6話〔嫉妬〕後編
数日後・・・・
友希斗「はい承りました」
弓使い「ありがとうございます」
「かわいい」「あの笑顔本当に可愛いわ」
町娘「依頼お願いします」
友希斗「はい」
夏乃「すごい人気」
千夜「男女問わず人気者っすね」
冴玖「……人多い……」
千夜「残念っすね」
冴玖「残念?」
友希斗「あっ! 冴玖」
嬉しそうに冴玖に駆け寄る。
冴玖「ん」
友希斗「今日はどこ行くの?」
冴玖「今日は洞窟に素材集めに行く」
友希斗「そっか気をつけて行ってきてね」
ニコリと笑う。
冴玖「っ……うん」
「きゃゃゃゃ」「かわいぃぃ」
「うおぉぉぉ」「かわえぇぇ」
千夜「このやりとりも慣れてきたっすね」
夏乃「確かに」
冴玖「もう行く」
友希斗「うん」
そう言って出て行った。
友希斗「……」
千夜「寂しいんっすか?」
友希斗「違うよ……何か嫌な予感がする」
千夜「まじっすか友希斗のそれは昔から当たるっすからね」
夏乃「そうなの?」
千夜「そうなんっすよ……」
友希斗「冴玖……」
夕方・・・・
友希斗「……」
千夜「大丈夫っすか?」
友希斗「えっ? 何が?」
千夜「ずっと拭いてるっすよ」
友希斗「えっ?」
千夜「もうぴっかぴっかっすよ」
友希斗「あっ」
そこには顔が映るぐらい綺麗になったカウンター。
夏乃「すごいそんなに綺麗になるんだ」
千夜「心配し過ぎっすよ冴玖は強いっすから」
友希斗「分かってるけど……」
バンダナ冒険者「大変だ!!」
慌てた様子で入ってくる。
千夜「どうしたんっすか?」
バンダナ冒険者「洞窟が崩れて怪我人が出た」
友希斗「!?」
バンダナ冒険者「だから俺の仲間も怪我をしてるんだ! 助けをよこしてくれっ」
千夜「夏乃」
夏乃「分かってる」
友希斗「……」
千夜「どこ行くんっすか」
友希斗「だって……」
千夜「洞窟には魔物も出るんっすよ」
友希斗「でも」
千夜「大丈夫っすよ、だから落ち着くっす」
友希斗「ううっ」
夏乃「呼んできた」
槍使い「俺ら行けるぜ」
魔法使い「回復なら任してください」
弓使い「私も行けます」
酒場からお酒を飲んでない連中を呼んできた。
千夜「頼んだっすよ」
友希斗「俺も」
千夜「駄目っす」
友希斗「千夜……」
千夜「そ、そんな顔しても駄目なものは駄目っす」
友希斗「でも……」
千夜「勝手に行くと困るっすからね」
友希斗「えっ……」
千夜は個室に友希斗を押し込んだ。
千夜「ここで大人しくしてるっすよ」
友希斗「千夜」
夏乃「良いのあれ?」
千夜「良いんっすよじゃなきゃまた危険な目にあうっす」
夏乃「そう」
=個室=
友希斗「冴玖……」
冴「キュキュ」
友希斗「冴心配してくれるの?」
冴「キュッ」
友希斗「ありがとう」
冴をぎゅっと抱きしめた。
友希斗「俺が行っても足手まといか」
冴「キュー」
友希斗「分かってる……千夜は俺の為にここに閉じ込めた事ぐらい」
冴「キュキュ」
友希斗「やっぱり」
冴「キューキュー」
冴は友希斗の服を引っ張った。
友希斗「冴離して」
ガチャりと扉が開いた。
友希斗「ん?」
バンダナ冒険者「大変だよ」
友希斗「君はさっきの? どうしたの?」
バンダナ冒険者「冴玖さんが大怪我したって」
友希斗「えっ!?」
バンダナ冒険者「案内するから着いてきて」
友希斗「分かった」
冴「ギュルルル」
友希斗「冴?」
冴「ギュルルル」
バンダナ冒険者「ひっ魔物」
友希斗「大丈夫冴は良い子だから」
バンダナ冒険者「そうなんだ」
冴「ギュルルル」
友希斗「冴どうしたの?」
バンダナ冒険者「それより早く」
友希斗「分かった」
冴「キュッ!!」
友希斗「今は行かなきゃ」
友希斗は冒険者の後に続いた。
ギルドスタッフ「あれ? 友希斗くん?」
=洞窟=
友希斗「暗い」
バンダナ冒険者「もう少し奥だよ」
友希斗「うん」
しばらく進んだ先に裂け目があった。
友希斗「深そう……」
バンダナ冒険者「お前さえ居なければ……」
友希斗「えっ?」
バンダナ冒険者「俺の方が冴玖さんを見てきてんだよっ!! それなのにぽっと出のお前何かと仲良くしやがってっ!!」
友希斗「どういう事? 冴玖は?」
バンダナ冒険者「お前何かが呼び捨てにして良い人じゃないんだよっ!!」
友希斗「て事は冴玖怪我してないんだね良かった」
バンダナ冒険者「は? お前正気なの?」
友希斗「えっ?」
バンダナ冒険者「ムカつくんだよ……お前が居なくなれば……」
友希斗「へっ……」
ドンッと押され裂け目の間に落ちてった。
一方その頃・・・・
=冒険者ギルド=
夏乃「あれ? 皆帰ってくるの早かったんだ」
槍使い「いや……特に何も無かっぜ」
夏乃「えっ?」
魔法使い「はい、誰も居ませんでしたし崩れてもいませんでしたよ」
夏乃「何で?」
千夜「!?」
夏乃「千夜?」
千夜は急いで個室に向かった。
=個室=
千夜「空いてるっ……す……」
夏乃「急に走ってどうかした?」
千夜「そ、そんな……ま、まさか……」
千夜はゆっくり扉に近づきそっと扉を開けた。
千夜「……」
千夜は膝から崩れた。
夏乃「嘘居ない!?」
ギルドスタッフ「友希斗くんならバンダナをした冒険者に連れられて出て行ったわよ」
【タタタタッ】
千夜は走り出した。
夏乃「どこ行くの?」
=冒険者ギルド=
冴玖「どうかしたの?」
弓使い「それが……」
千夜「冴玖」
冴玖「ん?」
千夜「__はっ!! 何で気が付かなかったんっすかっ!? あいつはいつも冴玖を見てた奴……そういう事っすかっ!!」
冴玖「どういう事?」
千夜「実は……」