5話〔嫉妬〕前編
=冒険者ギルド=
千夜「友希斗っ!!」
友希斗「千夜……」
千夜「何でこんな無茶したんっすか!?」
友希斗「ごめん……」
千夜「冴玖じゃないっすか? 何で友希斗と一緒にいるんっすか?」
冴玖「たまたま会った」
千夜「?」
冴玖「実は……」
冴玖はここまでの出来事を話した。
千夜「そうだったっすか」
友希斗「そうなんだよ、冴玖が助けてくれたんだ」
千夜「冴玖がたまたま居たから良かったものの怪我だけじゃ済まないんっすよ」
友希斗「ごめん……」
冴玖「あまり怒らないであげて」
千夜「冴玖までたらしこんだんっすか」
友希斗「ん?」
夏乃「これは千夜、苦労するわ」
千夜「なんでっすか!?」
冴玖「これ」
千夜「依頼された魔物の討伐したんっすね」
夏乃「嘘!? さすが」
冴玖「たまたま」
千夜「謙遜しちゃってよく言うっすよ」
友希斗「冴玖ってそんなに強いの?」
冴玖「そんな事ない」
千夜「いやいや、友希斗には冒険者の階級について教えないと駄目っすね」
友希斗「うん」
千夜「まずは冒険者はレベル制っす」
友希斗「うん」
千夜「称号は20個あるっす下は少初位から上は正一位っす」
友希斗「うん」
千夜「友希斗はレベルが1だから少初位っす」
友希斗「うんうん」
千夜「これが表っすよ」
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┃正一位 99
┃従一位98
┃正二位 94~97
┃従二位89~93
┃正三位84~88
┃従三位79~83
┃正四位74~78
┃従四位 64~68
┃正五位 59~63
┃従五位54~58
┃正六位49~53
┃従六位 44~48
┃正七位39~45
┃従七位34~38
┃正八位29~33
┃従八位16~28
┃正九位12~15
┃従九位10~14
┃大初位5~9
┃少初位1~4
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千夜「冴玖は正五位っす」
友希斗「すごいの?」
千夜「当たり前っすよ通常の冒険者はだいたいが正七位ぐらいっすよ」
友希斗「そうなんだ」
千夜「この世界はレベルが上がりにくいんっすよ」
友希斗「そうなんだ」
千夜「友希斗は知らなさ過ぎっすよ」
友希斗「だって師匠はそんな話してくれなかったから……」
千夜「師匠?」
友希斗「俺の面倒を見てくれたんだ」
千夜「そうなんっすね」
冴玖「!?」
千夜「どうしたんっすか?」
冴玖「レベルが1上がってる……」
夏乃「えっ……」
千夜「えっ……」
友希斗「何をそんなに驚いてんの?」
千夜「言ったじゃないっすかこの世界はレベルが上がりにくいって」
友希斗「そうだけど1上がるぐらいなら」
千夜「上に行くほどレベルは上がりにくくなるもんなんっすよ」
友希斗「そうなんだ」
冴玖「下級の魔物しか倒してないのに……」
千夜「____はっ!? 友希斗帰ってくる途中魔物に襲われなかったすか?」
友希斗「う~ん……帰り道は何にも会わなかったけど?」
千夜「そうっすか……」
千夜はほっと胸を撫で下ろした。
友希斗「何で?」
千夜「いや……何でもないっすよ」
友希斗「変なの」
少女「あのー」
友希斗「おっ君は」
少女「薬草の依頼受けてくれる人居ました?」
友希斗「うんほらこれ」
友希斗は自分のカゴからがが草を取り出した。
少女「ありがとうございます」
友希斗「あとこれ」
そう言ってお金を渡した。
少女「えっ?」
友希斗「依頼を受けてくれた人がお金はいらないって」
少女「そうなんですか!? じゃあせめてその冒険者さんにお礼を言わせてください」
友希斗「お礼……えっと……」
冴玖「お礼はいらない」
少女「お姉さんが取ってきてくれたんですか?」
冴玖「僕とそこのお兄さんで」
友希斗「冴玖」
少女「お兄さんが取ってきてくれたんですね」
友希斗「俺は……」
冴玖「そう」
少女「ありがとうございます」
冴玖の方を見つめる。
冴玖「ん」
冴玖は軽く頷いた。
友希斗「……どういたしまして」
冴玖「友希斗は優しい」
友希斗「そんな事は……」
冴玖「けどもう無茶は駄目」
友希斗「うっ……」
冴玖「いい子いい子」
友希斗の頭を撫でた。
友希斗「頭撫でるのはやめてよ……」
冴玖「ごめん……嫌だった?」
友希斗「嫌ではないけど……」
千夜「ごほん」
千夜はわざとらしく咳払いをした。
少女「お姉さんとお兄さんって仲良しさんですね」
千夜「子供が見てるのにイチャイチャしすぎっす」
友希斗「べ、別にイチャイチャなんて……」
千夜「ぷっ動揺してるんっすか」
友希斗「さて掃除でもしよ」
そそくさとその場を立ち去った。
夏乃「可愛いからってからかいすぎるのは良くないよ」
千夜「うっ」