23話〔優しさ〕
友希斗は少し後ろを見てから俯いた。
友希斗「冴玖……」
冴玖「ん」
友希斗「……」
冴玖「……」
少し二人の間に沈黙が流れた。
友希斗「俺……」
冴玖「ん」
友希斗「うぅ……」
冴玖「……」
友希斗「ぐすっ……」
それからしばらく時間が経過した。
友希斗「ごめん……」
冴玖「……」
友希斗「もう大丈夫だから」
冴玖「ううん」
友希斗「けど……」
冴玖「僕がそばに居たいから」
友希斗「冴玖」
冴玖「何?」
友希斗「ありがとう」
冴玖「ん」
数時間後・・・・
千夜「二人ともここに居たっすか」
友希斗「千夜」
千夜「もう少しで暗くなるっすよ」
冴「ゆきと」
友希斗「冴も一緒だったのか」
冴「うんかえろ?」
千夜「そうっすよ風邪ひくっすよ」
友希斗「本当だもうそんなに時間経ってんのか」
千夜「まったくどんだけ考え込んでたっすか」
友希斗「うっ……」
千夜「冴玖まで巻き込んで何やってんすか」
友希斗「それは」
冴玖「平気、僕がここに居たかったから」
千夜「もう」
冴「さく」
冴玖「ん?」
冴「ありがとう」
冴玖「えっ?」
冴「ゆきとのそばにいてくれて」
千夜「えっ!? 冴?」
冴「ん?」
冴玖「どういたしまして」
冴「ゆきと」
冴は優しく友希斗の頭を撫でた。
千夜「冴何か雰囲気が少し大人びたっすか?」
冴「?」
冴玖「それ僕も思った」
友希斗「それ俺も思ってた」
冴玖「成長してる?」
千夜「確かに飲み込み早いとは思ってたっすけど」
冴玖「もしかして」
千夜「あっ……あの時のっすか?」
冴玖「そうだと思う」
友希斗「え? え?」
千夜「覚えてないっすか?」
友希斗「何を?」
千夜「前大人っぽいのが好きって話してたじゃないっすか」
友希斗「うーん……あー皆が意地悪になったあの時か、まさかその時の事を覚えててって事?」
千夜「たぶん、友希斗の好みになろうとしてるんじゃないんっすか?」
友希斗「そうなの?」
冴「ゆきと、ちや、さく」
パシャパシャと水遊びをしていた。
友希斗「考えすぎじゃない?」
千夜「かもっす」
冴「こっちこっち」
友希斗「もう暗くなるから危ないよ?」
冴「だめ?」
友希斗「しょうがないなぁ」
友希斗は靴を脱いで冴の元に駆け寄った。
千夜「自分も遊びたかっただけすっねあれ」
冴玖「うん」
千夜「けど、良かったっす」
冴玖「だね」
友希斗「まてぇー」
冴「ゆきとこっちこっち」
千夜「やっぱり友希斗は笑ってんのが良いっす」
冴玖「ん」
冴「ちや」
冴は千夜めがけ水をかけた。
千夜「うあっぷ……」
冴玖「ぷっ……」
友希斗「こらこら冴そんな事しては駄目でしょう」
そう言って友希斗は冴玖に水をかけた。
冴玖「……」
千夜「うわぁ……さすがに冴玖にかけるのはまずいっすよ」
友希斗「えっそうなの?」
冴「あーあ」
友希斗「えっ……えっ……」
千夜「やっちゃったっすね……」
友希斗「えぇ……ご、ごめんなさい……」
冴玖「友希斗……」
友希斗「はい」
【バッチャッ】
友希斗「ぶあっぷ!!」
冴玖「お返し」
千夜「ぷっ、あはっはっはっ」
冴「うふふふ」
友希斗「みんなして笑うなんて酷いよ~」
=ギルド前=
夏乃「で、何してんの?」
友希斗「ごめんなさい……」
夏乃「迎えに行ったあんたまで何でずぶ濡れなわけ?」
千夜「それがっすね……」
千夜が説明しようとしていたらずぶ濡れの冴玖に視線をやって驚いた。
夏乃「えぇ! 冴玖さんまで」
冴玖「ごめん」
夏乃「冴ちゃんまでもか」
冴「ごめんなさい……」
夏乃「もう」
千夜「違うっす友希斗のせいなんっす」
友希斗「ええっ!! 千夜だってノリノリだったじゃんか」
千夜「そもそも止めに入らなかった冴玖も同罪っす」
冴玖「僕?」
友希斗「あー冴玖のせいにすんなよ! 冴玖は悪くないじゃん」
千夜「ちょ、何で冴玖は庇うんっすかっ!?」
友希斗「そりゃ冴玖は悪くないから」
千夜「酷いっす僕より冴玖の方が大事なんっすね!」
友希斗「そんな事は」
千夜「あーもう良いっすもう友希斗なんて知らないっす」
冴珀「お前らギルドの前で何をやってんだ」
千夜「聞いてほしいっすよ友希斗ってば冴玖冴玖冴玖ばっかりなんっすよ」
友希斗「ちょ、やめてよ」
千夜「あーあ今度は冴珀っすか」
友希斗「何でそうなるんだよ」
千夜「冴玖の次は冴珀っすか」
友希斗「だから何で」
冴玖「そうなの?」
友希斗「冴玖まで何言ってんのさ」
千夜「冴玖気をつけるっすよこの人油断も隙もないっすから」
そう言って冴珀を指さす。
冴珀「お前は何を言ってるんだ」
千夜「知ってるんすから」
冴珀「何がだ」
友希斗「ひっくしゅん」
夏乃「もう話してないでお風呂入りなよ」
友希斗「はい」
千夜「今日は勘弁してやるっす」
冴「ちやさむい」
冴玖「早くお風呂入ろっか」
冴「うん」
千夜「置いてかないでっすよ~」
友希斗達はぞろぞろと寮に戻って行った。
聖羽「ずいぶんと賑やかだったな」
友希斗達と入れ違いにギルドから聖羽が出てきた。
冴珀「そうだな」
聖羽「良かった」
冴珀「何がだ?」
聖羽「あの子が笑顔になって」
冴珀「あいつの事なぜお前が気にするんだ?」
聖羽「____それもそうだな何でなんだ……」
冴珀「……」
聖羽「何故かあの子には笑ってて欲しいと思ってしまったんだ」
冴珀「ふんそうか」
聖羽「……」
冴珀「それよりさっきの条件で良いんだな」
聖羽「同行者の件だろ」
冴珀「そうだ」
聖羽「構わないぞ冴珀が信頼してる人間だったら安心だからな」
冴珀「ふっ」
聖羽「それじゃ明日改めてその同行者も混じえて話をするんだな」
冴珀「そうだ」
聖羽「じゃあまた明日こっちに来るな」
冴珀「ああ」




