24話〔旅立ちの前〕前編
=大浴場前=
友希斗「へぇーでっかいお風呂あったんだね」
千夜「あれ? 僕言わなかったっすか?」
友希斗「聞いてないんだけど」
千夜「あれれそうだったっすか?」
友希斗「部屋のシャワーしか知らないよ」
千夜「じゃ一緒に入るっすか?」
友希斗「なっ……は、入らないよ」
千夜「そんなに焦っちゃってエッチっすよ」
友希斗「な、何でそうなるんだよ」
冴玖「一緒に入る?」
友希斗「えっ……」
冴玖「友希斗って意外に……」
友希斗「?」
冴玖「す・け・べだね」
冴玖は友希斗の耳元で囁いた。
友希斗「うっ……」
友希斗の顔は一気に真っ赤に染まった。
冴玖「可愛い……」
千夜「冴玖ってそんなに意地悪だったっすか?」
冴玖「ん?」
千夜「無意識でやってるの怖いっす」
友希斗「じゃ俺もう入るから」
友希斗はそそくさと男湯に入った。
千夜「冴玖が意地悪するからっすよ」
冴玖「ごめん……」
冴「ちや、さく、はやくはいろう」
千夜「そうっすね」
冴玖「うん」
=男湯=
友希斗「はぁー」
友希斗は聖羽の事を思い出していた。
友希斗「きっと何か……理由が……」
____「一緒に入る?」____
友希斗「きっと俺にも力になる事が……」
____「す・け・べだね」____
友希斗「うぅ……集中できない」
友希斗は首を横に振った。
=女湯=
千夜「……」
冴玖「ん?」
千夜「冴玖って着痩せするタイプっすか?」
冴玖「何が?」
冴「さくおおきい」
千夜「くっ」
冴「ちや……」
千夜「ちょっ何で黙るんっすか!!」
冴「ごめん……」
千夜「謝るなんて酷いっす」
冴「ちやきれい」
千夜「何っすかそれ自分はあるからって慰めっすか」
冴玖「風邪ひくから入ろ」
千夜「分かってるっす」
冴「ちやあらいっこしよ」
千夜「しょうがないっすね行くっすよ」
冴「うん」
=大浴場前=
友希斗「ふうーさっぱりした」
冴珀「それは良かったな」
友希斗「うおっ!?」
冴珀「何をそんなに驚いてるんだ?」
友希斗「急に現れたからですよ」
冴珀「そうか」
友希斗「どうかしたんですか?」
冴珀「いや、少し話でもするか」
友希斗「良いですよまだみんな来ないみたいですし」
二人で椅子に腰かけた。
冴珀「顔色が良くなったな」
友希斗「えっ……そうですか?」
冴珀「ああ」
友希斗「……みんなのお陰です」
冴珀「そうみたいだな」
友希斗「はい、本当に感謝しかないです」
冴珀「それは良かったな」
友希斗「はい」
友希斗はにっこりと笑った。
冴珀「ふ……あいかわらずその笑顔は反則だな」
友希斗「はっ……」
冴珀「何だ?」
友希斗「いえ…………冴珀さんも反則です……」
ボソッと呟いた。
冴珀「変な奴だな」
友希斗「それより何か言いたかったんじゃないんですか?」
冴珀「ああ」
友希斗「何ですか?」
冴珀「聖羽達と一緒に行く事になった」
友希斗「そうですか……」
冴珀「条件つきだがな」
友希斗「条件ですか?」
冴珀「同行者をな」
友希斗「同行者? 誰を連れてくんですか?」
冴珀「お前だ」
友希斗「えっ……俺ですか!?」
冴珀「そうだ」
友希斗「いやいや待ってくださいよ俺が一緒に行ったところで……」
冴珀「だが探し出さないと駄目なんだろ」
友希斗「そうですけど……」
冴珀「それとも私では力不足か?」
友希斗「いえそんな事は絶対にないです」
友希斗は椅子から勢いよく立ち上がり言った。
冴珀「何でお前がそうなるんだ」
友希斗「冴珀さんは強いですっ!!」
