうしちゃったの!?」
光に包まれたかと思ったら光の中から女の人が現れた。
友希斗「えっ……」
冴「……」
友希斗「えっ……」
冴「ゆ……き……と……」
友希斗「ええぇぇぇぇっ!!!!」