30話〔常春の国到着〕
=常春の国=
門をくぐった先は自然豊かな光景が広がった。
友希斗「おおぉ!!」
冴玖「そんなに興奮して子供みたい」
友希斗「だってすごく綺麗だよ」
冴玖「確かに綺麗だね」
友希斗「はやく~はやく~」
冴玖「友希斗あまりはしゃぐと危ないよ……あ」
ドンッと勢いよく小さなエルフの子とぶつかった。
友希斗「うおっ!!」
「!?」
友希斗「ご、ごめんなさい大丈夫ですか?」
「ううん、平気だよ」
冴玖「はしゃぐからだよ?」
友希斗「うっ……ごめん……」
「われ……じゃなくて……私は平気だよ」
友希斗「本当にごめんなさい」
「そんなに謝らなくても大丈夫だから」
友希斗「はい……」
「それと敬語じゃなくて良いから」
友希斗「えっ……でも……」
「良いから良いから」
友希斗「そんな初対面でそれは駄目ですよ」
「私が良いって言ってるんだから」
友希斗「いや、駄目ですよ」
「良いって」
友希斗「駄目ですって」
この繰り返しをすること五回。
「貴様我の言う事が聞けないというのかっ!!」
友希斗「いいえ!?」
低い声に友希斗は思わず背筋を伸ばした。
「……ごほん……なんちゃって」
友希斗「えっいやいや……無理あるって……」
「さて、そろそろ行くね」
友希斗「えぇ……」
「じゃあね」
友希斗「あっ! 俺友希斗君は?」
セレスティア「セレスティアセレスで良いよ」
友希斗「よろしくねセレス」
友希斗はニコリと笑った。
セレスティア「ほう」
友希斗「ん?」
セレスティア「いや何でもないよまたね~」
友希斗「うんまたね……ん? また?」
友希斗は冴玖の方を見つめた。
冴玖「ん?」
友希斗「セレスまたって言ったよね?」
冴玖「言ってたよ」
友希斗「また会えるって事?」
冴玖「そうなんじゃない」
友希斗「何か怒ってる?」
冴玖「怒ってないよ」
友希斗「声色が……」
冴玖「怒ってないよ?」
友希斗「はい……」
冴玖「また、たぶらかすんだ……」
友希斗「えっ……」
冴玖「エルフまでたぶらかせるんだね」
友希斗「冴玖さんや言葉に棘が……」
冴珀「何だヤキモチか」
冴玖「!?」
冴珀「お前にしちゃ珍しいな」
友希斗「冴珀さん煽らないでくださいよ」
冴珀「ふっ」
冴玖「もう知らない」
冴玖はぷいっとそっぽを向いて冴の方に行ってしまった。
友希斗「ほらいじけちゃったじゃないですか」
冴珀「お前と居るとあいつのいろんな表情が見れるな」
友希斗「だからって駄目ですよ」
冴珀「ふっそうだな悪かった」
友希斗「後でちゃんと謝ってくださいね」
冴珀「ああ、覚えてたらな」
友希斗「もう……そういえばこの後どうするんですか?」
冴珀「エルフの王女に会いに行くぞ?」
友希斗「えっ!? 王女? 何で?」
冴珀「お前も表情豊かだな」
友希斗「いやいや、だって王女ってそんなに簡単に会えるもんなんですか?」
冴珀「会えるぞ?」
友希斗「えぇ……そんな話聞いたこともないんですけど……」
天彦「僕らだけが会えるんだぞ」
友希斗「へぇー」
冴珀「違うけどな」
友希斗「違うんですね……」
天彦「違わないぞ!! 王子である僕が呼ばれたんだぞ!!」
友希斗「……」
聖羽「本当はな私の所に招待状が来たんだ」
聖羽は友希斗の耳元で囁いた。
友希斗「そんな事だろうと思いましたよ」
天彦「お前ら近すぎるぞっ!!」
友希斗「……この間からすっごい突っかかられてる気がするんですけど……」
