28話〔中間地点場〕
天彦「ちっ……聖羽っ!! そんな奴構ってないでとっとと出発させろ」
聖羽「すまない」
友希斗「いいえ俺の方こそごめんなさい」
聖羽「ありがとな」
友希斗「……」
聖羽「すまないが頼むな」
御者「はっお任せ下さい」
聖羽の後ろ姿を寂しそうに見つめていた。
冴珀「そんな顔してどうしたんだ」
友希斗「別に……」
冴珀「変なとこ素直じゃないな」
友希斗「さあ~出発ですよ~」
冴珀「ふっそうだな」
=馬車の中=
沙耶香「あら終わったんですの?」
冴珀「何だ居ないのかと思ったぞ」
沙耶香「嫌味な言い方ですわね」
冴珀「それは悪かったな」
沙耶香「みんなでぞろぞろと出て行ったってしょうがないですわよ」
冴珀「そうだな」
友希斗「あれ」
友希斗はキョロキョロと周りを見渡した。
沙耶香「残念ね聖羽はこちらには居ないですわよ」
友希斗「えっ」
沙耶香「聖羽は天彦様のお気に入りですもの」
友希斗「そうなんですね」
沙耶香「あらあらそんな顔させちゃうなんて聖羽も罪な女ですわね」
辰夫「あまりそんな事を言っては駄目だぞ」
沙耶香「ごめんなさいね」
友希斗「いいえ大丈夫ですよ」
数時間後・・・・
沙耶香「ふぅー」
友希斗「大丈夫ですか?」
沙耶香「ええ」
友希斗「これ飲んでください少し気分良くなりますよ」
沙耶香「あら何ですの?」
友希斗「ハーブを煎じたものですよ」
沙耶香「少し頂こうかしら」
友希斗「どうぞ」
取り出したコップに注いで渡した。
沙耶香「いただきますわね……うっ……」
友希斗「口に合わなかったですか?」
沙耶香「いいえとても美味しいですわよ」
友希斗「良かったです」
沙耶香「それが噂の人たらしスマイルですの?」
友希斗「えっ沙耶香さんまで」
沙耶香「ふふ、聖羽があなたを気にかける気持ちが分かった気がしますわ」
友希斗「えっと」
沙耶香「その笑顔のお礼に一つ良い事を教えて差し上げますわよ」
友希斗「良い事ですか?」
沙耶香「聖羽はね意外にあなたの事気に入ってるんですのよ」
友希斗「そんな事」
沙耶香「嘘じゃないですわよ」
友希斗「でも」
沙耶香「あなたを見る目が物語っていますわ」
友希斗「そんな風には」
沙耶香「お姉さんの言葉を疑うんですの?」
友希斗「いいえいいえ決してそんな事は」
沙耶香「あらよろしいですわ」
友希斗「ははぁー」
沙耶香「ふふ、それは何ですの」
友希斗「敬意を示してるんですよ」
沙耶香「そうですの」
友希斗「はい」
沙耶香「友希斗くんは面白いですわね」
友希斗「そう言ってもらえると光栄です」
沙耶香「それにしてもみなさん随分と静かですわね」
友希斗「きっと疲れてるんですよ」
沙耶香「そうですわね」
友希斗「それにしても結構遠いんですね」
沙耶香「国と国ですもの」
友希斗「そうなんですね」
沙耶香「そんな事も知らないんですの?」
友希斗「すみません……」
沙耶香「責めてるわけじゃないですわよ」
友希斗「えっあっ……はい……」
沙耶香「ふふ」
更に数時間後・・・・
冴珀「おいっ」
友希斗「う~ん……」
冴珀「お・き・ろ」
友希斗「あれ? 冴珀さんどうしたんですか?」
冴珀「着いたぞ」
友希斗「ふぁ~もう着いたんですね」
友希斗は伸びながら言った。
冴珀「いやまだだぞ」
友希斗「えっ……だって着いたって言ったじゃないですか」
冴珀「中間地点にな」
友希斗「なるほど」
冴珀「もうみんな降りて色々やってるぞ」
友希斗「そうなんですねそれじゃ俺も何か手伝いに行きますね」
友希斗は素早く馬車を降りた。
冴珀「おい、ってもう行ったのか」
=仮宿泊所=
沙耶香「あらやっと起きたのですのお寝坊さん」
友希斗「はい」
沙耶香「私の横でぐっすりでしたものね」
友希斗「えっそうだったんですか?」
沙耶香「ええ、ゆっくり眠れまして? 私の肩の寝心地はいかがだったのかしら?」
友希斗「はい…………ん? 肩?」
沙耶香「ええ、可愛い寝顔でしたわよ」
友希斗「……」
友希斗の顔は一気に赤くなった。
沙耶香「あら、照れてるんですの?」
友希斗「すみません……迷惑かけてしまって……」
沙耶香「迷惑だなんて思ってないですわよ」
友希斗「本当ですか?」
沙耶香「ええ」
友希斗「良かったです」
友希斗はホッと胸を撫で下ろした。
冴珀「いつの間に仲良くなったんだ?」
友希斗「そうですか?」
冴珀「ああ、またたらしこんだのか?」
友希斗「ちょ! 人聞きの悪い事言わないでくださいよ!」
冴珀「お前の得意技だもんな」
友希斗「ええー」
沙耶香「あらあら、やきもちだなんて珍しいですわね」
冴珀「なっ!?」
沙耶香「大人気ないですわよ~」
冴珀「ちっ言ってろ」
冴珀は悪態をついて行ってしまった。
沙耶香「あらあら」
聖羽「沙耶香あまり冴珀をいじめては駄目だぞ」
友希斗「聖羽さん」
沙耶香「凄いですわ」
聖羽「ん? 何がだ?」
沙耶香「聖羽は見えないですの? このちぎれんばかりに振っている尻尾が」
聖羽「尻尾?」
沙耶香「そうですのよ」
聖羽「ふふ、確かに見えるな」
友希斗「聖羽さん何か手伝う事ありますか?」
聖羽「そうだな……」
沙耶香「聖羽と一緒に薪拾いでもしたらどうですの?」
聖羽「私とか?」
沙耶香「そうですのよこの子は戦えないのよ聖羽が守ってあげないと駄目ですわよ」
聖羽「ああ、それもそうだな」
友希斗「薪拾いぐらい一人で行けますよ?」
沙耶香「駄目ですのっ!!」
友希斗「!?」
聖羽「珍しいなそんな声を荒らげて」
沙耶香「こほん……失礼しましたわ……」
友希斗「?」
沙耶香「もしかしたら危険な魔物が居るかもですわ」
友希斗「えっ……そうなんですか?」
聖羽「いやそれは……」
沙耶香「とにかく! 二人で行ってくるんですの!」
聖羽が喋っている途中で遮って話した。
聖羽「ああ」
友希斗「はい」
沙耶香の勢いに負けた二人は返事をした。
沙耶香「いってらっしゃいですわよ~」
二人を見送った。




