32話〔ハプニングが発生〕
友希斗「わあ~」
テーブルにズラっと食べ物が並べられた。
友希斗「美味そう~」
セレスティア「ふふ」
友希斗「な、何だよ」
セレスティア「本当に子供みたいだな」
友希斗「……口調素に戻ってるけど?」
セレスティア「!!」
友希斗「別に素で喋っても良いと思うけど?」
セレスティア「それは……」
友希斗「俺はその喋り方も好きだよ」
ニコッと笑いながら言った。
セレスティア「っ……」
友希斗「?」
友希斗はじーと視線を感じたのでその視線の先を見ると目があった。
友希斗「はっ!?」
冴玖「……」
ぷいっとそっぽを向かれてしまう。
友希斗「?」
セレスティア「どうしたの?」
友希斗「いや何でもないよ」
セレスティア「それよりご飯食べなよ」
友希斗「誤魔化したな」
セレスティア「うるさいっ」
友希斗「いただきまーす」
セレスティア「ゆっくり食べなよ」
友希斗「俺子供じゃないんだけど」
セレスティア「へぇー口元につけてるのに?」
友希斗「うっ……」
セレスティア「もう」
セレスは友希斗の口元を拭いてあげた。
友希斗「……あり……がとう」
セレスティア「いいえ」
聖羽「いっぱい食べてるか?」
友希斗「はい」
聖羽「そうか」
友希斗「聖羽さんもちゃんと食べてます?」
聖羽「ああ、食べてるぞ」
友希斗「明日に備えていっぱい食べるんですよ」
聖羽「ふふ、ああ」
友希斗「何ですか?」
聖羽「いや、何でもないぞ」
友希斗「何ですかそれ」
聖羽「気にしないでくれ」
友希斗「まあ良いですけど」
一部の人を除いてみんなで楽しくご飯を食べた。
数時間後・・・・
友希斗「食べすぎたぁー」
セレスティア「本当に食べ過ぎだよ」
友希斗「いや~だってすっごく美味しかったんだもん」
セレスティア「それは良かったけど」
聖羽「それじゃそろそろ部屋に戻って休むか」
友希斗「はーい」
セレスティア「また明日ね」
友希斗「うん」
聖羽「また明日な」
友希斗「はい」
冴珀「早く休めよ」
友希斗「分かってますよ」
冴玖「……」
友希斗「冴玖?」
冴玖「……」
冴珀「何だ喧嘩でもしたのか?」
友希斗「してないですよ」
冴珀「それじゃヤキモチか」
冴玖「!?」
友希斗「そうなの?」
冴玖「知らない」
そう言って部屋に行ってしまった。
友希斗「あっ……」
冴珀「ふっ、お前は罪な奴だな」
友希斗「何ですかそれ……」
冴珀「また明日な」
友希斗「はい」
みんなそれぞれの部屋に戻った。
=男部屋=
友希斗「うおっ!?」
友希斗が部屋に入ろうとしたら、天彦が立っていた。
天彦「……」
友希斗「どうしたんですか?」
天彦「お前は入ってくるな」
友希斗「えっ……」
天彦「外で寝ろっ!!」
友希斗「何でそんな……」
天彦「言ったよな立場をわきまえろと食堂での振る舞い、見ていたぞ! 聖羽と親しげに話しやがって」
友希斗「それは……」
天彦「勘違いするな聖羽は僕のものなんだぞ」
友希斗「……」
天彦「せっかく……『あれ』を使ったのに」
友希斗「?」
天彦「とにかくだお前は外で寝とけっ!!」
友希斗「ええ……」
【パタン】
友希斗「嘘だろ……」
友希斗はドアの前で立ち尽くした。天彦に扉を閉め出され、薄暗い廊下で拳を握りしめる。
友希斗「……」
ーーーー「聖羽は僕のものだ」ーーーー
友希斗「……」{……クソッ!! あんな言い方……聖羽さんはものなんかじゃない!!}
天彦様の言葉が耳の奥で繰り返され、友希斗は胸が締め付けられた。そんな友希斗の背後に、穏やかで上品な声がかけられた。
沙耶香「あらあら、そんなところで、一体どうなさいましたの? 友希斗くん」
振り返ると、魔導書を抱えた沙耶香が、首を少し傾げてこちらを見ていた。沙耶香は友希斗の情けない顔を見て、すべてを察したように苦笑する。
