26話〔意外な一面〕
冴珀「まさかついてくるつもりなのか?」
冴玖「うん」
冴珀「そうか」
友希斗「えぇぇ!」
冴珀「だから一緒に来たのか」
冴玖「ん」
聖羽「しかし……」
冴玖「心配しなくても大丈夫」
聖羽「そうか無粋だったな」
冴珀「ずいぶんと気にかけてくれるんだな」
聖羽「……私は……」
天彦「それより話の続きだ聖羽」
聖羽「えっ、はい」
冴珀「で、これからどうするんだ?」
聖羽「南にある常春の国に向かう」
冴珀「ほう」
友希斗「常春の国?」
聖羽「ああエルフが住む国だ」
友希斗「エルフ!? エルフってあのエルフ!?」
友希斗は目を輝かせながら聖羽に近寄った。
聖羽「あ、ああ……」
友希斗「おお」
聖羽「本当に子供みたいだな」
そう言って友希斗の頭を撫でた。
友希斗「えへへ」
聖羽「ころころと表情が変わって面白いな」
友希斗「はっ!?」
友希斗は我に返った。
聖羽「っ!!? す、すまない」
聖羽も自分の行動に気がつき我に戻り手を引っこめた。
友希斗「い、いいえ」
聖羽「……」
天彦「……ずいぶんとそいつの事を気に入ってるみたいだな」
聖羽「そんな事は……」
天彦「悪いが聖羽は僕の物だから変な気を起こすんじゃないぞ」
友希斗「……」
天彦「その顔は何だ」
友希斗「いいえ……」
天彦「聖羽は勇者だからなお前とは身分が違うんだ」
友希斗「そんな事言われなくても……分かってますよ」
天彦「ふんっ」
八雲「天彦様」
天彦「ちっ」
冴珀「いい加減に話を進めたらどうなんだ」
聖羽「ああ」
冴珀「で、もう出発するのか?」
聖羽「そうだな今日中には出発出来れば良いんだが」
冴珀「そうか」
聖羽「すまない急がす事になってしまって」
冴珀「気にするな、大体の用意はしてある」
聖羽「流石だな」
友希斗「もう用意してあるんですか?」
冴珀「ああ」
友希斗「そうなんですね」
冴玖「僕も用意してあるよ」
友希斗「そうなの!? みんな凄いな」
冴珀「お前は用意する物無いだろ」
友希斗「ありますよ色々」
冴珀「ふっ書く物は必要ないからな」
友希斗「べ、別に名前書いてもらおうなんて思ってないですし……」
冴珀「……」
冴玖「……」
友希斗「何ですか! 別に良いじゃないですか!」
冴珀「駄目とは言ってないだろ」
友希斗「顔が言ってます」
冴珀「そうか?」
友希斗「酷い……」
冴珀「たく、お前って奴は」
友希斗の頭に軽く手を乗せた。
聖羽「こほん、話の続きをして良いか?」
冴珀「ああ」
聖羽「街の外に馬車を待機させているから準備が出来たら来てくれ」
冴珀「分かった」
聖羽「ではまた後でな」
冴珀「ああ」
そう言って聖羽達は部屋を出ていった。
冴珀「お前らも支度しに行け」
友希斗「はーい」
友希斗達も部屋を出ていった。
=部屋の前=
友希斗「用意してくるね」
冴玖「ん」
部屋の中に入った。
友希斗「あれ?」
千夜「おかえりっす」
友希斗「何で千夜が俺の部屋に居るの?」
千夜「そりゃ女の子が男の子の部屋に居る理由なんて一つしかないっすよ」
友希斗「?」
千夜「まさか女の子の方から言わせるんっすか」
友希斗「またそうやって……」
千夜「冗談じゃないっすよ」
おちゃらけた声から一変急に声色が変わった。
友希斗「!?」
千夜はドンッと扉の方に手をついた。
千夜「僕だって……」
友希斗「千夜……」
千夜の唇が友希斗に徐々に近づく。
友希斗「だ……だめだよ……」
千夜「…………ぷっ……」
友希斗「ぷ?」
千夜「ぷっはははは」
千夜はお腹を抱えて笑った。
友希斗「え」
千夜「ごめんごめん……ひひ……っす……ま……あはは……まさかそんなに真剣にうけとるって思わなかったっす……くく……」
友希斗「もう酷いなっ!!」
千夜「顔を真っ赤にして可愛いっすね」
友希斗「うるせぇーやい」
千夜「やっぱり友希斗をからかうのは楽しいっすね」
友希斗「何だよそれ」
千夜「しばらくその顔が見れなくなるっすからね」
友希斗「もしかして寂しいの?」
千夜「友希斗の方が寂しいんじゃないんっすか?」
友希斗「俺は寂しいよ」
千夜「珍しく素直っすね」
友希斗「しばらく会えなくなっちゃうから」
友希斗はシュンとした顔をした。
千夜「それはずるいっすよ」
友希斗「?」
千夜「……」
友希斗「!?」
千夜は友希斗を抱きしめた。
友希斗「なっ!?」
千夜「本当に友希斗は策士っす」
友希斗「何だよそれ……」
千夜「黙ってるっす」
友希斗「うう……」
千夜「良い子っすよ」
友希斗「……」
千夜「たまには僕に甘えるのも悪くないんじゃないんっすか?」
友希斗「別に……」
千夜「まったく~そこは素直じゃないっすね」
友希斗「俺そろそろ用意しないといけないから」
千夜「もう少し良いじゃないっすか」
友希斗「駄目だよ」
千夜「うりうり」
友希斗「ちょ……や、やめてよ」
千夜は友希斗の顔に胸を押し付けた。
冴玖「……」ジー
友希斗「もう! 離してよ!!」
友希斗は千夜を引き剥がした。
友希斗「さ、冴玖!?」
千夜「ありゃ見られてたんっすね」
冴玖「見てたの知ってたくせに」
友希斗「えっそうなの!?」
千夜「なんの事か分からないっすねぇ~」
冴玖「支度しないで何やってるの?」
友希斗「いや……えっと……」
冴玖「鼻の下伸ばして」
友希斗「伸ばしてないよ」
冴玖「ふーん」
千夜「ぷぷぷ」
友希斗「うぅ……」
千夜「やっぱり友希斗をいじめるのは楽しいっすね」
友希斗「千夜はさっきから酷すぎるよ」
千夜「ごめんっすよ」
友希斗「準備するから出ていってよ」
千夜「本当にごめんっす」
友希斗「もう信じないから」
千夜「拗ねたんっすか?」
友希斗「違うよ」
冴玖「あまりやりすぎると嫌われちゃうよ?」
千夜「うっ……分かってるっすよ」
冴玖「もう用意してあったんでしょう?」
千夜「……そうっすよ」
友希斗「そうなの?」
千夜「必要な物色々と入れといたっすよ」
友希斗「本当に用意してある」
千夜「冴の支度のついでにしといたっすよ」
友希斗「そうなの? ありがとう」
千夜「別に良いっすよついでっすから」
冴玖「素直じゃない」
千夜「別に良いじゃないっすか!!」
友希斗「本当にありがとう冴の支度までしてもらっちゃって」
千夜「もう早く行くっすよ」
友希斗「うん」




