25話〔旅立ちの前〕後編
千夜「一緒に行くって決めたんっすね」
友希斗「知ってたの?」
千夜「まあ……」
友希斗「俺……」
千夜「分かってるっすよ」
友希斗「……」
千夜「頑張ってくるっすよ」
友希斗「うん」
千夜「ちゃんと冴珀の言う事聞くんっすよ」
友希斗「うん」
千夜「もう一回聖羽と仲良くなるっすよ」
友希斗「うん……ん?」
千夜「きっと何か事情があるんっすよ」
友希斗「俺もそんな気がしてる」
千夜「一緒に居たらもしかしたら思い出すかもっすよ」
友希斗「聖羽さんに会った日の事?」
千夜「そうっすね……」
千夜の表情は一気に暗くなった。
友希斗「どうしたの?」
千夜「どうしても思い出したいっすか?」
友希斗「まあね」
千夜「辛いかもしれないっすよ?」
友希斗「辛い?」
千夜「思い出したら後悔するかもっすよ?」
友希斗「千夜何か知ってるの?」
千夜「……」
友希斗「千夜?」
千夜「____僕の口からは……」
友希斗「……良いよ自分で思い出すから」
千夜「友希斗……」
友希斗「俺大丈夫だから」
千夜「そうっすか友希斗大人になったっすね」
友希斗「えへへ、まぁね」
千夜「そこは子供っすね」
冴玖「話し終わった?」
友希斗「うん、どうした?」
冴玖「冴がもう眠そうだよ」
千夜「もう寝るっすか」
友希斗「そうだね」
=友希斗の部屋前=
友希斗「じゃあまた明日ね」
千夜「おやすみっす」
友希斗「うん冴もおやすみ」
冴「……うん……おやすみ……」
冴は眠そうに目を擦りながら答えた。
【ガチャ】【パタン】
友希斗「冴玖もおやすみ」
冴玖「一人で平気?」
友希斗「へっ?」
冴玖「一緒に居ようか?」
友希斗「い、いっしょに!?」
冴玖「うん」
友希斗「いやいや大丈夫だよ」
冴玖「そっか」
友希斗「うん……ありがとう」
冴玖「ん」
友希斗「じゃあ明日ね」
冴玖「寂しくなったら呼んで良いよ」
友希斗「えっあっうん」
冴玖「おやすみ」
友希斗「おやすみ」
友希斗は部屋に入った。
友希斗「ふぅ~今日は疲れたな……」
友希斗はベッドに横になった。
友希斗「いよいよか……聖羽さんの力になれると良いな」
腕のブレスレットを触った。
友希斗「きっと……うまく……いく……すぅ……」
友希斗は喋りながら眠った。
翌朝・・・・
=千夜の部屋の前=
【コンコン】
友希斗「あれ? 返事がないな……」
冴玖「おはよう」
冴玖は挨拶をしながら自分の部屋から出てきた。
友希斗「おはよう」
冴玖「早起きだね」
友希斗「何か目が覚めちゃって」
冴玖「そんなに楽しみ?」
友希斗「ち、違うよ何か緊張しちゃって」
冴玖「ふーん」
友希斗「何だよ」
冴玖「別に」
友希斗「千夜達はまだ寝てそうだから一人で行くよ」
少し不安そうな表情を見せた。
冴玖「……僕が一緒に行こうか?」
友希斗「えっ冴玖が?」
冴玖「うん」
友希斗「けど……」
冴玖「駄目?」
友希斗「確かに一人だと不安だし……できれば……」
冴玖「じゃ行こうか」
友希斗「本当にっ!! ありがとう!」
=ギルドマスターの部屋の前=
【コンコン】
友希斗「冴珀さん」
冴珀「入れ」
【ガチャ】
友希斗「おはようございます」
冴珀「ずいぶん早起きだな」
友希斗「そうですか?」
冴珀「そんなに楽しみなのか?」
友希斗「……」
冴珀「何を黙ってるんだ」
友希斗「いや~姉妹だなぁって思いまして」
冴珀「何がだ?」
友希斗「別に良いですよ、それより聖羽さん達はまだ来てないんですね?」
冴珀「変な奴だな、確かに少し遅れてるな」