そして冴珀に迫る勢いで更に続けた。
冴珀「分かったから落ち着け」
友希斗「あっごめんなさい……」
冴珀「まったくお前は本当に」
友希斗「えへへ」
冴珀「何を喜んでるんだ」
友希斗「べ、別に喜んでないですよ」
冴珀「で、どうするんだ?」
友希斗「____俺も……一緒に行きたいです」
少し悩んでから答えを出した。
冴珀「そうか」
友希斗「俺考えたんです」
冴珀「何をだ?」
友希斗「もう一度聖羽さんと仲良くなれば良いんだなって」
冴珀「そうか」
友希斗「今の俺だったら聖羽さんの助けになれる気がしますし」
冴珀「そうだな」
友希斗「冴珀さんの助けにもなれます!! 多分……」
冴珀「そうか、なら私から離れるなよ」
友希斗「はい!! 何があっても冴珀さんから離れません」
冴珀「……」
冴珀は呆れ混じりの笑顔をしていた。
友希斗「は……」
そんな冴珀の不意な笑顔に胸が高鳴った。
千夜「……」
冴玖「……」
二人はそれをジーッと見つめていた。
冴「ゆきと」
友希斗「おっおかえり」
冴「おおきいおふろすごい」
友希斗「そうだね」
千夜「……」
冴玖「……」
友希斗「二人ともどうしたの?」
千夜「別にっす」
冴玖「別に」
友希斗「ん?」
千夜「なぁーにが冴珀さんから離れませんっすか」
友希斗「うっ……聞いてたのか……」
冴玖「ん」
冴玖は友希斗の頭を撫でた。
友希斗「冴玖は何で俺の頭を撫でてるの?」
冴玖「何となく」
友希斗「何となく……」
冴珀「お前は本当子供だな」
千夜「誰が子供っすか!!」
冴珀「何だ違うのか?」
千夜「うっ……違わないっすけど……」
友希斗「冴玖?」
冴玖「ん?」
友希斗「いつまで……」
冴玖「嫌?」
友希斗「嫌じゃない嫌じゃないむしろ……」
フリフリと首を横に振った。
冴玖「むしろ?」
友希斗「うっ…………うれ……しい……」
カァァァッと顔が赤く染った。
冴玖「ん」
千夜「冴玖までみんな友希斗に甘すぎるっす」
冴珀「ふっ」
冴「ゆきとよかったね」
友希斗「えっ」
千夜「良くないっす」
冴「ゆきとうれしそう」
千夜「まあそうなんっすけど」
冴「ちや? やきもち?」
千夜「なっ」
冴珀「ふっ」
千夜「何っすか」
冴珀「いや」
千夜「だいたい…………それは僕の役目だったすよ……」
ボソッ呟いた。
冴「ちや、よしよし」
冴は千夜の頭を撫でた。
千夜「さえ~なんていい子っすか」
千夜は冴に抱きついた。
冴「ちやくるしい」
冴珀「さて」
千夜「どこ行くんっすか?」
冴珀「風呂だ」
千夜「お風呂あっちすよ?」
冴珀「私は自分の部屋で入るからな」
友希斗「冴珀さんは大きいお風呂入らないんですか?」
冴珀「ああ」
千夜「そういえば入ってるとこ見た事ないっす」
友希斗「何でですか?」
冴珀「何だ? 気になるのか?」
友希斗「えっ……いや……ち、違いますよ……そういう訳じゃ」
冴珀「何なら一緒に入るか?」
友希斗「はへ」
千夜「あれ……さっき似た様な場面を見たような気がするっす」
冴珀「見せれるものでもないがな」
友希斗「そんな事ないですよ」
千夜「何で友希斗がそんなに必死になってるんっすか」
冴珀「そんなに見たいのか?」
友希斗「ちがっ」
千夜「友希斗いやらしいっすね」
友希斗「何でだよ」
冴玖「すけべ」
友希斗「何で冴玖まで」
冴珀「私は行くぞ」
友希斗「はい」
冴珀「さっきの話だが明日聖羽も混じえて話すからな」
友希斗「えっ……はい」
冴珀はヒラヒラと手を振り去った。