聖羽「すまないな」
友希斗「聖羽さんが謝る必要は無いですよ」
天彦「聞いてるのかっ!!」
友希斗「けど俺達は待ってないと駄目ですよね?」
聖羽「そうだな」
友希斗「色々見てまわっても良いんですか?」
聖羽「ああ、かまわないぞ」
友希斗「やったー」
聖羽「ふふ」
冴珀「大丈夫なのか?」
友希斗「何がです?」
冴珀「迷子になるんじゃないのか?」
友希斗「何でですか!?」
冴珀「私は聖羽達と一緒に行くからな」
友希斗「そうなんですね……」
冴珀「何だ? 寂しいのか?」
友希斗「違いますよ!?」
冴珀「本当にか?」
友希斗「もう何なんですか!!」
聖羽「仲が良いんだな」
友希斗「聖羽さんはどこをどう見てそう思ったんですか」
天彦「さっきからお前らは僕を無視しやがって!!」
天彦はプルプルと震えながら指を指した。
友希斗「あっ」
冴珀「まったくうるさい奴だな」
天彦「聖羽もう行くぞ!!」
聖羽「はい今行きます……すまないまた後でな」
友希斗「はーい、いってらっしゃい」
聖羽「ああ」
冴珀「ふっ」
友希斗「冴珀さんもいってらっしゃーい」
冴珀「ああ」
友希斗「三人で色々見て回ろうよ」
冴「みんなでおでかけ」
冴玖「……」
友希斗「冴玖?」
冴玖「……」
友希斗「もしかしてまだ怒ってるの?」
冴玖「……」
友希斗「冴玖?」
友希斗は冴玖の顔をのぞき込みながら言った。
冴玖「その顔ずるい」
友希斗「ん?」
冴玖「もう行くよ」
友希斗「うん行こう」
冴玖「本当に友希斗はずるい」
友希斗「冴も行くよ」
冴「うん」
=常春国広=
友希斗「おお」
冴「ひとがいっぱいだね」
友希斗「本当だね」
冴玖「ちゃんと着いてくるんだよ」
友希斗「うんって子供扱いしないでよ!!」
冴玖「友希斗はすぐどっか行くからね」
友希斗「そ、そんな事ないよ」
冴玖「……」
冴玖はじーと友希斗を見つめた。
友希斗「そんな目で見ないでよ」
冴「ふたりともはやくはやく」
冴玖「冴待って」
友希斗「二人とも待ってよ~」
三人で楽しくいろんな出店を見て回った。
冴「いいにおい」
友希斗「美味そう」
冴と友希斗は屋台の指をくわえながら見つめた。
屋台のおじさん「いらっしゃい」
冴玖「食べたいの?」
冴・友希斗「うん」
冴玖「もう」
屋台のおじさん「いくつだい?」
冴玖「二本ください」
屋台のおじさん「はいよ」
友希斗「やったー」
冴「さくありがとう」
冴玖「ん」
冴「ゆきともちゃんとありがとういわないとだめだよ」
友希斗「えっう、うん冴玖ありがとう」
冴玖「ん」
屋台のおじさん「はい」
冴「ありがとう」
友希斗「ありがとうございます」
冴と友希斗はにこにこして受け取った。
冴玖「そこのベンチで座って食べたら」
友希斗「うん」
冴「はーい」
草花に囲まれたベンチに三人で腰掛けた。
冴「おいしい」
友希斗「美味い」
冴玖「本当に美味しそうに食べるね」
友希斗「美味いよ冴玖も食べてみな」
友希斗は自分が食べていた串焼きを差し出した。
冴玖「えっと……」
友希斗「あっ! ごめん食べかけなんて嫌だったよね」
冴玖「ううん」
冴玖は首をふった後に一口パクッと食べた。
冴玖「うん、美味しいね」
友希斗「……」
冴玖がニコリと笑うと友希斗はそれに見とれた。
冴玖「ん?」
友希斗「ううん何でもないよ」
冴玖「変なの」