友希斗「えっ! って事は聖羽さん達はもっと早く来る予定だったって事ですか!?」
冴珀「あいつはいつもそうだ、それよりお前は大人しく座ってろ」
友希斗「はい……」
友希斗は素直に椅子に腰掛けた。
冴珀「で、何で居るんだ?」
冴玖「僕はただの付き添い」
冴珀「どうせ一人だと不安とか言ってついてきてもらったんだろ」
友希斗「なな、な、何をおっしゃっているのやら……」
冴珀「お前、分かりやすすぎだろ」
呆れた顔で言った。
友希斗「そんなぁ……」
しょんぼりと肩をおとした。
冴珀「本当に分かりやすいな」
冴玖「友希斗可哀想」
冴珀「何でそうなるんだ」
冴玖「お姉ちゃん虐めちゃ駄目だよ」
冴珀「だから何で」
友希斗「そうですよ! 酷い……しくしく……」
友希斗は泣き真似をした。
冴玖「あーあ可哀想」
冴玖は棒読みで言った。
冴珀「お前らは何がしたいんだ」
友希斗「えっ何ってねぇ……」
冴玖「うん」
お互いに顔を見合せた。
冴珀「お前ら……」
【コンコン】
冴珀「何だ」
【ガチャ】
夏乃「失礼します」
冴珀「来たか」
夏乃「はい」
冴珀「入ってもらえ」
夏乃「はい」
聖羽「すまない少し遅くなってしまって」
冴珀「珍しいな」
聖羽「少しな……」
冴珀「?」
「失礼するよ」
冴珀「誰だ?」
聖羽「それは……」
「何だと僕を知らないのか」
冴珀「知らんな」
「それは私から説明します」
遅れて部屋に入ってきた人物が話した。
友希斗「なっ……」
その人物を見た友希斗は目を見開いて驚いた。
冴玖「どうしたの?」
友希斗「そんな……ありえない……」
「失礼します、私は天彦様にお仕えしております八雲と申し上げます」
冴珀「天彦だとどういう事だっ!?」
友希斗「誰?」
天彦「何だと庶民のくせに僕の事知らないだと」
友希斗「えっ」
冴玖「国王の息子だよ」
冴玖は友希斗の耳にこっそり囁いた。
友希斗「えっ!?」
天彦「はっ!! 何とかぐわしいお嬢さんだ」
冴玖を見つめると素早く冴玖の元に駆け寄った。
天彦「お名前を」
冴玖「……」
天彦「その顔もまた良い! 決めたぞ! 私の第四夫人にしてやろう」
友希斗「……」
友希斗は冴玖の前に出た。
天彦「何だ貴様は」
友希斗「俺は友希斗って言います」
天彦「貴様の名前なんてどうでもいい僕が知りたいのはそのお嬢さんの名前だ」
友希斗「えっと……」
聖羽「……あ」
八雲「天彦様戯れが過ぎますよ」
聖羽が止めに入ろうとしたのを八雲が遮った。
天彦「ちっ」
八雲「天彦様が失礼をしました」
友希斗「いえ……」
八雲「私の顔に何かついてますか?」
友希斗「えっ……」
八雲「じっと見つめていらっしゃるので」
友希斗「すみません、俺の知ってる人に瓜二つだったので……」
八雲「そうだったんですか、もしかして初恋の相手にでも似てたんですか?」
友希斗「!?」
八雲「冗談ですよ」
友希斗「ははは」
冴珀「で、どういう事だ?」
八雲「天彦様をこの旅に同行させていただきたいのです」
冴珀「遊びじゃないんだぞ」
八雲「まさかそんなつもりはありませんよ」
冴珀「そいつのお守りはそっちに任すぞ」
八雲「勿論ですよ御迷惑をおかけしないので」
冴珀「まあこっちにも同行者は居るからな」
八雲「そうなんですね」
聖羽「もしかしてその子を連れていくのか?」
冴珀「ああ」
聖羽「すまないが、その子が戦えるとは思えないんだか」
冴珀「そうかもな」
聖羽「そしたら……」
冴珀「こっちの条件をのんでくれるんじゃなかったのか?」
聖羽「そうだが」
冴玖「心配しなくて良い僕が友希斗を守るから」
友希斗「へっ??」