沙耶香「天彦様に何か言われてしまいましたのね……そんなに深刻な顔をなさらないで、あなたが気に病むようなことではありませんわ」
友希斗「沙耶香さん……いや、俺が気に障る事をしたから……」
沙耶香「いいえ、そんなことはありませんわよ友希斗くんは十分によく頑張っていらっしゃいますもの……こんな冷える廊下に一人でいらしては、風邪を引いてしまいますわ……私達の部屋へいらっしゃいな」
沙耶香は友希斗の隣まで来ると、優しく肩を叩いて促してくれる。
友希斗「……良いんですか? 聖羽さんや八雲さんも居るのに……」
沙耶香「ええ、構いませんわ、聖羽もきっと、友希斗くんを心配していますわよ……さあ、行きましょう、私が一緒ですわ……安心なさって?」
沙耶香は友希斗の顔を覗き込んで、安心させるように微笑んだ。
沙耶香の穏やかな言葉に導かれ、友希斗は彼女の後に続いて歩き出した。
沙耶香が「失礼しますわね」と扉を開けると、中では聖羽が剣の調整をしていた。
沙耶香「聖羽、友希斗くんをお連れしましたわ、天彦様のところでお困りでしたのよ」
聖羽「……友希斗か」
聖羽は立ち上がり、俺の様子を見て、すぐに大きな歩幅で近づいてきた。
聖羽「そうか、天彦様に追い出されたんだな……災難だったな平気か?」
友希斗「聖羽さん、ごめんなさい……沙耶香さんにも、迷惑を……」
聖羽「気にするな、沙耶香、連れてきてくれて助かったぞ、感謝する」
聖羽は俺の肩に手を置き、包み込むような低く落ち着いた声で頷いた。
聖羽「今夜はここで休め……良いな?」
友希斗「でも、流石に男の俺が一人混ざるのは……」
聖羽「大丈夫だ、外で寝かせるわけにはいかないからな、安心しろ」
聖羽は俺をベッドの端へと促し、ふっと表情を和らげた。
聖羽「こっちに来たらどうだ?」
聖羽に促されるまま、友希斗はベッドの端に腰を下ろしたが、ここは本来、沙耶香と聖羽が二人で使うはずの場所だ、友希斗は場違いではないかと思う。
友希斗「やっぱり俺は床で寝ます……聖羽さんと沙耶香さんの場所を奪うわけにはいかですから……」
すると、沙耶香がクスリと含みのある笑みを浮かべた。
沙耶香「あらあら 友希斗くん、そんなに遠慮しなくていいのよ? 私は今夜八雲さんとゆっくりお話ししたい気分なんですもの」
沙耶香は自分の枕を抱えると、驚く八雲の方へと軽やかな足取りで向かっていく。
沙耶香「八雲さん今夜は私の相手をしてくださる? 魔法の理論について語り明かしましょう?」
八雲「……承知いたしました、沙耶香様、聖羽様がそのようにお決めになったのであれば、私は従うまでです」
八雲は感情を表に出さず、沙耶香を受け入れた。ベッドには友希斗と聖羽の二人だけが残された。
聖羽「すまないな、感謝するぞ」
聖羽は短くそう告げると、友希斗のすぐ隣に座り直した。肩が触れそうな距離。
聖羽「沙耶香がああ言っているんだ、遠慮はいらないぞ?」
友希斗「で、でも 聖羽さん……」
聖羽「何だ、私の隣は怖いのか?」
友希斗「ち、違います!? 全然そんな事ありません! 聖羽さんの隣が怖いなんて、絶対にないです!!」
友希斗は勢いよく首を振って否定した。
友希斗「俺……ただ、申し訳なくて……俺みたいなのと一緒で嫌じゃないかって……むしろ俺には勿体ないくらいなんです!」
聖羽「ふふ、そうか、嫌なわけがないだろう?」
聖羽はふっと目を細めると、大きな手を友希斗の頭にそっと乗せた。そして、乱れた髪を整えるように優しく撫でる。
聖羽「大丈夫だぞ、私が呼んだんだ、変に気を遣う必要はない……良いな?」
聖羽の手のひらから伝わる温もりに、友希斗の強張っていた肩の力が抜けていく。




